第96話 『予知』は絶対ではない
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研悟は陸疾が心配なのであった。技能開花が使える者はばらけて対応した方が良い。それは頭では分かっている。しかしだからと言って経験の浅い陸疾と同行したのが同じく経験の浅い凛夏なのである。やはり反対を押し切って自分かケイトを同行させるべきと意義を唱えるのに凄く迷ったのである。しかしディメンションズからも経験の豊富な人が送られるはずだという景計の言葉に納得してその考えを捨てたのである。
自分でさえ大いに苦戦をしたのである。そのことから心配が絶えないがひとまずは景計の言葉を信じてディメンションズの同行者を頼りにしひとまず研悟ら3人はガーディアンズの基地に戻ることにしたのである。
ガーディアンズ基地から少し離れたモール辺りに話題となっている陸疾は向かっていた。その隣にはガーディアンズから八雲凛夏が、そしてディメンションズから佐久間瞭司が同行していた。恐らくガーディアンズとディメンションズで組むことの出来る最も経験の浅いチームであることは言うまでも無かった。
「とりあえずこの3人がチームな訳なんだが、指示を出す隊長とか決めとくか?」
そうやや呑気な声を上げていたのは佐久間瞭二である。他の2人は高校2年の17歳であるが彼は18歳であった。気乗りはしないが自分が言い出さなければいけないという使命感があるようだ。声こそ呑気だが言っていることはまともではある。
「しかし佐久間さん。」
「瞭司で良いぞ。それにさんも敬語もいらん。面倒だ。」
「後でとやかく言わないでくださいよ?…それじゃあ瞭司、あんたゴリゴリの遠隔での射撃で攻撃するのに指示なんて出せないじゃないの?」
「…それもそうだな。それじゃあそっちのどっちか仕切ってくれ。」
「私としては技能開花がある陸疾が指示を出せば良いと思うけど?」
「それじゃあ俺がやるけど…、あんまり期待はするなよ。それじゃあ基本的な戦闘パターンとして、中距離の凛夏と俺が積極的に仕掛けていって隙を作ったらその隙を瞭司が遠くからついて相手を錯乱させつつ俺の技能開花で詰めるって感じで行こうか。」
「そんなに上手く行くか分からんがとりあえずそれで行こう。俺は比較的見やすくて高い場所に構えておくよ。…そうだな、あそこの立体駐車場の屋上にいようかな。あそこなら比較的動けそうだし射線変えつつ隙があったら仕掛けていくよ。」
「了解。それじゃあ瞭司はそれで良いとして凛夏と俺で戦闘パターンを何個か作っておくか。」
どうやら瞭司は別行動で隙を大きくする役目を担うようである。しかしあくまでもそれは作った隙を大きくするだけである。従ってどうやって隙を作るかもまた大事なことである。瞭司が位置につくまでの間に陸疾は凛夏と2人で作戦を立てていた。大事な作戦であるためやや熱が入りすぎていた。『予知』されたパラドクスの出現位置を確認しながらとは言え時間はあまり確認してはいなかった。
『予知』は絶対では無い。この場合時間が外れたのならまだリカバリーは難しく無かった。しかし運悪く出現位置の方が外れたのである。侵略を開始する直前、ガーディアンズなる者たちが邪魔をしてくるとの情報から出現ポイントを少し変えたのである。と言ってもそこまで大した差は無い。以前よりも見晴らしの良い高い場所に変わっただけである。もっともそれは陸疾たちには最悪の事態なのだが。
「…あれ?もう時間過ぎてない?パラドクスの人なんて誰も来てないよ?」
「…確かに。3分ほど時間が過ぎてるな。『予知』が外れたのかな?まあこんなこともあるだろうしいつ出現されても良いよう準備が大切…」
陸疾は少し焦った凛夏を安心させるため優しい言葉をかけようとした。その瞬間凄まじい爆裂音が辺りに響いた。2人とも驚いて音がした方向を向いた。その音は立体駐車場から響いてきたようである。どう聞いても車から出された音には聞こえなかった。
「…もしかしてあれ?パラドクスが既に来てたってこと?」
「だとしたら瞭司が危ない。凛夏!俺らも早くあっちへ向かおう。」
2人は急いで立体駐車場へと駆けて行った。瞭司が向かった立体駐車場に辿り着いた2人の目に飛び込んで来たのは明らかにパラドクスと思われる男と思い切り殴られたのか既にボロボロになって男に掴まれている瞭司の姿であった。男が身につけている黒い鎧と黒く尖った鉤爪には瞭司のものと思われる返り血が付いていた。
「…お前らこいつの仲間か?」
「…そう言うあんたはパラドクスだな?」
「あぁ、そうだ。俺はパラドクスのネル・ルード。この世界を支配するために来た。…まあ邪魔する者もいるだろうとは思ったが、こんなにも歯応えが無いとは思わなかったぞ?」
早くも瞭司がKOされてしまいました。陸疾と凛夏は果たして2人で勝てるのでしょうか。




