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第64話 れっつカウンター

読んでくださりありがとうございます。


結果が上手くいったので投げ方に間違いは無かったと思った陸疾はどうやら大間違いだったようだ。少なくとも自然には出来てなかったという研悟の言葉で胸が少し痛んだ気もしたが言われた通り陸疾は跳びながら投げることにした。先程同様跳びながら投げる方法がいまいち良くわからなかったが適当に投げてみたのである。やはり今度もまた真っ直ぐ槍は飛んでいきやがて的へ突き刺さった。今回もまた威力は同じくらいのように陸疾には見えた。


「うん、多分決まりだな。『変則』は空中だろうが変な投げ方だろうが普通にやるのと同じだけの威力になる感じで間違いなさそうだ。」


「…変な投げ方だったかなぁ。まあ多分効果はそれで合ってそうですね。じゃあ技能解放はどんな効果なんでしょう?《空歩ノ理》との関連性も全く浮かばないや。」


「そうだな、俺も何のアイデアも浮かばない。とりあえずそれが分かった状態で装備品眺めて来いよ。何かアイデアが浮かぶかもしれないぜ?どうせ模擬戦は5回あるんだ。戻れる時はさっさと戻ろうや。」


そう言うと研悟は日本刀を構えた。何回か食らった陸疾は大体の研悟の剣筋を把握していた。そこで陸疾は先程の計画を実行することにした。勝ち負けは関係ないのだから別にどっちが負けになっても良いはずだ。であれば無条件でさっさと負けるのは少し気持ちが許せなかった。


「―技能解放―《居合ノ匠》」


研悟から放たれた切れ味鋭い剣筋を粗方見切った陸疾は回避を試みた。しかし剣の通る範囲はかなり広いため最早避けるのなら空中しか残されていなかった。カウンターを仕掛けるために陸疾は空中へ跳んだ。完全に予想していなかっただろう研悟の目は丸くなっていた。


「カウンターさせてもらいまっす!」


《居合ノ匠》は振り抜くまでがセットの動きである。従ってカウンターに対処する事は困難であった。ましてや戦闘では無い模擬戦でさすがの研悟も陸疾の渾身のカウンターを食らってしまったのである。


『―、戦闘終了。伊狩研悟の戦闘不能により、相谷陸疾に1勝が追加されました。装備を変更されますか?』


思ったより上手くカウンターが決まり勝利を表すアナウンスが聞こえたことで陸疾は思わずガッツポーズをしようとした。しかしその動きをかき消すかのようにもう一つのアナウンスが陸疾の頭の中に響いたのである。


《解放条件を満たしました。これより技能解放が使用可能になります。使用可能になった技能解放は《逆襲ノ舞》です。》


…今の聞き間違いじゃないよね。《逆襲ノ舞》?だっけ。何したか全然覚えてないんだけどどれが発動条件だろう?逆襲ってあるから多分カウンター系だろうな。とりあえず研悟さんに聞いてみるか。…カウンター仕掛けた事怒っているかなぁ?


『―、両者の装着が確認されました。これより模擬戦3戦目を行います。』


先程同様平原Aへと転送された陸疾はやはり一番広い場所へと走って行った。既に研悟は到着しているようで陸疾の側からは背中が確認出来た。なぜか既に抜刀しているのが気になってしょうがなかったが陸疾は研悟に声をかけようと近づいた。足音で気づいたのだろう研悟がゆっくりとこちらに振り向いた。その表情からは何の感情も読み取れなかった。


「…。カウンター、狙ってたのか?そりゃ俺が負けでも別に構わんがよ。…一言あってしかるべきじゃねぇか?」


どうやら少し怒っているようだ。騙し討ちとなったとは言えカウンターを決められて完敗となったのだ。研悟にも思うところがあるのだろう。しかしそれは陸疾もまた同じであった。


「いやぁ、さっき思いっきり食らっちゃったのもあって。…なんかただで負けるのが嫌になったんすよ。それでカウンターを仕掛けたらどうなるかなぁ…と。」


「…まあ、カウンターは一言言うもんじゃねぇしな。陸疾がただで負けるのを嫌がる気持ちも分かる。俺がそうだから勝手に陸疾を斬ってるんだよ。…そうだよなただ単に負けるだけに斬られるのは嫌だよな。それは本当申し訳ないや。…はぁ、検証に戻るか。」


少し大きめの独り言のようなテンションで研悟は呟き続けた。どうやら研悟もただ単にやられるのは嫌なようで結局2人とも似たもの同士と言う訳である。ため息をつきながらも研悟は技能解放するための検証に戻ることを陸疾に促した。しかしそれはもう必要無いことであった。


偶然にも技能解放の解放条件を満たしたようです。カウンターを仕掛けておいて良かったですね。《逆襲ノ舞》と言うことで名前からも解放前の挙動からも分かるようにカウンター技ですね。

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