第3話 陸疾の技能は…
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「…それが技能のカギの効果なんですか。」
「そう、そしてそれを使って人類の次元を一段階上げることを名目に解放者を法外に集めようとしているのがディメンションズであり、その動きを止めるために発足された組織がこのガーディアンズって訳さ。」
「…解放者って言うのは、…そのカギを使った人のこと?」
「そうだ、技能のカギによって技能を解放したもののことを指す。さっきの《居合ノ匠》は俺の解放された技能『集中』によって出来るのさ。」
…へぇ、それじゃあ技能のカギを使えば俺の才能とやらが分かるのか。
技能のカギの効果を知り、自分に眠る才能が開花すると聞きやや陸疾はテンションが上がっているようだ。心なしか口角が上がっているように見える。そんな陸疾を見て景計はゆっくりと立ち上がった。
「君には選択肢がある。勿論ディメンションズの奴らに渡すのも自由だが出来れば私としては私たちに渡して欲しいし、それ以上に私たちの仲間として一緒に戦ってほしいな。」
つまり、景計が言いたいことはこうである。3つ目の選択肢は技能のカギを使い解放者になることであり、ガーディアンズの一員として一緒に戦ってほしいと言うことであった。湧き上がる好奇心の昂りを陸疾は感じていた。
「わかりました、俺で良ければ力になりましょう。」
「よし、良い返事だ!歓迎するよ、相谷陸疾くん。ようこそガーディアンズへ。さっそく技能のカギを使ってみようか。研悟!案内してやれ。」
「わかりました!それじゃあ行くぞ。」
そう言うと研悟は陸疾をまたどこかへ連れ出そうとした。しかし技能のカギについて好奇心はあるが聞き捨てならないことが陸疾にはあった。…俺はまだこの人たちに自己紹介はしてないぞ?なんで俺のフルネームを知っている?
その様子を不思議そうに見ていた研悟だったがすぐに何かに気づいたような顔をすると口を開いた。
「あぁ、そういや自己紹介は必要無いぞ。技能のカギを入手した者はその時点でそいつの情報が専用の端末に登録されるんだ。…つまり遅かれ早かれディメンションズもガーディアンズもお前のもとにやって来るんだ。」
「えぇ?…なんか怖いな。」
「はは、…さっき隊長が間に合って良かったって言っていたろ?あれなんでかわかるか?」
「…さっぱりわからない。」
「ディメンションズは確かに解放者を求めているが、それ以上に技能のカギを求めているんだよ。別に入手した人限定の物じゃ無いからな。身体能力のより高い人に使えばより強い戦力になることを見越しているのさ。…つまり、ディメンションズにとって入手した人物の生死は問わない。俺が間に合ってなければ今頃お前はあの世だった…かもしれなかったってことだ。」
…エグ。偶然入手したカギでそんな生死に関わっていた…なんてことがあって良いのか?これはその解放される才能とやらが凄くないとやってられないぜ。
「お、ここだここだ。ここで技能の解放を行う。」
「ここ…?何も無いような…?」
技能の解放を行う場所として連れて来られた場所は何もないただ広いだけの場所であった。特別な場所と言う感じは微塵もしなかったのである。
「そう、何も無いのが大事。解放された技能で暴走した場合すぐ止められるように広く作ってあるんだよ。」
暴走…?なんか物騒な単語が聞こえてきたような…?
「まあ、そうなったら俺がちゃんと処理しておくから安心しな。さ、技能のカギを出すんだ。」
「…出したけど。」
「OKそれじゃあそれを胸に突き立てな。手に入れたときと同じアナウンスが聞こえるはずだ。」
突き立てる…、こんな感じかな?
《技能のカギの使用を承認しました。これより技能を解放します。…解放が完了しました。相谷陸疾の技能は『跳躍』です。》
藍原景計
技能:演算 武器:長弓
ガーディアンズの隊長でありガーディアンズ創設時の初期メンバーの一人。計算されつくした狙いによる弓の攻撃が持ち味。普段は専用の端末に入る情報を整理していることが多いがこれは仕事ではなくただの趣味。
(追記)一人称を一部修正しております。