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第32話 ケイトの手ほどき

読んでくださりありがとうございます。


「お、陸疾じゃねぇか。模擬戦か?それに凛夏もいるじゃん。…お!なんか良さげな武器持ってるじゃんか。」


「あ、研悟さん。さっき丈さんに会って俺も凛夏も色々もらったんすよ。…ところでケイトさん知りません?色々教えてもらおうと思って。」


「お、やっぱ丈さんかこの武器の出所は。道理で見た感じ良い武器だと思ったよ。…ん?ケイト?ケイトならもうすぐ出てくると思うぜ。だって今まで俺と模擬戦してたんだからよ。」


そう言って研悟が後ろを振り返るとなるほど第6ブースからケイトらしき人物が出てきたようだ。やたら髪型が乱れていることを考えると研悟との模擬戦結果はあまりよろしくなかったようである。


「おぉい、ケイト!お前にお客さんだぞ。」


「客?私に客って?…あら陸疾じゃない、久しぶりネ。この子は新しく入った子ね。大丈夫今回は端末でちゃんと確認済みよ、名前は八雲凛夏さん、合ってる?」


「はい、八雲凛夏です。…あの色々と教えて欲しいんですけど。」


凛夏が短く自己紹介をし、早速本題に入ろうとしたその時ケイトが右手でそれを静止したのである。


「続きは言わなくても分かるわ。戦闘スタイルを教えてほしいんでしょう?それに武器や防具をそのまま持ってるって事は装備登録も教えてあげないとね。…あら?陸疾も防具を持ってるわね。…あなた研悟に教えてもらってないの?」


ケイトの予測はほとんど当たっている。新しく入りたてで戦闘スタイルも何も無い人のほとんどは模擬戦でそれを見つけて行くものであり、ケイトが大抵その相手をしているのだろうテンポ良く話が進んでいった。


「…あぁ、ケイトが凛夏の相手をしてる時にでも陸疾には説明しておくよ。」


「OK、それじゃあ私は凛夏の模擬戦相手をすれば良いのネ。…しかしあなたよく見てみれば良い武器持ってるネ。AR -ジャッジメントなんて素敵なチョイスだわ。丈さんからもらったの?」


「あ、はい。…これそんなに良い武器なんですか?」


凛夏はそう言って握りしめている自分の武器を見下ろした。凛夏は確かにこの武器を気に入ったとは言えそれはただ見た目からであり、性能面でどのように優れているのかは丈に説明こそされていたがさっぱり分かってはいなかったのである。


「AR -ジャッジメント、高性能の自動小銃ネ。銃のカテゴライズの中なら弾の狙いやすさと連射性が売りだよ。武器を使う時は普通は威力を上げたがるものだけどそのジャッジメントは威力自体はそこまで出ないの。けど相手の攻撃の抑止なら充分、1対1より大人数での戦闘に役立つ一品ネ。勿論慣れれば1対1でも相手を完封出来るようになるわよ。」


丈が似たような事を言っていた気がするがケイトの説明で何となくだが凛夏は自分の武器のことを少し理解出来たような気がしてきたのである。


「さあ、説明はこれくらいにして模擬戦するわよ!…でもただ模擬戦をするよりこんなのはどうかしら?私が凛夏に銃の戦い方を伝授するわ。そして陸疾と模擬戦をして勝った方が研悟に挑む。…それはどう?」


「お、俺に挑んでくるのか。陸疾は戦ったことがあるから凛夏と戦ってみたいがなぁ。でもその場合陸疾は今日武器を持った人に負けてることになるんだもんな。はは、どうなるか楽しみだ。」


ケイトの提案に研悟もまたノリ気であるようだ。視線が2人に集まった。


「私はやってみたいですね。研悟さん強そうです。」


「俺も別に良いですよ、研悟さんと以前やった時は訓練みたいな感じだったので普通に戦いたいって思ってはいました。」


「それじゃあ決まりネ。凛夏、私が陸疾をボコボコに出来るよう教えてあげるわ!」


威勢よくケイトと凛夏の2人は模擬戦会場の第6ブースへと向かった。後には陸疾と研悟が残ったのである。陸疾の隣では研悟がニヤニヤしていた。


「ケイト張り切ってるなぁ、こりゃ陸疾苦戦するんじゃねぇの?」


一目で武器の良し悪しが分かるなんてケイトはすごいですね。銃全般を扱えるだけはあります。さて面白いことになってきました。陸疾と凛夏の買った方が研悟と戦うようです。…どっちが研悟に挑むんでしょうね。

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