表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/106

第33話 第1戦目

読んでくださりありがとうございます。


「…どうでしょう?凛夏は運動に関しては普通の女の子なんで銃持って戦闘っていうのがちょっと浮かばないんですよね。」


陸疾はそもそも凛夏が戦っている姿が想像出来ないらしい。そのことが少し意外だったのか研悟は真顔に戻った。


「へぇ、…ってかお前らはどういう関係なの?幼馴染?」


「そんなところですね。凛夏は俺がガーディアンズにいるからガーディアンズに入るって言ってましたけど、俺も凛夏の敵は嫌っすね。相手にしたくないです。」


「ふぅん、どう嫌なの?幼馴染だからやりづらいってこと?」


再びニヤリと笑いだした研悟だったが陸疾は最初からずっと変わらぬ表情でこう答えたのである。


「いや、変なところで賢いんで単純に厄介だからですよ。敵にはしたく無いっすね。」


「ほう?それ聞くと凛夏と戦ってみたくなるな。…さて模擬戦から帰ってくるまでに装備登録を教えておくよ。」


それから研悟に詳しく教えてもらい、その後他愛のない話をしながら凛夏とケイトを待っていた。話は尽きることなく約20分が経った頃凛夏たちが模擬戦を終えて戻ってきたのである。


「や、お待たせ。それじゃあ陸疾と凛夏の模擬戦を始めるネ。…ふふ、凛夏勝ってくるのよ?」


「もちろんです。陸疾くらい楽勝ですよ。」


模擬戦でかなり戦闘について凛夏は分かったようである。楽勝と言われて陸疾も良い気分では無いが、凛夏が厄介な相手であることは充分理解しているつもりである。


「模擬戦は5本勝負。3本取った時点で勝負は決まるけど試合は続行するわよ。何事も経験ネ。それじゃあ2人とも戦場へいってらっしゃい!」

「…負けねぇぞ?」


「おう、かかってこいよ。」


そんな短い会話を交わして2人は模擬戦会場第6ブースへと入って行った。ケイトが教えてくれた戦闘スタイルに自信を持っているのだろうか。凛夏は堂々とした顔をしていた。幼馴染で見知った顔だからこそ、戦いにくいと思っていた陸疾はその気持ちを切り替え全力で戦うことを心に決めたのであった。


『―、両者の装着が確認されました。これより模擬戦1戦目を行います。』


アナウンスが聞こえると陸疾は模擬戦のフィールドへ転送された。フィールドはあらかじめ設定されたマップが適用される。今回は山岳地帯Cが設定されていた。


…ふぅん?山岳地帯って事は傾斜がある場所が多いしちょっと戦いにくいな。…さて、凛夏の武器は自動小銃アサルトライフルだから銃口が長い分よく見ればどこにいるかは分かる。完全に隠れた状態で狙撃は多分してこないだろう。威力がそこまで無いって言う話だったからな。…ん?あれは何だろ。


陸疾は何かを見つけたようだ。陸疾の視線の先には傾斜が僅かに緩やかになっているところに土か何かで出来た山を見つけたのである。自然の造形物ではあるが同時に上手く隠れてることが出来そうな場所にも見える。少し距離を詰めてじっと目をこらすと凛夏の自動小銃アサルトライフルのような黒い物体が見えたのである。どうやら凛夏はそこに潜んでいるようだ。そう陸疾は当たりをつけて少しずつ距離を詰めて行ったのである。


銃を相手にする場合撃たせるというのは難しい話である。なぜなら撃てば場所がバレるからである。特に陸疾に限って言えば大半の弾は盾で防御出来るため、凛夏が勝つためには陸疾が気づかない死角から連射を食らわせる必要があるのだ。そしてその点を陸疾も理解しているため周囲に気を配りながら距離を詰めているのだ。凛夏が攻撃を仕掛けて来ず陸疾の方がしびれを切らしかけたその時陸疾の真後ろで土を蹴る足音がしたのである。驚いて振り返った陸疾の目には陸疾の予想を完全に外しやや遠いところから手にした物を投げようとしている凛夏の姿が映っていた。


「…覚悟!」


凛夏が渾身の力で投げつけたそれは球状の爆弾のようで派手な音と共に凄まじい爆風が陸疾を襲った。…恐らく以前の盾なら吹き飛ばされていただろうと陸疾は思った。丈からもらったロブスティラの防御性能に満足気であった。陸疾の予想を大きく外したものの予想外の爆弾が防がれた以上凛夏には正面からなす術は残っていなかった。なにしろ主戦力のAR -ジャッジメントはデコイに使って手元に無いからである。


「…ふぅ、いつの間に爆弾なんて持ってたんだ?危うく吹き飛ばされるところだったぜ。…それじゃあ勝ちはもらうぞ?」


そう言うと陸疾は凛夏の目の前に黒槍梔子を突きつけた。こうなれば凛夏には何も出来ない。素直に凛夏は降参を選んだのであった。


『―、戦闘終了。八雲凛夏の戦闘不能により、相谷陸疾に1勝が追加されました。装備を変更されますか?』


…ふぅ、何とか勝てたな。しかし爆弾とはびっくりしたよ。せっかくもらったんだからAR -ジャッジメントで攻めて来るのが当然って思っちゃったもんな。丈さんからもらった訳じゃ無いからここで使える装備で爆弾があるんだろう。…お、あれだな。1つどこかに忍ばせておくか。さて、次も勝ちに行きますか。


『―、両者の装着が確認されました。これより模擬戦2戦目を行います。』


1戦目は陸疾が勝ちました。5本勝負なので次凛夏が勝たないと凛夏には後がなくなる訳です。しかし1戦目から銃をデコイに使うなんて凛夏は勝負師ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ