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『寸劇』  作者: シルヴィル
1/1

競技クイズの天才と争い

「問題……」


 クイズの世界は狭く精巧で、ホンモノは少ない。押しを見ればなんとなくわかる。


問読み「兄弟に有島武郎を/m…」


鹿島「さ、さとみとん」(ピンぽーん)


 ああ。今の問題を取ったのは鹿山か。いいスラッシュ。クイズサークル内にはなんとなく、担当分野という概念がある。それは誰がどのジャンルを得意なのか把握しているということだ。例えば今、「里見弴」を取った鹿山が本当に得意なのは広い文系の回収だ。ああいうスラッシュはあまり性分ではないはず。でも取った。彼も彼の研究が進んでいるのかな。私から見るとあの問題を「本当にそれを得点源にしていない」鹿山がとるのはかなり辛い。同セットで抜けの可能性があるのは佐藤か、しげぽんかなぁ。


問読み「問題 大穴の周りにある町オースに住む少女・リコが/」


道谷「メイドインアビス!」(ピンぽーん)


 最近のアニメか。僕は本チャンじゃないけど知ってるなぁ。アニメ友達に好みを聞いて知った。いい作品だったという。アニメの問題は設定から入っていって、一番最後のヒント――いわゆる「落とし」――に原作者をいう形式のやつはよくある。ここではアニメ分野に裾野を広げる道谷くんが取ったか。情報を分解すると固有名が2つ聞けている。これは「オース」を聞いて思い出すワンテンポを置いて押した感じか。やっぱり一年生はまだ押しが慣れてないし、知識の「競技クイズ」適応がまだ浅いからしょうがないが…


 ―問題が続きセットは鹿山が取った―


 そこそこいい試合だったが、問題群的に文系が多かったから鹿山に軍配が上がった感じだ。佐藤・しげぽんは得意ジャンルを食い合って点数が伸びないし、道谷くんは結果3問正解。とってる幅も面白い。競馬も得意なのか。ぜんぜん分析できない押しをして、先が楽しみだなぁ。

 クイズの分析は面白い。外部の人間はこの世界についてあまり理解していないと思う。例えば「××」といったテレビ番組があるけどあれらは「テレビ向け」。知識的な幅としてかぶっているとこともあるけどね。本質的にいえばクイズの前振りを映像・写真、音などに置換しているにすぎないと僕は考えている。だから一概に否定もできない。でも僕らの本チャンじゃない――

 僕らのやるクイズってのは上のような問題のやつだ。「どんな分野でも出る」自由なやつだ。(とかうたっているけど、エッチなやつだったり、犯罪がらみのやつは普通はでない。「それ用のクイズ」があるけども)そしてそれを「問題を聞いて」押す――。各問題に各々のエピソード、覚え方、位置づけ。死ぬほど多くの要因が絡まって一つの押しが完遂される。まさにそれは芸術である。――――

 でも彼らはまだ「論理」がない。体系がない。有島武郎を前振りで聞いて里見弴は悪くない。でもその系統を何人抑えたんだ。「斎藤茂吉―北杜夫、新田次郎―藤原正彦、阿川弘之―阿川佐和子、、、、」こんなものは無限だ。でも家族関係から引っ張る前振りの意識がないとあの押しはできない。それを明文化して実際に使えるようになるのはいつだろうか。


 やっぱり、満たされるのは…… 

 「本気の戦いだよなぁ……」


 なぁ。次のの大会はチーム戦。うちのクイ研から5人を選抜しないといけない。×××大会。どうやって勝利を目指そうか…


 「林さん。ボタン入りますか~?」


 クイズはいつだって楽しい。こんな風に。


「問題 「未来の未」/」 


 林「再読文字」(ピンぽーん)



 


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