第39話 研悟さんが負けることはあるの?
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陸疾と凛夏はナンで食べるカレーは初めて食べると半分感心しながら食べていた。凛夏は人並みに食べたが陸疾はかなり気に入ったらしく大きめのナンを4枚程ペロリと平らげてしまった。その様子を見て研悟は嬉しそうであった。
「そんだけ気に入ってたくさん食べてくれると連れてきた甲斐があるって思うね。」
「え、それならもう一枚食べようかな。…お腹いっぱいだけど。」
「無理はしなくて良いネ。…あれくらい食べられると見てて気持ちが良いってだけだわ。ただあんなに食べると腹がちぎれるんじゃ無いかしら?」
「ちぎれないっすよ。さすがに自分の腹の容量は理解してるつもりです。…ところで研悟さん、聞きたいことがあるんすけど。」
冗談めいた口調でケイトに返した後陸疾の表情はやや真剣なものに変わった。
「ん?なんだ?気軽に聞いてくれよ。」
「研悟さんって、模擬戦とかで負けることってあるんすか?勝てるビジョンがなかなか浮かばなくって。」
どうやら陸疾は食べながらどうやったら研悟に勝つことが出来るのか考えていたらしい。そんなことを考えながらだと大抵あまり食が進まないものだが陸疾はどうやらそのタイプではないようだ。
「そんなこと考えながら食ってたのかよ。そりゃ俺だって負けることはあるよ。それにディメンションズ相手に勝てなくて退散した時もある。」
「へぇ、どうやって無事に退散したんです?研悟さんで勝てないって相当だと思うんすけど。」
ナンを食べながら研悟にどうやって勝つか分からなかった陸疾には研悟が戦闘で退散に追い込まれる事自体が信じられることではない。そんな難敵相手に退散することは出来たのもまた想像がつかなかったのである。研悟はかつてを思い出しながら口を開いた。
「…あれは半年くらい前だったかな。あの時はジュンさんが一緒だったから何とか退散までは出来たんだよ。俺にはちょっと戦いにくい相手だったからな。戦闘には相性ってのが明確にあるからな。もしかすると陸疾はそれほど苦戦しないかもしれないな。」
「そうね、相性はあると思うわ。私は近距離タイプは得意だから陸疾なら確実に模擬戦で勝ち越せるし研悟でも五分以上は戦えるのよ。でも永遠さん相手だと無理。あの人には絶対に勝ち越せないわ。」
「永遠さん…、知らない人かしら。」
「いや、凛夏も知ってる人だ。二宮永遠さん。プロジェクトで一緒だった人だよ。戦闘スタイルは一切知らないけどね。…言い方的には遠距離タイプなのかな?」
「あら?永遠さんを知ってるのね。あの人の技能は『爆撃』。距離が遠いとか近いとか関係ないわ。辺りを全部爆破しちゃうから。」
「俺はまだ模擬戦はしたこと無いけど、…あの人とは模擬戦したくねぇな。」
ケイトに研悟も賛同しているようだ。どうやら永遠はかなりの実力の持ち主らしい。ケイトや研悟にそこまで言われると逆に永遠に模擬戦を挑んでみたいと思った2人であった。
店から出て会計中の研悟を待っていると陸疾の手元の端末が鳴ったのである。不思議に思って取り出したところメッセージの通知のようである。
「メッセージの通知?」
「あら、メッセージなら多分隊長さんですネ。あの人は基地にいない場合はメッセージで連絡してくる人なので。…何か重要な要件だと思うわ。早く見た方が良いわネ。」
言われて陸疾は端末を確認したところ確かに景計からのメッセージの通知であった。そこには物資の調達を依頼したいので基地に戻り自分の部屋に来るようと言う旨が書かれていた。要するに招集である。
「物資の調達って書いてありますね。…なんの物資なのかは分かんないっすけど。」
「どうせ基地には戻るんだしそこはあんまり気にしなくて良いんじゃね。」
「それもそうか。」
そんな会話をしていると会計を終えた研悟が店から出てきた。これから一服するつもりらしく煙草の箱を取り出していた。
「お、待っててくれたのか。俺はこれからちょっと買うもんがあるから先に戻ってくれてて良かったんだがよ。済まんな、先に言っときゃ良かったな。」
「当たり前でしょう。まったく…、煙草でも買いに行くの?」
研悟が退散を余儀なくされるなんてかなりの難敵ですね。そしてガーディアンズの永遠もまたかなりの実力者のようです。




