第06話 寒い冬がやってきた
「うわ寒っ、なにこれ」
朝起きたらお布団から出ている顔がすごく冷たくなっている。
「戸締まりしたよね」
目線で窓と扉を確認してもちゃんと閉まっている。お布団から出たくないのでテーブルになんとか手を伸ばして、置いてあるエアコンのスイッチを押してお布団に潜り込む。しばらくそのままの状態で待って部屋があたたまるのを待つ。
部屋が温まった所で布団から出て、もこもこの靴下を履いて上からカーディガンを羽織って廊下に出ると体がブルリと震えた。体の周りにちゃんと薄く結界を張っているのだけど結界が意味をなしてない気がする。
「いやこれ寒すぎでしょ」
とりあえず階下へ降りて洗面所で歯を磨き顔を洗う。
「寒っ、冷っ」
一気に目が冷めた気がする、そもそもお湯で顔洗えばよかった。急いでリビングに入るとエアコンが効いてて暖かい。望ねえさんも母さんも父さんもそろってテレビを見ているみたいだ。
「おはよう、めちゃくちゃ寒いけどテレビでなんか言ってるの?」
「怜おはよう、今のところ原因不明ってことらしいわよ」
「それじゃあ、アヤカシが関係してる感じ?」
「多分ね、今はおばあちゃんが調べてくれてるから報告待ちかな」
望姉さんと話している間に、母さんがご飯の用意をしてくれたようでお礼を言って食べる。3人とももう食べ終わっているようだ。
「いただきます」
お米にお味噌汁と卵焼きにソーセージとレタスと我が家の基本的なメニューだ。
「望姉さんは今日はどうするの?」
「おばあちゃんに家でいるようにって言われてるから待機かな? ちなみに怜も家にいるように言われてるからね」
「まあ、今日は特に予定とか何もないからいいけど、それにこの寒い中出かけたくないし」
ご飯も食べ終わったので食器を洗って食洗機に入れておく。
「母さんそれじゃあ部屋にいるから」
冷え切っている階段を上がりエアコンの効いた部屋に入り込む。とりあえず寝間着から部屋着に着替えてから、寝間着を持って脱衣所の洗濯かごに入れておく。
部屋に戻る前に一度台所に行ってカフェオレを入れてから部屋に戻る。さて、部屋に来たは良いけど特にやることがない。学院に通うようになってから殆どこの部屋は使っていないし暇をつぶすものがない。
とりあえず学院から持ってきている教科書で予習をして時間を潰す事にした。自分で言うのも何だけど誰に言われるまでもなく勉強するなんて小学生の頃は思いすらしなかったわ。
集中してたみたいで望姉さんがお昼だよと呼びに来るまで、それだけ時間が経っていることに気づきすらしなかった。望姉さんと一緒に階下に降りてリビングへ行くけど、お昼だし雲ているわけではなくて快晴なのに相変わらず寒い。
お昼は鍋焼きうどんだった、食後にはデザートとしてアイスクリームが用意してあって、暖かい部屋で食べるアイスは至高でした。食後はだらだらとテレビを見ているけど特に面白い番組もないので部屋に戻ろうかなと思っていた所でお婆ちゃんから連絡が来たようだ。
「お婆ちゃんが私と怜を呼んでいるみたい、迎えをよこすから来るようにだって」
「わかった、服着替えてくる」
部屋に戻って外着に着替えてコートとマフラーを手に持ってリビングに戻る。雪は降っていないけど外はめちゃくちゃ寒そうだ。望姉さんも着替えて戻ってきたので暫く待っているとお迎えがきたようだ。
「それじゃあ、母さん父さん行ってくるね」
「望も怜も気をつけてね」
迎えに来た車で本家に付いた。結構厚着してきたのだけどそんなの関係ないくらい外は寒かった。本家に付いてさっそく奥の間に通された、屋敷の中に入ると急に寒さが和らいだ気がする。
多分だけど、これは屋敷全体に結界が張られているからだと思う。個人でこの範囲に結界はれないと思うので何か道具を使っているんだろうね。
「よく来たね二人とも、外は寒かっただろうとりあえず火鉢で温まりな」
お言葉に甘えでお婆ちゃんの近くにある火鉢で手を温める。
「お婆ちゃんにお爺ちゃん、久しぶりお正月以来かな」
「怜は久しぶりだね、元気なようで何よりだよ、少しだけ温まって待ってておくれ、咲夜も来てもらうように呼んでいるからね」
「咲夜さんも来られるのですね」
「あとは朱天殿と椿姫殿、それと茨木殿にも助力を願おうと思っておる」
朱天達も来るのか、朱天と会うのもなんやかんやで久しぶりにきがするな。しばらくして咲夜さんも到着して一緒に囲炉裏を囲んで温まった所で改めて話を聞くことにした。
「まずは急な呼び出しですまなかったね、うすうす感じているとは思うがこの寒さに関してわかったことを教えておくよ。この寒さの原因は冬将軍が北から襲来した事で起きているようだね」
「冬将軍ってアヤカシだったの?」
「そうだよ長い間北の国で封印さていたのだけどね、何者かが封印を解いたようだね」
冬将軍ってアヤカシだったんだね……。
「今のところは北を受け持っている者たちが対処する事になっているのだけどね、そこが抜かれた場合はわたし達も含めて東の者たちが対応することになる。そこでいつでも対応できるように暫くここで待機していてほしいのだよ」
「そういう事なら仕方ないわね、怜も咲夜さんもいいわよね」
「わかったよ」
「私もそれで構いません」
この感じだと今年のクリスマスはここで過ごすことになるのかな。