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第44話 相手は2人組?

読んでくださりありがとうございます。


「…あぁ、どうやら俺の連れが見つけちまったようで。これを買いたいんですが、…いくらなんです?」


「あぁ、お代は結構ですよ。良いものを見させてもらいました。ここのフリーマーケットには何度か来るのでこれからも是非見に来てください。これよりも珍しい物を探しておきますよ。」


店主は満足そうにそう言った。強がりで金はいらないと言ってる訳では無く、恐らく珍しいものの噂を聞いて来た人でそれを見つけられたら無条件でその人に渡すよう決めていたのだろう。結果として陸疾たちは目的のものを金を使わずに手に入れたことになったのである。


「相谷、とっとと帰るぞ。」


「いやぁ言われていたものが見つかるなんて良かったですよ。こんな形をしてるんすね。危うく見逃すところでしたよ。」


「良いからそれ仕舞え。俺らがそれを買ったってのは周囲にいる人が全員見てるんだ。」


そう言うと順一郎はすたすたと公園の入り口へ向かって歩いて行った。慌てて陸疾はその後を追った。行きとは違うかなりの早足だったのでしっかりついていかないと順一郎の姿を見失いそうである。陸疾には順一郎がなぜここまで急いでいるのかが分からなかった。


「大分急ぐんすね。でもいくら早足で急いでもタクシーとかの方が早いっすよ。」


公園を出てからも変わらぬ速度で歩く順一郎に陸疾はそう問いかけた。その瞬間順一郎は立ち止まり左手で陸疾が進むのも制止した。


「…?どうしたんです?急いでるわけでも無いんすか?」


「…、ちょっと厳しいな。相谷、お前走れるな?」


「走る?…まあ体力は全然有り余ってますけど。」


「よし、走るか。ついて来い、行くぞ!」


順一郎は自分の声を合図に走り始めた。説明をしてほしい陸疾であったがひとまずついて行く他無い。車が通る大通りを駆けたかと思うと細い路地にも入りかなりの速度で走って行った。直線を走るだけなら全く問題無いがどんな道のりで走るか読めないため別のところに神経を多く使ったことからいつもより早く疲れてしまいそうであった。十分ほど走ったであろうか、順一郎は速度を落として建物の壁に寄りかかった。


「…、ダメだなこりゃ。一定の距離を保ってやがる。」


「…何の話です?」


「俺の技能が何か知ってるか?…あぁ、別に知らなくても関係無いな。俺の技能は『感知』だよ。」


「…その『感知』がどうしたんです?」


「それによると、だ。現在俺たちは2人…いや3人に追われている。明らかに動きが人を尾行する時の動きだ。全員同じかは知らんが目的は多分お前の持つ時計だ。時計を強奪しようとしているのかはたまた俺らがどこに帰るのか知ろうとしているのか。…どっちだろうな。…まあ直接本人に聞くのが早いよな。」


そこまで言って順一郎は公園の方角に顔を向けた。誰もいないんじゃないかと陸疾が思っていると道の角から若い男が姿を現した。先程眼鏡の店主の売り場で見かけた顔であった。どうやらずっとこっそり追いかけていたようだ。


「…やっぱりバレてたか。尾行は得意じゃないんだよ。」


「だろうな、お前は俺の『感知』無しでも存在が薄ら感じられたからな。…目的はこいつが持つ時計…か?」


「ええ、勿論。ボスがそれを欲しがってますからね。」


そう言うと男は上空に何かを放り投げた。爆ぜる仕組みでもあったのかそれは何色かに輝いて爆ぜた。何かの合図だろうかと陸疾が思っているとどこからかガタイの良い男が現れた。どうやらこいつらは2人組であったようだ。数秒の空白の後2人組は猛然と2人に突っ込んで来たのである。


陸疾は盾で攻撃を守ることが出来るがそれはあくまでも1対1の時に限る。そのためガタイの良い方の攻撃は守れたが若い男の方の攻撃は順一郎に流さざるをえなかった。順一郎はその技能を『感知』と言っていた通りそこまで戦闘は得意では無いのだろう、攻撃をただただ受け流している。


「『感知』にしては動きが良い。戦闘が得意そうには見えなかったけどな。そっちの槍もうちのモンドの攻撃を防ぐなんて良い守りじゃないか。これは思ったより時間がかかりそうだ。どれここは一つ技能を使ってみようか。」


順一郎はこの事態を恐れて苛立ちを抱えていたようです。自分が戦闘にあまり自信が無いからでしょうか?最後の言葉から立ちはだかった2人組はディメンションズのようですね。

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