出会い
細かい設定も考えずに書き始めてしまいました。
初めての作品なので温かく見守って頂ければと思います。
指摘やこっちの方がいいんじゃない?等のコメントもぜひぜひお願いします!!
この作品が皆様の心に少しでも残ることが出来たらな…と思います。
夜が好きだ。
そんなことを思いながら街中を歩く僕の名前は澤田 健二
今年で20歳になる。
高校を卒業した後すぐ今の会社に通い始めた。
今年でもう2年目となるのだが未だ一人暮らしにも会社にも慣れずに過ごしている。
「仕事辞めれねぇかなー。」
そんなことを思いながら空を見ると、とても明るく光る満月が目に入った。
綺麗だな、と余韻に浸っていると近くから悲鳴が聞こえてきた。
関わるとろくな事が起こらないと思った僕は早歩きでその場を去ろうとした。そう、去ろうとしたのだ。
しかしそれを阻止するかのように女性が抱きついてきた。
「なんだよ?お前には関係ないだろ?」
とても頭の悪そうな男が問いかけてきた。
とても大きな勘違いをしているが、指摘しても意味がないだろう。
この場をどう凌ぐか考える僕に新たな問題が立ち塞がる。
「お願いします!!助けてください!!」
そう訴えかけてくる女性の手を、僕には振り払うことなど出来なかった。
「ついて来て!!」
そう女性に囁いたあと、女性の手を取り今までにない程の速さで走った。
今なら陸上選手にでもなれるかも、と考えている僕は少しおかしいのだろう。
後ろで先程の男が大声で何かを発していたがそれを聞く余裕などあるはずもなく、ただひたすら走る。
5分ほど走って着いたのは僕の家だ。
女性をいきなり家に招くのはどうなのか、と少し考えたが、
紳士的にホテル代を渡せるほどの財力がない僕にはこれしかなかっただろう。
「とりあえず座って。お茶でも出すよ。」
冷蔵庫からお茶を取りだし、彼女の前に座る。
冷静になってから話を聞いてみると彼女について少し知ることが出来た。
名前は杉下 花梨
年齢は19歳、大学生だ。
さっきの男について尋ねると、「何も言いたくありません。」と、言われてしまい彼女を思いやれてなかったと少し反省した。
初対面の年下の子にこんなことを言うのもなんだか、とても綺麗な顔立ちをしている。
まるで、かぐや姫のような、そんな儚さと美しさを纏っている。
そんな彼女との時間の終わりを告げるかのように彼女が口を開く。
「すいません、実は私この後用事があって…」
詳しく尋ねようとしたが、彼女の言いにくそうな顔を見てやめておいた。
「そうなんだ。こんな時間まで引き止めてごめんね。さっきみたいなやつがいるかもだから気をつけて。」
そう、話し込んでいるうちに時計の針はもうすぐ22時になろうとしていた。
「後日お礼させてください!!」
そう言ってくる彼女を拒む理由など見つかるはずもなく、連絡先を交換して彼女は僕の家を去った。
彼女からの連絡は意外とすぐにきた。
日にちにして3日ほどだ。
内容はやはりお礼がしたいと言うものだった。
「今日の夜、以前助けて頂いた場所に来てくれませんか?」
ひとり暮らしを始めてから夜の予定はおろか、休日の予定さえもない僕は、「分かりました。」と返信し会社へ向かう。
彼女と会うのが少し楽しみに感じてしまっている事に、僕自身少し驚いてしまった。
いつもは憂鬱に感じる会社への道が少しだけ楽しく歩けたのも彼女のおかげだろう。
どんな事を話そうか、どんな服装で行こうか、
そんなことばかり考えてしまう僕の目に、会社が映る。
現実を突きつけられたかのように感じたが、しょうがない。
今はただ、彼女に会える時間を楽しみにしておこう。