表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/106

第24話 やってみなきゃ分からない

読んでくださりありがとうございます。


「…なるほどね、話を聞く限りではそれ以外に他の条件は無さそうだな。それなら他の人にも同じように技能スペースとやらが解放出来そうだ。今までの研究だと1人で出来ることを中心に考えていたからね。…うむ、良いね。これはすごい進歩だ。」


「でも2つ目の技能のカギは結局手に入ってないままなんで、…あんまり進歩した感じがしないんすよね。」


「…いや、そうでも無いぞ。」


陸疾は自分たちの成果を手放しに褒められるのがなんだかむず痒く、少し謙遜してみせたがどうやらそうでも無いようである。


「技能のカギについては少しわかっていることがあってね。さっき話してくれたように技能のカギには持ち主に強く影響されることが分かっている。そして複数同時に所持した時にわずかに変化がみられることもわかっているのさ。これが2つ目の技能のカギの存在の根拠になっていたんだ。恐らく話を聞く限りうちで保有している技能のカギを使えば2つ目の技能の解放が見込めるんじゃないかな。」


「あぁ、確かに2個持ってみるのは試したことがありますね。違いが微妙過ぎたんで気のせいかなと思ってさっきは話さなかったんすけど。」


景計は陸疾のその言葉にやや驚いたようだ。少しのけぞり目が先程よりも開いているように感じられた。


「なんだそれももう試していたのかい?…君たちに任せて正解だったな。やっぱりある程度知識が入ってしまうと固定観念が出来てしまうからね。それの違いを見つけるのに数ヶ月かかったって言ったら信じるかい?」


「へぇ、それじゃあやっぱり微妙に違うのは気のせいじゃないんすね。」


「あぁ、明日君らが基地に来たらすぐに試せるよう手配しておこう。もしこれで2つ目の技能が1つ目同様に解放されるならばこれ以上の戦力の向上は無いね。…ただ単純に戦力の向上になるかはもしかすると微妙かもしれない。」


…ん?どう言うことだ?結局戦力は向上するのか?


「…あぁ、変な事を言ってしまったね。つまりはこう言う意味だよ。1つ目に解放される技能と2つ目に解放される技能では技能の毛色が異なるかもしれないという事さ。」


言い換えられてもイマイチ陸疾には分からなかったが凛夏は少し理解したようだ。


「ええと、…つまり2個目の技能が陸疾や研悟さんとかの技能とはまた違うかもしれないってことですか?…確か陸疾の技能は《跳躍》だったよね。」


凛夏のその言葉に満足気に景計は頷いていた。どうやらそう言う認識で合っているらしい。


「うむ、私が言いたいのはズバリそう言うことなんだよ。ちなみに私の技能は《演算》でね。多くの技能は身体的能力の向上の効果が見られるのさ。だから技能が今まで通りに解放されるなら身体的能力がさらに向上することになり戦力が大幅に向上するんだが…。そう上手くは行かないかもしれないからね。…ま、これは明日のお楽しみって感じかな。」


結局はやってみなければ何も分からないのだ。そもそも技能のカギが2回目に使える保証も無い。だがこのようにかもしれない話は一定の盛り上がりを見せるのだ。こうして満足するまで食事を楽しんだ3人はお店を出たのであった。陸疾は凛夏を家まで送り届け寮に戻ったのは夜も更けた10時過ぎのことであった。


あくる朝10時を過ぎた頃陸疾と凛夏の2人は早々に景計の部屋を訪れるため基地へと辿り着いていた。実はもっと早く2人とも行こうとしていたのだが陸疾たちは満島古書店からの入り口しか知らず、満島古書店は10時に開店するためにこの時間帯になったのである。


既に基地の中には人がちらほら見えるため基地に泊まった訳で無ければ他に入り口があるのだろうと陸疾は考えていた。…がそれはさておき景計の部屋へ早く向かいたい2人である。なにしろ期待感が結構高まっているのだ。はやる気持ちを抑えて部屋の扉をノックすると中には誰もいないらしく鍵がかかっていた。


「おや?早かったね。ちょっとゆっくり準備し過ぎたかな。もう少し待ってくれ、今手配するから。」


聞こえた声に振り返ると景計が何やら重そうな箱をいくつか載せた台車を運んでいたのである。見た目通り重いのだろう景計の額には汗が滲んでいた。

こうした〜かもしれない話をするのが私はとても好きです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ