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第49話 トドメは…?

読んでくださりありがとうございます。

陸疾の渾身の一撃によって建物の壁にめり込む形になった毅彦はあまりの衝撃に立ち上がれずにいた。車坂やモンドが駆け寄って必死に鼓舞をしているが立ち上がろうもしないようだ。


「…俺が突撃した時だな?舞った土埃に紛れてお前は技能解放をした。そうしてこいつの姿を消してみせた。…違うか?」


「あぁ、そうだ。お前が周囲の人間の技能を使って戦局を有利にさせたと同様、こちらも技能解放で有利にさせてもらった。」


「やはりな、そうだろうと思ったよ。…参ったこりゃ完敗だ。残ったこいつらじゃあお前らに到底及ばない。…まさか負けるとはな。」


「隊長の考えでな…、トドメはささん。そっちのボスに精々絞られるんだな。」


順一郎の言葉に陸疾は驚いた。しかし思い起こしてみれば確かにトドメをさしたのを見たことは無かった。車坂たちがどうにか壁にめり込んだ毅彦を引きずり出すと両肩を支えて撤退して行った。順一郎はもちろんそれを追う事はしなかったので陸疾も特には動かなかった。


「…」


順一郎と陸疾はその場を後にした。追手を見事撃退したにも関わらずなぜか空気は重苦しいものであった。


「さて、基地に帰るぞ。もう追手は来ないからタクシーで近くまで帰るとしよう。」


「…あの。」


「ん?どうした?」


「…さっきの言葉なんすけど。」


「…あぁ、それは気になるよな。基地に戻ったら詳しく教えよう。ひとまず帰還が先だ。」


そう言うと順一郎はさっさとタクシーを止めて乗り込んでしまった。陸疾が慌ててそのタクシーに乗り込んだ。車内で特に会話することも無く、タクシーを降りてからも基地に着くまで何ひとつ言葉が発せられることは無かった。


「…さて、詳しく話す約束だったな。その前に一つ確認なんだが、…お前はパラドクスって聞いたことがあるか?」


「パラドクスって言うと、千年先の未来から来るって言う人たちっすか?」


「お、そこまでは知ってるんだな。俺らガーディアンズは奴らを撃退するために技能を研究しこの世界を守るためにあるんだ。そしてディメンションズもまた同じ目的を持つ。…やり方は少し違うけどな。」


「同じ目的なのにどうして衝突しているんすか?」


「それは至極単純な理由。戦力を高める方法が限られているからだ。現状技能の事は少ししか分かっていない、先日お前が見つけた2つ目の技能スペースの解放だってそうだ。まだまだ研究する必要があるし不思議な現象は技能に何かしら繋がっているかもしれないとこうやって噂を頼りに模索してる訳だ。」


確かに言わんとしていることは伝わってくる。技能のことを研究するための動きが技能についてあまり分からないため現状手がかりとなるものに全て手を出しているのだ。そこにディメンションズが現れることは当然とも言えるだろう。従って手かがりを巡って衝突が起こると言うことだ。


「…そこまでは何となく分かったんすけど。トドメをささないのはなんでですか?そりゃトドメをささなくて良いなら俺は楽ですけど、また衝突しちゃうんじゃないっすか?」


「その可能性はあり得る。むしろよくあることだと言っても良い。トドメをささないのは隊長の考えだ。隊長はパラドクスに対抗するのがディメンションズでも構わないと考えている。要するにパラドクスさえ撃退出来るなら別に誰がそれをやっても良いって事だ。…まあこれは建前でもう1つの理由が本命だろうけどな。」


「…もう1つって言うのは?」


「…これ言っても良いんかな?」


「その続きは私から説明しよう。」


「隊長!なんでここに?」


話している2人の背後から景計が現れた。人に聞かれても良い内容の話であることから声を落とさず話していたため話の内容は粗方聞こえていたようだ。


「システムを見ていたら君たちが帰って来てるのが分かってね。偶には待ってるんじゃなく直接労いに出向こうとした訳さ。…それで時計は手に入ったかい。」


言われて順一郎はカバンから時計を取り出した。今改めて見ても秘密があるようには見えないばかりかそもそも時計にも見えない。


「…これかい?どうやって使うのかはまだ分からない感じかい?」


「店主の話によれば右のつまみを回すことにより時間の流れを遅くしたり早くしたり出来るようだ。俺には特に違和感は無かったから恐らくつまみを操作した人の体感速度が変わる感じだろうな。」


「俺が触った時は店主の声が早すぎて理解不能でした。結構変わるんで扱いは大変なのかもしれないっす。」


順一郎と陸疾の説明を聞きながら景計は興味深そうな表情で手の中のそれを眺め、そして満足そうにそれを懐にしまった。


もう1つの建前では無い理由って何なんでしょうか?建前の方の理由は分からなくないですね。要するに無闇に戦力を削いでしまってはパラドクスには到底勝てないって訳ですね。

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