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第58話 透の技能解放

読んでくださりありがとうございます。

透が言っている事は正しい。模擬戦では実際の戦闘にかなり近い環境で相手が怪我をする心配をせずに自分の技能が練習出来る。しかしどこまで行っても実際とは異なるのだ。


「そういやお前らって技能解放出来るのか?出来るとも聞くし出来ないとも聞くんだがよ。」


「あぁ、技能解放は2人とも一応出来ます。」


「…一応?なんでそこに一応なんて付く?」


「俺たちは2つ目の技能を解放させてるんすけど、まだ1つしか技能解放を習得してないんすよ。なんで一応って付けました。」


陸疾の受け答えを聞いた透は瞬きを数回した後に豪快に笑い出した。理由が全く分からないので陸疾も凛夏も怪訝な顔をしたのである。


「あぁ、悪い悪い。そもそも技能解放が出来ることは結構凄い事なんだがまさか2つ出来ない事を謙遜する奴がいるとは思わなかったんでな。それじゃあ技能解放が出来るって事で良いんだな。結構なことじゃねぇか。」


「ありがとうございます。でも技能解放は割とすぐに成功させたので2つ目もすぐに出来ると思ったんですがそう上手くは行かなくて…。」


凛夏の声のトーンは徐々に下がっていった。透の口振りからして技能解放が出来るのは凄い事なのだというのは理解しているが、割とすんなり出来てしまったがために次上手くいかないことにもどかしさを感じているのだ。そしてそれは陸疾も同じであった。


「ふぅん、なるほどな。そうだな…。一度俺の技能解放を体験してみるか?」


「…体験ですか?」


「おう、そうだ。お前らはガーディアンズに入ってまだかなり日は浅い。技能についての経験値もかなり乏しい。なら他の人をもっと見る事が大切だ。もちろん完全に同じ方法では無いだろうが他の人の技能解放がヒントになることもある。…どうだ?」


2人とも言葉に詰まった。模擬戦ではない場所で技能解放をくらうのにためらっているのである。順一郎の《感知外障壁》のように攻撃しないものならば良いが透の技能解放が全く予想がつかないのだ。しかしここで断るメリットは大して無い。ただ恐怖が2人の背中を引っ張っているだけなのだ。


「…ふぅ、お願いします。」


「なんだそんなに構えなくて良いぞ、意味無いからな。それじゃやってみせようか。―技能解放―《大地震撼》」


意味が無い、透のその言葉の意味が分からなかった陸疾は動き出した透の手元を注視した。そして2人とも先程の透の言葉を身をもって知ることになる。透は手元のハンマーを思い切り振りかぶって地面に叩きつけた。その衝撃で文字通り地面が大いに揺れた。


「…⁈足が動か…ない?」


「地面が揺れてるんだそりゃ無理ってもんよ。そしてそれは足だけじゃねぇ。」


そう言うと透は今度はハンマーを横に大きく振りかぶった。揺れに気を取られ陸疾は反応が遅れた。慌てて盾を構えようとしたが体は思うように動かなかった。…直撃、それを悟った陸疾は思わず目をつぶった。しかし衝撃はいつまで経っても来なかった。恐る恐る目を開けた陸疾の目に映ったのは直撃の一拍前で静止している透の姿であった。


「さすがに攻撃はしねぇよ。万が一怪我したら俺の責任じゃないか。」


「…今何が起こったんです?」


「《大地震撼》。俺の技能解放の1つだ。『剛力』によって最大限に力を大地に加える事により発動出来る。周囲…7メートル程度の範囲の地に足がついている人間の動きを5秒程制限する事が出来る。だからこうやって元通り動けるようになるまでに相手をぶっ叩くって訳だ。」


「…すげぇ。」


陸疾は思わずそう口にした。そして先程まで透が行っていた行動を思い出していた。この技能解放で戦って行くために何度でも実行出来るよう生身の肉体を鍛えていたのである。自分の技能を活かして戦闘していくために努力を惜しまないその姿は追いかけるべき姿として陸疾には大きく見えていた。


「…回数制限とかってあるんすか?」


「回数制限はあるな。最大限の力が伝えられなきゃ発動しない。今の俺の体力だと3発が限界だな。それ以上は不発か俺自身も動けなくなっちまう。」


「なるほど、参考にはなるか分からないっすけどなんだか頑張ってみたくなりました。早速バトルホールに戻って色々と試してきますね!」


陸疾はどうやらかなりやる気になったようだ。すぐにでも技能解放するために何か試したい、その精神から今にも駆け出しそうであった。そんな陸疾を透は制止させたのだ。


「まぁ待て。話はまだ終わっちゃいねぇ。」


「…?…えっと、透さんの技能解放を見せてくれるんすよね?」


「もちろんその通りだ。」


「…?」


2人とも透の言う意味が全く理解出来なかった。透は先程《大地震撼》を2人に見せた時こう言った。《大地震撼》が透の技能解放の1つである…と。透は静かに地面に手を着けると顔を上げ口を開いた。


「良く見ておけ…。今のところガーディアンズでこの境地に至っているのは恐らく俺1人だけだ。―技能解放―《大地緊縛》」


透はすでに2つ目の技能解放に行きついていたようですね。さすがは古株といったところでしょうか。是非とも透を参考にして陸疾も凛夏も2つ目の技能解放を目指してもらいたいものです。

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