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第11話 甘い甘いお菓子づくり

 あと数日でバレンタインというこの時、甘い匂いに占領された寮の調理場には10人ほど女子が集まっている。その女子に混ざって俺と咲夜さんはチョコレート作りをしている。


 咲夜さんは料理はそこそこできるけど、流石にお菓子作りはやったこと無いということだった、そこでジャンクフード愛好家にしてお菓子作りが趣味という樫宮優真かしみやゆうまさんに相談した所教えてもらえることになった。


 そんな俺達の噂を聞いたのか、教えてほしいという子がかなりの数が集まってしまったようで、その結果複数回に分けてお菓子作り教室が開かれることになった。そして今日がその第一弾となっている。


「はーい、それじゃあ湯せんが終わった人は、ボウルを用意しておいた冷水に切り替えてくださいね」


 優真さんの掛け声に合わせて作業を続ける。ちなみにここに集まってる女子は全員ペアで来ている、ご想像の通り指輪を交換して姉妹関係になっている人たちだ。告白目的の人はまた別の日に開催されるお菓子作り教室で教えてもらうとの事だ。


「冷水に移動させたらゴムべらで混ぜながらチョコを冷やしてくださいね、こまめに温度を測りながら大体32℃くらいになったら用意しておいたピュアココアを入れてくださいね」


 みんな真剣にゴムべらでチョコを混ぜている、俺の所は俺がチョコを混ぜ咲夜さんが温度計をチョコに差し込みながら真剣な目で温度を見ている。


「怜そろそろ良いみたいよ」


「わかりました」


 丁度いい温度になったようなのでボウルを冷水から取り上げて、用意しておいたピュアココアを入れて再び混ぜ始める。


「ピュアココアを入れ終わったら、粉気がなくなるまで混ぜてくださいね、その際は30℃から32℃くらいをキープするようにボウルをお湯に入れたり出したりしながら混ぜてくださいね」


「怜、変わらなくても大丈夫かしら?」


「大丈夫ですよ、その代わり温度の確認お願いしますね」


「わかったわ、任せておいて」


 こまめに温度を確認しながら混ぜ続けているとココアの粉気が無くなった。


「そうそう、そんな感じですね、その後はボウルの底のチョコを剥がすように、右回りに20回、左回りに20回ほどかき混ぜてくださいね」


 優真さんが見回ってそれぞれにアドバイスをしながら教えてくれる。助言の通り右に20回左に20回かき混ぜる。


「はい、そこまで終わったら用意しておいた型に流してくださいね、型に流すときはオーブンシートでコルネを作って型に流し込むと入れやすいので活用しましょうね」


「怜これを使って」


 咲夜さんがコルネを手渡してくれたのでお礼を言って受け取る。コルネにチョコを流し込み用意しておいた型に流し込んでいく。


「先生、チョコって冷蔵庫などで冷やさなくてもいいのですか?」


 他に作っていた人が質問をしているのが耳に入ってきた。


「ええそうですね、冷蔵庫には入れないでそちらの涼しい場所で固まらせたほうが良いですね、冷蔵庫に入れてしまうと温度差で汗をかいたりしますのであまり良くありませんね、もし入れるとしても一分程度で良いと思います」


「そうなのですね、ありがとうございます」


「そういうわけですので、型に入れ終わりましたら自然に固まるのを待ってくださいね、チョコは固まると縮みますので、チョコと型の間に隙間ができたら完成です」


「先生、余ったチョコはどうしましょうか」


「そうですね、余ったチョコはそこに余っている型にいれて皆さんで味見してみましょうか」


「あっ、それは良いですね、他のみなさんが作った物も気になりますし、みなさんもそれでよろしいでしょうか」


「「「賛成です」」」


 全会一致で賛成のようだ、俺も余った分を持っていこうとした所で咲夜さんが手を出してきた。


「怜、私もやっていいかしら?」


「全然良いですよ、それではお願いしますね、私はお片付けしますね」


 咲夜さんにコルネを渡して片付けしようと少しチョコのこびりついているボウルを持って洗い場に行こうとした所で優真さんに声をかけられた。


「はい、そこのチョコがこびり付いたチョコレートを洗おうとしている皆さん集合です、そのまま洗おうとしてもなかなかチョコは落ちません」


 言われてみればそうかも知れない、無理にゴシゴシしたらボウルが傷ついたりしそうではあるな。


「はい、そこでですねもう一度そのボウルを温めてチョコを溶かして下さい、お湯をもう捨てちゃった方はこちらに用意しているお湯を使ってくださいね」


 確かに一度溶かせば洗いやすいかもしれないなと思いながら、まだ捨てずに置いたお湯の入ったボウルに入れ込む。


「チョコは溶けましたか? 溶けましたか? 溶けましたら順番にここに用意している牛乳を少しずつ入れて混ぜてくださいね、チョコが全部牛乳と混ざったらカップに注いでホットチョコにして下さい」


 言われた通りにチョコを溶かして、順番が回ってきて受け取った牛乳を少しずつ注ぎながらチョコを混ぜ合わせる。戻ってきた咲夜さんがカップを用意してくれたのでホッとチョコを2杯作れた。


 少し余った分は優真さん用にもう一つカップを用意して注いで全部使い切った。見事にボウルにはチョコが残っていなくて洗いやすくなった。咲夜さんが持ってきたチョコを取り出した後の型とお湯が入ったボウルと冷水の入ったボウル、それと温度計やゴムべらを持って洗い場で洗う。


「お片付けが終わったらホットチョコが冷える前に味見をしましょうか」


 洗い終わった人から自然と試食用のチョコが置かれてるテーブルに集まる。


「それでは、今日は皆さんお疲れ様でした、これを機にみなさんもお菓子作りに興味を持ってもらえたら嬉しく思います、それでは頂きましょうか」


「「「先生今日はありがとうございました」」」


 優真さんにみんなして頭を下げてお礼を言うと、優真さんは照れくさそうに笑っている。


「それでは、いただきましょう」


「「「いただきます」」」


 それを合図にみんな試食用のチョコを食べてホットチョコをのみ感想を言い合っている。今回はブラックチョコレートを使ったので思っていたほど甘くはない、それに対して牛乳が入ったホットチョコはいい感じの甘さが感じられた。


 一通り感想を言い合い、チョコとホットチョコを堪能した所でお開きの流れとなった。


「みなさん上手に出来ているようですね、今回はブラックチョコレートにしましたが、ホワイトチョコレートの場合は温度調節が違いますので気をつけてくださいね」


「「「はーい」」」


「何かわからない事があれば聞いてくださいね、それでは皆さん今日のお菓子作り教室は終わります、お疲れ様でした」


「「「お疲れ様でした」」」


 俺と咲夜さんは作ったチョコを容器に入れて、再度優真さんにお礼を言って部屋に戻った。チョコを比較的暖房の届きにくい所へ直しておく。今回作ったチョコは送り合うのではなくてバランタインデーに一緒に食べることにしている、プレゼントはお互いに今度買いに行く予定だ。


 その時に優真さんになにかお礼の品を買うことにしている、優真さんはお礼とか良いからと言ってくれているけど、やっぱりそれだけじゃあね?

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