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第67話 技能の研究はどこまで?

読んでくださりありがとうございます。

陸疾は少し迷っていた。何を迷っているのか、それは《逆襲ノ舞》を絡めた戦闘をした方が良いか否かである。対峙している定平はディメンションズの人間であり、ディメンションズが現在どこまで技能を研究しきれているのか陸疾はちっとも知らない。


従って《空歩ノ理》の存在を知られている以上《逆襲ノ舞》を発動させればディメンションズ側に2つ目の技能の存在がバレてしまうのである。となると無闇に発動させるわけにはいかないのだが対峙している定平は大変厄介な相手であるためどのタイミングでそのカードを切るか陸疾は悩んでいたのだ。


「相谷陸疾、最近ガーディアンズに所属した有望株。技能は『跳躍』で技能解放にも行き着いている。拳司や毅彦からの情報で接近戦が厄介ってことなんだがどうやら信憑性は高そうだね。」


「だったら接近戦せずに距離でも取ったらどうなんです?」


「うん、やはり接近戦は中々厄介なもんだね。君の言う通り一旦距離を取る事にするよ。でも距離を取ったら取ったで君の技能解放が飛んでくるからなぁ?《空歩ノ理》…だったっけ?」


短刀での攻撃をいなしながら戦闘していった陸疾であったが定平は接近戦を諦め距離を取るようだ。陸疾の言葉に素直に従った形になったがまだ余力を残した余裕の表情であるり先程から陸疾は戦い方に悩んでいるがそれに加えて定平側の情報が少なすぎる事もまた陸疾を少し億劫にさせた。定平は陸疾を色々と調べているようだがこちらの持つ情報は皆無と言っていい。


口ぶりこそ《空歩ノ理》を警戒しているようだが口元には笑みが見られた。恐らく何かしらの策略があるのだろう。陸疾にはそれが一体何なのか見当もつかなかった。しかしいつまでも悩んでいる訳にはいかない。不敵な笑みを浮かべ《空歩ノ理》を誘う定平に敢えて乗っかる事にしたのだ。


「お望み通り食らわせてやりますよ!―技能解放―《空歩ノ理》」


「ふむ、やはり動きが直線的な方がやりやすいね、ずっと。」


《空歩ノ理》を発動させ猛然と陸疾は定平へと突撃を仕掛けようとした。それを見て定平はゆっくり地面に手を置いたのだ。何がしたい…?そう陸疾が思った瞬間足から下の感覚が消えたのである。


「―技能解放―《狡猾ナル落下罠》」


突然消えた足場に慌てた陸疾はその場で《空歩ノ理》を発動させようとしたが不発に終わった。焦ったため地面と平行には足場が作れない事を頭から飛ばしていたのである。突撃の勢いに助けられいきなり地面に設置された落とし穴に完全に嵌ることは無かったが落とし穴のへりにつまずいて盛大に陸疾は転んだ。アスファルトに叩きつけられただけではない身体の異変が陸疾を襲った。


「…どうだい?体がかなり痺れてきたんじゃないかな?…《狡猾ナル落下罠》は少し特殊でね。私の『狡猾』の技能解放によって作られた落とし穴に触れてしまっただけで対象の体に痺れを生じさせられる。大事なのは罠にかける事じゃないのさ。この技能にとって大事なのは罠によって行動を妨害出来たかどうかさ。落とし穴に嵌められばさらに追加効果が有るんだけどまあそれは良いや。さて、色々と調べさせてもらうよ。」


やはり不敵な笑みを浮かべながら定平はまだ起き上がれないでいる陸疾に近づいて来た。体が言う事を聞かないため陸疾はされるがまま建物の壁に叩きつけられた。


「別にそこまで手荒にしたくは無いんだけどまあ情報ってのは価値が高いからね。…そろそろ口は動いてくるんじゃないかな?無駄な抵抗は良しな、こんな小さな短刀でも無抵抗な人間を殺すのは難しい話じゃない。」


「…情報だって?…なぜそれを俺に聞くんです。…あんたの聞きたい事を俺が知ってるとは限らない、そうでしょう?」


「そうだなぁ…、君は知ってると思うけどね。私はね、ガーディアンズがどこまで技能の研究が進んでいるかが知りたいのさ。」


「……は?」


定平が言っている意味が陸疾には分からなかった。それを知って何になる?その感情が最早顔に出てしまっていた。


「うちのボスが言うには必要なものらしいからね。さて、技能の研究はどこまで進んでいるのかな?」


「そんな事を俺に聞いて何になるって言うん…!」


陸疾は定平の問いかけを真っ向から拒もうとしたのだ。そのため自分に聞いて意味が無いと主張しようとした。顔こそそれなりに動くようになってきたが首から下がまだ思うように動かず視界はほぼ固定されてると言っても良い。従って定平が取り出した二色に輝く技能のカギを真正面から見てしまったのである。何も悟られぬよう口をつぐんだ陸疾であったがそれは二色に輝く技能のカギを知っていると肯定したも同然であった。


「…ほう、この技能のカギを見てその反応か。つまり君たちもまた2つ目の存在に行き着いたと言う訳か。素晴らしい、素直に君たちを賞賛しようではないか。これは君がそんな大事な事を教えてくれた礼だよ。受け取ると良い。」


そこまで言って定平は手にした技能のカギを右拳に握りしめて陸疾に思い切り正拳突きを食らわせたのである。重い痛みが全身を襲いやがて陸疾は意識を失ってしまった。薄れゆく意識の中で頭の中にアナウンスがこだましていた。


《解放条件を満たしました。技能のスペースを解放します。》


二色に輝く技能のカギというのはつまりは2つ目の技能が解放され統合された技能のカギの事を指します。持ち手が金に輝くと以前に書いていると思いますがカギの部分は銀色のままです。従ってその技能のカギは二色に輝いているという訳です。

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