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第22話 そういえば夕飯はまだかい?

読んでくださりありがとうございます。


思っている以上に2人は神経を使っていたようだ。何しろ午後の間少しも休まずに色んな事を試していたからである。突然の出来事に息を整えながら聞こえてきた声を陸疾は反芻していた。


…技能のスペースってなんだよ。スペース…、宇宙では無いな。空間の方だきっと。…つまり技能を解放するための空間が空いたって事じゃないか?今まで2つめの技能のカギの入手方法を研究してきて見つからなかったのは解放するための空間が空いていない限り入手条件を満たしても入手出来なかったんじゃないか?


「…大分疲れたな。」


陸疾が思考を巡らせているとフゥと1つ息を吐いて凛夏がそう呟いたのである。確かに陸疾でさえ疲れているのだ。今日はそもそも色々なことがありすぎた。凛夏の疲れは想像出来ない程募っていたのかもしれない。


「…そうだな。疲れたな。とりあえず今日はこれで終わりにしようぜ。さっきのことを隊長さんに伝えて明日からまた続きをしよう。…立てるか?」


「立てるよ!…まあ成果がありそうなのは良かった。何の成果もありませんじゃ疲れた甲斐が無さすぎる。」


凛夏は陸疾に頼ることなくすぐに立ってみせた。しかしそれは凛夏の意地のようなもので実際は限界が近かった。こう言う時になんだかんだ言って頑張っているのは凛夏らしいなと陸疾が感じていたことは口には出さなかった。立ち上がった凛夏に笑い返すと2人はそのままその場を後にしたのである。


「…済まない。もう一度言ってくれ。…今なんと言った?」


何かしらの成果があれば真っ先に隊長に報告することと言う決まりに従って陸疾と凛夏は景計の部屋に来ていた。景計にはかなり衝撃的な話だったのだろう。喜びよりも先に困惑が表情の大部分を占めていた。


「…ですから、プロジェクト進行時に技能のスペースが解放されました。」


「うん、2度聞いてもやっぱり分からない。…そもそも技能のスペースとはなんだ。」


「…なんだと言われても。…そう言うアナウンスがあったんすよ。」


「…アナウンス?アナウンスがあったのか?…だが技能のスペースとは何だろうか。…あぁ、済まない取り乱してしまった。詳細は後で詳しく調べるとしてこれは完全なるお手柄だ。これで技能のカギのことが少し…いや、かなり分かるようになるだろう。」


いつのまにか立ち上がっていた景計は拍手で2人を労ったのである。何はともあれプロジェクトに何らかの成果が出せて良かった。…そう陸疾が思ったその時陸疾の腹が鳴ったのである。


「…おや、君たちもしかして夕飯も食べずにプロジェクトを進行していたのかい?」


「…食べずにって言うか。あんまり時間見てなかったっす。今何時ですか?」


言われて景計が腕時計に目を落とした。腕時計は19時17分を示していた。


「ふむ、じきに夜も更けていくだろうし君たちは早く家に帰った方が良いな。もう7時を過ぎている。」


「マジっすか、夕飯どうすっかな。…凛夏はどうするの?家でおばさんが待ってるんじゃないの?」


「今日は仕事で夜居ないから適当に食ってこいって金貰ってるんだよ。」


腕時計を見ながら何やら考えていた景計であったが凛夏のこの言葉に反応を示した。


「なんだ八雲くんも今日外食なのかい。君はてっきり家族がご飯を用意してくれてるのかと思ってたよ。」


…?さっきからなんか考えてるっぽかったけど何考えてたんだろ。何かあるのかな。


「…凛夏が外食だと何かあるんすか?」


「相谷くんは一人暮らしだから気兼ねなく誘えるけど家族がご飯を用意してくれてるのに八雲くんを誘うのをちょっとためらっててね。でも2人とも外食なら関係ないね。どうだろう、さっきの報告の労いも兼ねてちょっと良いところにご飯を食べに行かないかい?もちろん私の奢りでね。」


どうやら景計は2人に夕飯を奢ってくれるようだ。もちろん2人はそのありがたい申し出を喜んだのである。景計の言うちょっと良いところも気になるところである。支度を終えた景計に連れられ2人は少し街を歩いていた。歩きながら陸疾は昨日研悟にラーメン屋に連れて行ってもらったことを思い出していた。そんな事を思い出していると景計が一軒の店の前で止まったのである。どうやらここが景計の言うちょっと良いところのようだ。


「…え?ここですか?…本当に?」


凛夏の声が少し大きく聞こえる気がした。恐らくちょっとテンションが上がっているのだろう。景計が立ち止まったその店は街で有名な和食のお店であったのである。味やサービスに定評があることで知られているが、その料金の高さに2人ともまだ行こうとすら考えていなかったお店なのである。


「はは、ここは友達の店でね。遠慮なく食べると良いよ。」


「…ここ確かすごく高い…。」


「なんだい相谷くんは私の財布に気を使ってくれているのかい?大丈夫大丈夫。遠慮する事は無いさ。さ、入ろう。」


2人とも食べ盛りの年頃なのでご飯の事を考えずにというのはかなりプロジェクトに集中していたということですね。景計が行こうとしているお店は高級割烹をイメージしていただくと近しいかと思います。

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