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第75話 常軌は逸せども

読んでくださりありがとうございます。


残念そうに凛夏はそう呟いたが今のところ特製銃弾は凛夏の出せる最大火力である。あまりの反動で多用は出来ないが的確に当てる事が出来るならかなり戦闘の幅が広がっていると言えよう。


「まあ、それ抜きで考えればかなり強力な攻撃手段なのは間違い無いけどね。この特製銃弾の研究もしてたから私は2つ目の技能解放はまだ出来て無いわ。…あれ?技能の検証をするんだよね?技能解放も出来て発動条件も分かってるなら後どこを検証するのよ。」


凛夏は大真面目な顔で陸疾にそれを聞いてきたのである。当然陸疾が行うべき検証は3つ目の技能である『蓄積』についてなのだが凛夏にどこから説明すれば良いのだろうか?


「ええとな。…まず技能スペースってあっただろ?」


「あぁ、あるね。2人で見つけた奴でしょ?」


「そう、それ。それには3つ目のもあったんだよ。」


「…3つ目のも?つまり…3つ目の技能があるって事?」


「そう!それで俺は今技能を3つ持ってることになるんだよ。その3つ目の効果の検証とそれの技能解放を今目指してるんだよ。」


「…ちなみにその3つ目って何だったの?」


「『蓄積』だよ。正直名前だけじゃ効果がよく分かんなくてさ。」


「『蓄積』…ねぇ?…あ、分かった、あれじゃない?疲労の蓄積とかって言うじゃない。だから何かしらを貯めておけるんじゃないかしら。」


「そうだとして…だよ。一体何が蓄積されるのかが分からなきゃ貯める意味が無くないか?」


思いついたとばかりに凛夏が言ったものは既に陸疾も考えていた事である。恐らく名前からして効果の大部分はその認識で押さえられていると思われるが肝心なところがまだ分かっていないのだ。もちろんその肝心なところとは何を蓄積するのかである。


「凛夏が言った疲労はもちろん、ストレス、ダメージ、知識、…後は幸運とか?貯めるものはいっぱい考えられるんだが何を貯めるものなのかも分からなければ貯めて何になるのかも分からない。」


「でもダメージの蓄積とかだと分かりやすいんじゃない?もらったダメージを技能解放して相手に跳ね返すとかが技能解放になるとかありそうじゃない?」


「なるほど、跳ね返すね。でもそれだと技能解放の効果自体は分かりやすいけどどうやって発動させるんだ?技能解放させるには一回はその動きをしなきゃいけないって聞いたぜ?」


陸疾の考えはもっともである。技能解放は一度同じ動きをしなければ発動させる事は出来ない。従って発動条件が緩ければ緩いほど技能解放に至れる確率は高いのだ。もちろん発動条件が簡単なものは効果がそこまで高くない場合もあるのだが。


今回の凛夏が考えた案は発動条件をどう考えるのかが肝になってくる。攻撃を跳ね返すならまだしもダメージを蓄積させてまとめて跳ね返すとなるとどういう動きになるのか想像がつかない。


「確かに…どういう動きだろうね。…あ、でも跳ね返すだったら一個浮かんだわ。」


「お?何か浮かんだのか?」


「うん、その盾を前に出すとかどうかしら。盾で跳ね返すなら動きが想像出来るわ。」


「なるほど、何回かそれをもとに検証してみようか。」


こうして『蓄積』の技能の効果と技能解放への検証が始まったのだ。今回の検証で行われたものは次のようなことである。ある程度の相手この場合凛夏からの攻撃をそれぞれ、盾、鎧、鎧の無い部分で受けその後盾を前に突き出す事である。どこまでの時間や威力を蓄積出来るのか分からないため今回は約1分の間の連射で検証したのだ。《逆襲ノ舞》の前例から空中でのダメージも検証したのだが、何の効果も得られなかった。


「うーん、どうもダメっぽいな。考えの方向性は悪くないと思うんだけどなぁ。」


「そうねぇ、盾を前に突き出すじゃあ無いのかもね。でもそれ以外に跳ね返す動きはイメージ出来ないんだよなぁ。」


「これじゃダメージより先に疲労やストレスを蓄積しちゃいそうだぜ。ちょっとその辺跳び回ってこようかな。ストレスが発散出来るかもしれない。」


「…正気?まあストレスを溜めるよりは良いのか?」


凛夏の呟きは聞こえなかったのか陸疾は思い切り踏み込んでそこらを跳び回っていた。模擬戦だと凛夏以外は誰も見ていないので凛夏以外はその行動を見ていないのだがはたから見るとやや常軌を逸した行動のように凛夏には思われた。なるべく見ないようにしていようかと考えているとやや遠くの方から跳びながら陸疾が帰って来るのが見えた。ストレスが発散出来たなら良いかと思った凛夏なのだが戻って来た陸疾の顔は晴れやかではなく困惑を浮かべていた。


何も出来ず膠着状態に陥った時は時に滅茶苦茶な行動の方が打開策になったりするものなのです。さて陸疾は何に困惑してるんでしょうね。

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