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第79話 技能解放のさらに先

読んでくださりありがとうございます。

「俺にはちっとも何が言いたいか分からん。」


「そう…。お前はさっきの男みたいに雑魚じゃなきゃ良いんだけど。ガーディアンズ…浅はかにもパラドクスに抵抗せんとする矮小な組織よ。その力見せてもらおうか。」


ゆっくりとマイケルは体を前に傾けたかと思うとすぐに距離をつめて長剣で斬りつけて来た。どう言う仕組みかは知らないがかなり移動速度が早い事は先程見たので知っている。分かっていれば防ぐのは難しい話ではない。


「俺の技能はそんなに強くなくてね。『裁断』に『蹴足』…、どれもそこまで高性能な技能では無い。だから俺は基礎を固めた。強くなるためにな。」


「…何の話だ。」


「ところが強え奴は総じて基礎も高水準で固めてるときた。だからよぉ、俺は基礎を鍛えに鍛えまくったのさ。そうしてパラドクスの一員になった。さて、こっからは瞬きすら許されねぇよ?」


言い終わるや否やマイケルは陸疾の懐へと潜り込んだ。瞬きした訳では無いが完全に気付くのが遅れた陸疾はマイケルの攻撃をそのまま受けざるを得なかった。重い重い蹴りが鎧を突き抜けて陸疾へダメージを食らわせた。恐らくこれがマイケルの言う『蹴足』の効果の賜物であろう。


「…効くだろ?お前らがどのように技能を扱うかは知らねえがパラドクスは自分に備わった技能を極限まで鍛える。俺の場合移動するにも当然のように技能を使う。地面を蹴って走るのは当然俺の技能の範囲内だ。…さて、お前は何が出来る?」


…なるほど、この異様に速い移動も技能によって実現されているのか。ここまで技能に対する姿勢が違うとはな。…どう戦っていこうか。『蓄積』の効果を悠長に期待してるほど長期じゃ戦えないね。消耗が激しすぎる。ここはひとまず、技能解放の力で打開するとしようか。


「何が出来るか…、自分の目で見ておくんだな!―技能解放―《空歩ノ理》」


勢いよく陸疾はマイケルへ突撃を仕掛けた。先程食らった蹴りのダメージから普段より遠く力強く跳躍した陸疾の突撃はマイケルに近づくにつれてその威力を十二分に引き上げていた。


しかしそれはあくまで直線的な攻撃にすぎなかった。直線的な攻撃は回避しやすくカウンターを仕掛けやすいのである。そして移動速度が速いマイケルは当然回避の速度も速い。陸疾の渾身の突撃は簡単に回避されてしまったのである。


「おい、残念な事をするんじゃねぇ。これじゃさっきの奴より弱いぞ?」


回避したマイケルはやはり自身の技能である『蹴足』から蹴りでのカウンターを決めようとした。それは陸疾の予想通りである。問題はどこにカウンターを仕掛けてくるか、である。陸疾は先程同様腹部を狙ってくると予想し突撃を止め槍から手を離し右上へ回避を試みた。―空中への回避により技能解放の発動条件を満たした。


「まだまだ!―技能解放―『逆襲ノ舞』!」


陸疾は渾身のカウンターである右拳をマイケルに見事に直撃させた。槍では無く拳でのカウンターとなったが回避したマイケルの蹴りの威力も相まってかなりの手ごたえを陸疾は感じていた。梔子を拾いながらふっ飛ばしたマイケルの方を陸疾は伺った。これで勝てずとも体力をそこそこ削れたなら良い…、そう陸疾は考えていた。だがふっ飛ばしたマイケルは平然と立ち上がったのである。


「…中々痛えな。カウンターされたのは酷く久しぶりだぜ。まさか自分が仕掛けに行ったカウンターにカウンターされるとは思わなかったよ。…だがまだお前はその辺の雑魚だな。いくら強力でも技能解放ではパラドクス相手にはならんよ。」


「…どう言う事だ?」


「お前さっきから聞いてばっかだな。理解力がねぇのか無知なのかどっちだ?…まあ俺にカウンターを直撃させる奴だ理解力が無いとは思いたくねぇ。つまり無知だな。なら見せてやるよ技能に備わった本当の力ってやつをな。―技能開花―《一蹴亜連撃・三日月》」


陸疾には何が起こったか見えなかった。代わりにどのような攻撃を受けたか防ごうとした盾からの感触が、鎧の上から感じる衝撃が、両手の梔子もロブスティラも手放してしまう程の痛みが陸疾を襲ったのだ。壁に打ちつけられ意識がどこかへ行こうとしているのをぐっと堪えて陸疾は立ち上がろうとしたがすぐに立ち上がれは出来そうに無かった。


「技能解放ってのは技能に備わった技だ。それをさらに磨き上げ威力を極限にも高めたのが技能開花と呼ばれる。文字通りの必殺技になる訳だ、効くだろ?まあこれで俺たちパラドクスとお前らガーディアンズに大きな差が開いているのが分かった訳だな。あと何だっけディメ…、ダメだ忘れたわ。本人に聞くにも気絶してるだろうし…!そこにいるのは誰だ?」


拳司の事をすっかり忘れていたようでマイケルはそちらの方へ振り返った。陸疾からすれば絶好のチャンスなのだが体は動かない。それほどのダメージを食らったということなのだろう。辛うじて顔を上げた陸疾はマイケルがまっすぐ睨みつけている方向に立つ人物を見た。顔が見えないその人物はスーツを着ていた。


「お前が忘れたのはディメンションズだろう。私の後輩が世話になったようだ。」


千年先の未来から来ただけあってパラドクスはかなりの強敵のようですね。敗北寸前まで追い込まれている陸疾ですが増援が来たようですね。来たのはスーツ姿のあの『狡猾』な男です。

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