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第81話 戦いの行方は?

読んでくださりありがとうございます。


「仕方ないここで迎え撃とうか。幸運な事にここは袋小路、私の背は守られている。だから前だけを見れば良い。少々急造だが致し方ない。この技能解放でお前との戦いを終わりにしようじゃないか。―技能解放―《狡猾ナル落下罠》」


定平は覚悟を決めたかのように地面に手をかざし《狡猾ナル落下罠》を発動させた。しかし虚をつく訳でもないその罠は誰もかかる事は無さそうに思われた。


「…その技能解放はよ。予想外の所からやって来るから引っかかるんじゃねぇのか?見た目、話し方から知能が高いって思ってたんだがどうも違いそうだな。そしてその見え見えな挑発。お前はさっき言った事を覚えているのか?」


「…何の話だ。」


「俺たちはここに来るまでに千年前に主流である戦い方を対策して来てるって話だ。この距離じゃ分かりづらいが銀色に何やら光って見える。直前にワイヤーを仕掛けてあるんだろう?小賢しい限りだ。」


そう言うとマイケルは真っ直ぐに定平に向かって駆けた。《狡猾ナル落下罠》の1メートルほど前にこっそり仕掛けられていたワイヤーを華麗に飛び越えてそのまま罠を飛び越えるつもりのようだ。


「ワイヤーを戦闘に使う奴は見えにくい足元に仕掛けるのが相場だ。ツヤ消しのグリーンを塗るまでは時間が無かったようだな。設置されたワイヤーは無闇に切ってもいけないから飛び越えるのが良い。悪いがお前の考えは筒抜けなんだよ!」


勢いよく仕掛けられたワイヤーをマイケルは飛び越えた。足元に仕掛けられているのを慎重に見ながら、定平が妙な行動を起こさないよう定平の方にも注意を向けていた。…従って上方面の注意は散漫だったと言える。マイケルが飛び越えた丁度頭の位置くらいに透明度の高いテープのようなものが張り巡らされていた。勢いよくそれにぶつかったマイケルは当然のように背中から地面に不時着した。もちろんそこには《狡猾ナル落下罠》が仕掛けてある。


「ツヤ消しでグリーンを塗るのは普通なら事前にやっておくものだよ。もちろんやってないことはそれに理由があるってことだ。人間は自分で対策を見つけた時と勝ちを確信した時が1番愚かになるもの。千年経ってもそれは同じのようだな。」


《狡猾ナル落下罠》にまんまと掛けられたマイケルに定平はこう言ったが既にマイケルの耳には何も聞こえてはいなかった。この技能解放は拘束を主体としており少し引っかかっただけでも体中に痺れを生じさせることが出来る。そして直撃した場合意識を消失させた上で相手を拘束することが出来るのだ。つまり定平はマイケルを無力化し拘束する事に成功したわけである。


定平は端末で近くにいた職員にマイケルを預けると壁に打ちつけられていた陸疾の姿を探した。先程見た時には立ち上がれないでいた陸疾であるがようやく立ち上がれるまでは回復したようだ。


「…おや?案外元気そうじゃないか。てっきりもう立ち上がることも出来なくなってるかと思ったんだがな。」


「…勝ったのか?」


「もちろん。…本当の事を言うと確実に勝つために最初から観察していた。血気盛んな拳司が君と一緒にいた場合、気をつけろと言ってもいさかいになるだろうと思って駆けつけたんだがもっと予想外な事にパラドクスと遭遇しているとはね。」


どうやら定平は割と前の段階から拳司と陸疾のやり取りを見ていたようだ。勝つために仲間がやられていてもグッと堪えて勝機を伺うのは定平らしいと言ったところだが陸疾には少し気になることがあった。


「気をつけろ…とは?別にディメンションズが気をつけることなんて無いんじゃ?」


「…ん?ああ、それはまあまた後で言おう。それより相谷陸疾。君にやってもらいたいことがある。」


「…はぁ?」


陸疾の問いかけは軽くあしらわれた。さらに重ねて定平は陸疾にやってもらいたいことがあると言う。陸疾にはディメンションズの定平がガーディアンズの陸疾に頼むことがさっぱり浮かんでこない。困った顔を浮かべている陸疾に定平はさらに続けた。


「君に君たちの基地まで案内してもらおうと思ってね。パラドクスがついに侵略を始めたことを考えると早い方が良い。早く基地まで案内してくれ。」


「待て待て!話が分からない。…まずなんでガーディアンズの基地を案内しないといけないんです?ディメンションズのあんたに基地を案内する訳にはいかないよ!」


「…あんまり話が早い方でもないのか。そもそもだが私らは君らの基地の場所ぐらい把握しているよ。別に1人で行っても良いんだがそれだと何にも事情を知らない人がいっぱい来るでしょう?だから君に案内してもらった方が進行が楽なんだ。」


定平の言っていることはもっともな事に聞こえはするが陸疾には話が全く分からない。恐らく意図的に何か隠されている。陸疾はそう判断して食い下がったのである。


定平はパラドクス相手に勝利を収めることが出来ました。定平は技能の使い方もそうですがずる賢いという言葉が似合います。さて見事勝った定平ですが陸疾に対して頼みごとをしています。陸疾は何かが意図的に隠されていると感じていますがそれは定平が勝手に言葉を抜いているからです。こういう時に混乱させる言い回しをしてしまうがために研悟は定平が苦手なのです。

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