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なかみが男でも百合は成立するのだろうか 連載版  作者: 三毛猫みゃー
8章 始まりは平穏に、不穏な冬を超え、戻る平穏
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第01話 平穏な入学式

 そこそこの大きさのある講堂には新入生がお行儀よく座っている、そんなかな俺は脇の方に用意されている席に座り入学式が終わるのを待っている。既に在校生代表としての祝辞は終えていて今は教師がこの後の流れなどを説明している段階だ。


 今年の新入生は総勢90人と聞いている、俺たちが入学する以前は一学年40名ほどだったみたいだけど、俺たちの年からは一学年90人となっている。今年は高等部が130名、中等部が270名になっているようだ。今の所は退学者は出ていらしい、退学者は出ていないけど何らかの理由で休学していた人はいたようだけど、今現在は休学者はいないとのことだ。


 そんな事を姿勢良く真面目な表情で考えているうちに入学式は終わったみたいだ。講堂にいる全員が立ち上がり新入生は一クラスごと出ていくのを見送る、全員出ていった所で教師陣と一緒に片付けをする。そういえば去年はこの後にかえでさんが騒いで大変なだったことを思い出したけど、今年は今のところ何も無いようで安心している。片付けが終わった所で生徒会室へ行くとみんな揃っていた。


「怜お疲れ様」


 俺のお姉様であり魂の姉妹とも言える渡咲夜わたりさくやさんが出迎えてくれた。


「怜ちゃんお疲れー、今年は何事もなかったようだね」


 織ねぇが楓さんと桜さんをからかうように一言。


「姉さん、一年前の事を今更言わなくても」


 織ねぇの妹の源乃明海ちゃんが織ねぇをたしなめている。


「「その節はすみませんでした」」


 少し恥ずかしそうにしているのは斉穏寺楓さいおんじかえでさんと真咲桜しんざきさくらさんだ。


「冗談よ、真に受けないでよ」


 織ねぇが手をひらひらさせて苦笑を浮かべている。


「そろそろ話を進めませんか?」


 芦田雪菜あしだゆきなさんがたしなめるように一言。


「そうだね、全員揃った? なら今年の生徒会に勧誘する人を決めたい」


 高等部の生徒会長の星宮ほしみやマリナさんが何枚かの生徒写真と履歴の書かれた紙を並べる。その中には俺の親戚で今年入学した平宮鈴ひらみやすず平宮篠ひらみやしのの二人も入っているようだ。


「まだすぐ決める必要もないのでしばらく様子見でいいのではないでしょうか?」


「それもそうだね、鈴ちゃんと篠ちゃんでも良いけど、流石に身内で固めるのはどうかと思うしね」


「姉さんそれに関しては既に手遅れじゃない?」


 織ねぇと明海ちゃんの言うこともご尤も、それじゃあ他の人にとなるのだけど、人となりがわからない次点では決められないよね、ということで5月の連休までは少し様子を見ることになった。


 今のところ候補は5人、今わかっているのは平宮の双子、陰陽師の家系で今年の新入生代表となった東雲梓しののめあずさ、御雷家の分家出身の雷門桐華らいもんきりか、マリナさんの知り合いという魔術結社所属のルーナ・ラーラ、この5人に絞られている。


 とりあえず一人一人に話を聞いて生徒会に入りたいかを聞いてみないといけない、生徒会に入っても良いということなら何度か見回りに参加してもらう感じになるだろう。その辺りの対応はマリナさんと織ねぇにお任せする事になった。


「もう聞いていると思うけどもう一度上方を共有しておこうか」


 織ねぇが全員の注意を促し話し始める。


「今までは怜ちゃんの式の朱天がいたけど、事情があってしばらく戻ってこないみたいなんだよ、去年一年程はほとんど朱天が学院内の見回りを買って出てくれていたけど今後は生徒会が中心としての見回りを再開することになる」


 まったく見回りしていたわけではないけど、朱天がいたお陰で黒いモヤの対処はせずに済んでいたけど今後はそうはいかないからな。


「というわけで早速今日から見回りを開始しようと思う」


「振り分けはどうしますか?」


 雪菜さんが室内を見回しながら聞いている。


「そうだね、いつものーでも良いけど、たまには変えてみる?」


「こういうのはどうですか、高等部と中等部の生徒会長のマリナさんと怜さん、副会長の詩織さんと明海さん、書紀の私と楓さん、会計の咲夜さんと桜さん、とかどうでしょうか?」


「それいいね、マリナさんそれでいいですか?」


「良いと思う」


 雪菜さんの案にそれぞれが頷き了承をする。


「はい、それじゃあみんな見回りよろしくね、明海いくよ」


「ねえさん待って下さい」


 早速出ていく織ねぇと明海ちゃんを見送って、俺もマリナさんと見回りに出かける、他のペアもそれぞれの担当場所へ向かっていく。


「マリナさんわたし達はどこから回りますか?」


「海の方行ってみる」


「海の方ですね、あまりあちらの方は行ったこと無いんですよね」


「そう? 確かに何もないから」


 二人して人気のない海へ目指し歩いていく、方角は北の教員宿舎を超えた向う側だ。トコトコトコトコと特に会話を交わすこともなく歩く、会話がないからといって中が悪いわけではないのだけど。


「マリナさんとも3年で卒業になりますね、もう進路とか決めているのですか?」


「一応大学には通うつもり、でも時期的にまともに通えるかはわからないかな?」


 確かに来年、遅くても再来年には予言の大厄災が起きると思う、そして大厄災が近づくに連れてこの国だけでなく世界中で何かが起きるとも聞いている。そんな中俺たちのような力を持っている人が表に出始める、その準備は既に整っているようだ。


「どうなるんでしょうね」


「星読みをしてもよくわからない、むしろ最近は前よりよくわからなくなっている」


「そうなんですか」


「うん、そう」


「だから備えは必要」


 そう言って俺を見つめてくるマリナさんに、素材として髪や血をゆすられた。まあ、雫の件があるし仕方がないので少しだけ提供しておいた。

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