第03話 今年の夏は平穏な予感
夏だ! 海だ! ブートではないキャンプだ!
というわけで、夏の長期休暇なのにお家に帰れない生徒を引き連れて海に来ております。今学院内に残っている生徒は総勢400人くらいかな? 残っている中等部生の250名ほどが今学院内の海へ来ている。現在は砂浜から少し離れた松林で1クラスごとに別れて、テントを建てたり窯を作ったりなんか好き放題やっている。
キャンピング道具はなんと学院が全部用意してくれたものだ、5、6人ほどが1グループになって班分けされてワイワイキャイキャイしている。ちなみに高等部生は山方面へ行っている、険しい山を登った先にある小川でキャンプをするみたいだ。
さてどうしてこうなったかは、説明はいらない気がするけど息抜きの一貫だ。普段なら夏季休暇ということで家に帰りのんびり……できるかは別として一時期俗世へ戻るわけだけど、それが今年はできなくなった。
あまり詳しい状況は教えられていないけど、悪意からの保護とでも思って貰えればいいみたいだ。そんなわけだけど、言葉で言われても納得できるかと言うと思春期真っ盛りの子には難しいものがあると思う。それでもこの学院に入っている子は色々な立場を理解しているし精神的に早熟な子が多いのだけど、全員が全員そうではない。
結果ストレスなんかが溜まりに溜まって、今年の生徒会は黒いモヤの対処に追われてるわけなんだよ。早期発見早期対処を常に心がけ行動しているから今のところ問題はないけど、そろそろみんな疲れが見え始めていた。
そんな折に朱天が連絡も兼ねて帰ってきてくれたので、黒いモヤについて俺が泣きついて暫く留まって一掃してくれた。生徒会全員が感謝感激して、マリナさんが個人的に所持していた神の血というワインを朱天に進呈したほどだ、ちなみに材料は私の血を少々使ったとか言われてなんとも言えない気持ちになった。
この時点で夏季休暇もおよそ半分が終わり、大体の子は夏の課題を終わらせてしまって手持ち無沙汰になっている子が増えてきていた。寮単位で勉強会などを開いて一気に終わらせた所もあるみたいだけどね。
そこで出たのがこの合宿もどきをしようというものだった。目的はずばり息抜きでここでストレスをズバッと発散してもらって夏を乗り切ろうという感じだ。と言っても一から十まで決めてやるものじゃなくて、なにをするのも好きにしていいよというものだ、一応全員強制参加だけどね。
俺のクラスは木嶋柚と霧谷静流の二人が率先してまとめて海キャンをすることになった。テントが建て終わったら海で遊んで日が暮れる前に食事をして、後は各自就寝という予定になっている。
食事はまああれだ、せっかくのキャンプだから自分たちで作れって言われるかもしれないけど、結局は学院の方で用意してもらう事になっている。学院としても食中毒とか闇鍋のようなダークマタを生み出されても困るので、ふだん寮で料理を作ってくれている方々が運んできてくれる。
流石にメニューはキャンプらしくカレーライス一択だけどね、キャンプと言ったらカレーでしょという感じだ。今回のキャンプは高等部一年生から3年生までが合同でグループ分けされている、先に申請しておけばある程度は考慮される感じだ。
そんなわけで俺のグループは、ほぼ身内で固まっている。3年生は俺に明海ちゃん、2年性は真咲桜と斉穏寺楓、1年生は平宮鈴と平宮篠というメンツだ。生徒会の一年生の東雲さんと雷門さんを最初に組み込もうとしたのだけど、それぞれがそれぞれのサークルのグループに入るという事で別のグループになっている。
そんなわけでこの6人、テント張りとか初めてだったけど四苦八苦しながらなんとか完成させる事ができた。その後は周りで手間取っているグループの手伝いなどをして、休憩しながらそろそろ着替えて海に行こうかという段階になっている。
まあそうなると出てくるのが水着なのだけど、この合宿もどきが決まった時に水着が必要になる事に気がついたんだよ。去年買った水着を着てみたのだけど、着れなくはない、着れなくはないのだけどちょっと微妙かなということで買いに行くことになった。
高等部は山に行くので必要ないということなので、咲夜さんは不参加で中等部の生徒会役員と平宮姉妹も加えて、ショッピングモールの案内も兼ねて水着を買いに行った。さすが学院の売り場ということで際どい系はほとんどなかったので安心して見て回ることが出来た。
普通学校行事としての水着だと指定水着なんてものがあるのだと思うけど、元々水泳の授業はないし今回は息抜きも兼ねているのでよっぽど変なものではない限りOKらしい。
店員さんと相談しながら水着を選んだのだけど、中高生ならあまり露出が少ない感じのが良いみたいだ。
「怜様にはこちらの真っ赤なビキニなんて似合うと思うのですがどうでしょうか」
「そんなビキニ勧められても着ないからね」
「似合うと思いますよ、なので一度試着してみましょうよ」
「嫌だからね、着ないからね」
何故か楓がやたら滅多ビキニを勧めてくるのには困ったけ、結局最後にはみんな似たような感じの水着になったけど、あまり派手派手じゃなくて俺的には満足かな、目のやり場に困るということも無さそうだし。
今のはやりは簡単に言うとスポブラみたいな感じの上と、ショートパンツみたいな下にTシャツを着るのがおしゃれなんだとか。色も派手な感じではなく、白と黒のおとなしめな感じが結構気に入っている。水着の買い物のついでに日焼け止めもちゃんと買っておいた。