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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
8章 始まりは平穏に、不穏な冬を超え、戻る平穏
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第05話 冬の到来

 一泊二日で行われた合宿が終わり、あっという間に冬期休暇の時期になった。いやほんとあっという間だったよ。学院生のストレスもいい感じで発散されたようで、合宿以降は黒いモヤも控えめになっていたので、生徒会役員も合宿前に比べると余裕で対処できるようになっていた。


 そんな感じで日々を過ごしていたら秋休みが過ぎて、中間テストも終わり冬期休暇担っていた訳だ。夏季休暇とは違って今回は全員学院から出てそれぞれの家へ戻ることになっている。


 外の状況はあまり詳しく聞かされていないけど、夏とは違って今は一応落ち着いているようだ。その辺りの事は本家に言った時にでも改めて聞いてみようと思う。桜さんと楓も実家の方から戻ってくるように言われているようだ。


 一方朱天の方も落ち着いているようだ、聞いた話によると百鬼夜行は冬には起きないとか、訳を聞くと冬は雪女や氷女ひさめに鬼火やきつね火など冬由来のアヤカシは力を増すのだけど、大多数のアヤカシは若干弱体化するのだとか。


 夏に比べると世間が落ち着いているのは、それも関係しているのかもしれない。高等部性から順番に学院から去っていき、中等部一年生を見送った後に急ぎ俺たちも学院を後にする。


「それじゃあ、楓も桜さんも気をつけてね」


「はい、怜様もお気をつけください、何かあれば連絡してください、這ってでも向かいますので」


「いや、そこまでしなくていいからね、楓のほうも何かあれば連絡してね、助けに行けるかはわからないけどね」


「ほら楓行くよ早く車に乗って、新幹線の時間に間に合わなくなるからね、怜さんそれではお先に失礼します」


「桜さんも気をつけてね」


 楓と桜さんを見送った後、俺たちも車に乗り込んでとりあえずそれぞれの実家へ向かう。最初が俺の家が近いのでお先に失礼させてもらう。


「咲夜さん、それではまたクリスマス前に、鈴ちゃんに篠ちゃんまたお正月前によろしくね」


「それじゃあね、怜楽しみにしておくわ」


「(こくこく)」


「怜さん、お疲れ様でした」


 荷物を下ろして車を見送って家に入る。


「ただいまー」


「怜お帰り、お風呂沸かしてるから入っていいわよ」


「母さんただいま、それじゃあ先にお風呂入らせてもらおうかな、ずっと車の中だったけど外はすごく寒かったよ」


「天気予報でも今年はすごい寒波がっていっちたわね」


「そうなんだ、それじゃあ、荷物をおいたらお風呂はいるね」


 荷物を持って自分の部屋に行く途中の階段や廊下は冷え切っていてすごく寒い。部屋の中も相当冷え切っている。カバンから洗濯物を取り出して、タンスからは普段着と下着一式を引っ張り出して急いでお風呂場へ向かう。


「それじゃあお風呂貰うね」


 リビングに居る母さんに声をかけて脱衣所の扉を開けるとそこには望姉さんがいた、全裸で。


「望姉さんいたの? 鍵くらい閉めようよ」


「怜、そこ寒いから早く締めて」


「あ、ごめん」


 急いで開けっ放しだった脱衣所に繋がる扉を閉める。


「もう、怜のせいで体冷えちゃったじゃないの」


「望姉さんがいるとは思ってなかったから驚いたんだよ」


「仕方ないわね、入りなおすから怜も一緒に入りなさい」


「えっ、一人でいいよ」


「そんな、体を冷やした私を追い出すつもり酷いわ」


「いや、私が部屋で待ってるからお風呂上がったら交代でいいでしょ」


「そんな、怜ちゃんはお姉ちゃんとお風呂はいるの嫌なの?」


「うっ、わかったよ一緒にはいるからそんな捨てられたネコみたいな顔しないで」


「それでいいのよ、入っているから早く来なさいよ」


「はいはい」


 そう言って望姉さんはお風呂場に入っていった。望姉さんと久しぶりに会った気がするけどこんな感じだったかな? まあいいか、とりあえず脱衣所も気温が低めなのでさっさと洗濯物を洗濯かごに入れておく。


 着ていた制服は置いてあるハンガーにかけておく、制服は後でクリーニングに出してもらうつもりだ。下着も洗濯かごに放り込んで、さっさとお風呂場に入る。望姉さんは湯船に浸かっているので、とりあえず体をささっと洗って髪はブラッシングした後にお湯で一旦流して望姉さんの横に入り込む。


「怜も手際が良くなったわね」


「まあ、この姿になってからもうすぐで3年だしね、お風呂は毎日入ってるわけだから手際も良くなると思うよ」


「最初はあんなに何も分からず、体を洗うだけでもぎこちなかったのにね」


 そりゃあね、当時は全く真っ平らだったとはいえ、あったものがなかったり、なかったものが……、うんなかったものはなかったままだったね、でもそれもすぐに膨らみを持ったのであたふたしましたとも。


「その節はどうもお手数おかけしました」


「いえいえ、どういたしまして」


 お互いに頭を下げあって顔を見合わせる。


「「あはははは」」


「それにしても怜も、もう立派な女の子だね」


「素直に喜んでいいのか反応に困るけどね」


「それじゃあ私は先にあがるね、怜はちゃんと温まってきなさいよ」


「はーい」


 望姉さんがお風呂場から出ていったのに合わせて、洗い場で髪を洗ってタオルを頭に巻いて再び湯船に浸かる。


「はぁー」


 自然と口から息が漏れた、なんだか眠たくなる気持ちよさだ。このまま浸かってたあ寝ちゃいそうなのでお風呂から上がり、急いで着替えを済ませて制服を持ってリビングに行く。


「お風呂上がったよー、それとお母さん制服クリーニングに出しておいて」


「はいはい、明日出しておくわね、念のため年内に出来上がるように頼んでおくわね」


「うんお願い、今年も生徒会があるから早く学校に戻らないといけないから」


 リビングで姉さんと母さんとテレビを見ながら近況を話したり聞いたりしているうちに、本家に行っていた父さんが戻ってきた。なんだかほぼ一年ぶりくらいに家族が全員揃った気がするけど、夏は学院にずっといたので本当に一年ぶりなのかもしれないな。

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