第74話 特製銃弾
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「実際どれくらい派手なのかは発動させてる俺から見てるのと食らった側から見てるのはそりゃ多少は違うだろうがそれほど大きく差は無いはずだ。俺の2つ目の技能解放は《逆襲ノ舞》って名前でただのカウンター技だよ。」
それを聞いて凛夏はかなりがっくり肩を落としていた。どうやらかなり期待していたらしい。そもそも男のカッコいいが凛夏にどこまで伝わるかは陸疾には謎でしかないのだ。
「なんだぁ、嘘なのか。そんなにカッコいいって言われたから結構期待してたんだけどなぁ。本当に嘘なの?」
「そりゃ研悟さんの趣味がドンピシャだとすれば派手でカッコいいのかもしれないけど、俺からすればごくごく普通だよ。…そんなに期待してたの?」
「趣味は違うだろうけどあんなに煽られると期待は上がるよね。んで?カウンター技なの?とりあえず食らっておこうかしら。」
「お、受けるのか?ごくごく普通の俺のカウンター技を?それならカウンターだからななるべく大っきい攻撃を撃ってきてくれよ。その分威力も上がるだろうしもしかすると派手さも変わるかもしれないしさ。」
「りょーかい。」
そう言うと凛夏はAR -ジャッジメントを構えた。《逆襲ノ舞》の発動には空中回避が条件であり、銃を回避するのってかなり難しい事なのでは?と思いながら陸疾は凛夏の攻撃を待ち構えた。
「一番大っきい攻撃って言うとこの特製銃弾の出番ね。回避するのは難しいだろうから3カウントで発射するわ、頑張って避けてね。それじゃあ行くよ!3、2、1、GO‼︎」
凛夏が放ったその銃弾は普段の銃声とは比べ物にもならない程の爆音と共に勢いよく発射された。銃声を聞いてから動いては全く間に合わないがカウントのお陰で陸疾は無事に空中へと回避を成功させた。すなわち《逆襲ノ舞》の発動条件を満たしたのである。
「―技能解放―《逆襲ノ舞》」
模擬戦という事もあり凛夏は避けも防ぎもせず《逆襲ノ舞》を真っ向から食らったのである。微動だにしないため発動させた陸疾が当てるのに躊躇った程であった。こうして放たれたカウンターは先程の銃撃の威力も相まって無事に凛夏を戦闘不能にしたのである。
『―、戦闘終了。八雲凛夏の戦闘不能により、相谷陸疾に1勝が追加されました。装備を変更されますか?』
一発で戦闘不能にさせちゃったか。《逆襲ノ舞》自体はそれほど威力は出ないからなぁ…。つまり特製銃弾だっけ?そいつの威力がかなりやばいって事だな。次の模擬戦で聞いてみようか。
『―、両者の装着が確認されました。これより模擬戦2戦目を行います。』
準備を終えた陸疾は再び平原Bへと転送された。先程凛夏がいた場所まで駆け足で向かうと丁度凛夏も到着したタイミングでその場所へと辿り着いた。
「お、いたいた。《逆襲ノ舞》だっけ?凄い威力だね。流石にそれ一発で1戦目が終わるなんて思わなかったよ。」
「いや、《逆襲ノ舞》はあくまでカウンターだからそれ自体は言うほど威力は高く無いのよ。特性銃弾って言ってた奴の威力が高いんだと思うぜ?その特製銃弾って奴はいつもの銃弾と何が違うんだ?」
陸疾がそう聞くと凛夏はニヤリと笑ってある物を取り出した。1つは一般的に想像される銃弾のように見えるものでもう1つは銃弾の後ろ側に何かがくっついていた。
「右手に持ってるのが普通の奴で、左手が特製銃弾だよ。さて、違いが分かるかなぁ?」
「違いって言ってもなぁ…。銃弾の後ろに何かくっつけてあるみたいには見えるが。」
「お、当たり当たり。この特製銃弾は中の弾頭って言う部分を切り詰めてその代わりに火薬の量を増やしてるのよ。勿論使う火薬も強力なものにしてるわ。」
「へぇ、強そうだな。それに確かそのアサルトライフルは連射出来るんだろう?その特製銃弾を連射したらものすごい威力が出せるんじゃないの?」
アサルトライフルは連射出来るのも強みだと聞いた覚えがある陸疾は素直に思った事を口に出した。しかしそう上手くはいかないようである。凛夏は渋い表情を浮かべていた。
「そりゃあこの銃弾が連射出来たら言う事無いんだけど、反動がキツくて今の私には1発撃つのが限界だな。」
「へぇ?そんなに反動がキツいのか。」
「あんたの《逆襲ノ舞》に対して回避とか何にもしなかったでしょう?あれはしなかったんじゃなくて反動で何にも出来なかったのよ。今のところはこの特製銃弾はここぞって時しか使えないわ。」
名前はさておいて素敵な代物ですね。反動が軽めゆえに連射性能が高いアサルトライフルにそんな銃弾を仕込むのは邪道極まりないやもしれませんが、バカでかい火力はロマンです。




