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第31話 いざ模擬戦会場へ

読んでくださりありがとうございます。


そこから丈の詳しい説明が始まったが知らない単語が飛び交ったため半分以上理解する事も出来なかった。要するに少し離れたところから連射して相手を攻撃するのだという。装填弾数も多く交換も容易なためほとんど間隔を開けずに相手に攻撃させ無力化出来るのだそう。凛夏は最初重みこそ気にしていたが見ている間に愛着が湧いて来たのか丈の話が終わった頃にはしっかりとその銃を握りしめていた。


「…、とまあ説明はこんな感じで…。ふふ、気に入ってくれたみたいで嬉しいよ。後それから防具だな、ケイトが言うには防御性能よりは機敏性が損なわれない方が嬉しいらしいからこの軽装チョッキを渡しておくよ。それから武器なんかを仕舞える手袋だね。リクトも持ってるあれだよ。」


そう言って丈はカバンから軽めのチョッキと手袋を取り出して凛夏に渡した。AR -ジャッジメントを持ったままだったので少し手間取りながらも凛夏はそれを受け取った。急に装備が潤沢になったので凛夏はご満悦の表情であった。


「ありがとうございます!…陸疾はなんかこの手袋を操作して装備変えたりしてたんですけど、…あれどうやってやるんですか?」


「ん?それは装備を登録したら出来るようになるその手袋の機能だよ。つまり登録しないと使えないって訳だ。…模擬戦も一度もしてないんだよね?確か。それじゃあ登録も兼ねて模擬戦をしてくれば良いよ。」


「うむ、プロジェクトも無事終わった事だし、八雲くんや相谷くんが戦闘経験を積んでくれるとこちらとしても嬉しいからね。是非模擬戦を楽しんでくると良いよ。」


丈の答えに景計も重ねて答えた。現状本番の戦闘を除けば模擬戦が唯一の戦闘が出来る場であり、模擬戦がこうも推奨されるのはこうした背景の故であろう。前回はケイトがおらず研悟と一緒に会議に参加してしまったので出来なかった模擬戦がようやく出来そうである。


「それでは模擬戦会場に私たちは向かいます。陸疾早く行くぞ!」


すっかりやる気になった凛夏は陸疾を置いていくのかと言わんばかりに意気揚々と模擬戦会場へと向かって行った。慌ててその後を追って行った陸疾の背を見ながら丈はふぅと1つ息を吐いた。


「カゲさん、ヒデさんの事は言わなくてよかったんです?多分言わないで後で知ったら困惑すると思いますよ?」


丈は景計の方を真っ直ぐ見据えてそう問いかけた。景計は先程のガーディアンズの始まりの説明の時にある事を伏せていたのだ。もちろん丈は何を隠しておきたかったのかを理解しているつもりであるため景計の話の流れに合わせたのだ。


「…あぁ、いつかは話すつもりだ。…ただヒデを誤解してほしくはないからね。ヒデもきっと必死なんだよ大切なものを守るためにさ。」


景計は丈の問いかけにそう答えた。目の前を向いたまま丈の方には見向きもせずに。その姿には少し迷いがあるように丈には感じられた。丈は視線を目の前に戻すとさらに続けた。


「まあ、その辺は自分でなんとかしてくださいね。研悟の時みたいなフォローは嫌ですよ、まったく…。」


その言葉に景計は短くあぁ、とだけ返した。それは言葉だけなら気弱なようにも感じる返事であった。ガーディアンズとしての役目を全うするため景計は奮闘して来たのを丈は少なからず見てきた。そんな丈だからこそたとえ迷いがあったとしても景計はきっと正しい選択をしてくれるのだと確信していたのである。




「さて、ケイトさんはいるかな?」


模擬戦会場に着いた陸疾と凛夏の2人は大抵いつも模擬戦をしているというケイトを探していた。丈からもらった装備の数々の登録はもちろん、銃を中心に戦うスタイルを指導してもらうためである。ケイトがよく使っているのは回転式拳銃(リボルバー)であるため自動小銃アサルトライフルとは異なるのだが、少なくとも槍が戦闘スタイルである陸疾と一緒に考えるよりは遥かに有意義だろう。ケイトを探しながら第6ブースを通り過ぎようとした丁度その時ブースから模擬戦を終えて人が出てきたのである。


丈は景計をかなり信頼しているようですね。こういう信頼関係が築けるのはとても良いですね。

さて第6ブースから出てきたのは一体誰なんでしょうか。ちなみにケイトではありません。

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