第19話 プロジェクトを進行せよ
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扉を開けて2人が入るとすでに準備が整っていたらしく四つ用意された椅子に2人の人物が座っていた。そのうちの会議には居なかった女の人が顔を上げたのである。消去法的に考えてこの人が恐らく二宮と言う人物だろう。
「あら、他の人ってこの人たちかしら?…案外若いのね。私は二宮永遠。あなたたちと同じプロジェクトのメンバーよ。」
やはり二宮で合っていたらしい。2人とも二宮に頭を下げて自己紹介を済ませた。そのタイミングを見計らって順一郎が口を開いた。
「よし、自己紹介は済んだな。これからさっそく会議に入る。だから2人ともさっさと座れ。議題は知っての通り技能のカギの入手についてだ。一つ目がかなり再現性の難しい条件だったことから察するに二つ目もまたかなり再現性の難しいものであるだろう。…そこで今回我々はいくつか…具体的に言えば4通りの仮説を立てそれぞれで仮説を成功させると言う方法で炙り出していきたい。…反対意見があれば好きに発言したまえ。」
順一郎が出してきた案は至極効率的なものであった。再現性が難しいと表現していたが難しいだけであって不可能ではない。従って仮説を立てて実証していくのに人数はいらないため人数分仮説を用意して潰していこうという考えなのである。
「ええ、私もそれで良いかと思います。」
これに永遠も賛成のようである。しかしその流れに逆らうかのようにおずおずと手を挙げる者がいた。陸疾である。
「…あの、1人で出来ることとは限らないんじゃ無いでしょうか。」
その声に順一郎が素早く反応を示した。自分の意見を否定されて怒っているんじゃないかと恐る恐る順一郎の顔を見てみるとその顔は何か面白いものを見る表情であった。
「…ほう、興味深い。続きを聞かせてくれ。」
「ええと、…俺が技能のカギを手に入れた時は1人だったんです。でも凛夏が手に入れた時は俺のカギを拾った時に手に入れたんです。だから方法としては2人で出来なくは無いなと思ってて…。」
「なるほど、つまり君は一つ目の技能のカギを手に入れるのに人数が関係無かったことから二つ目も関係ないだろうと言うのは早計である。…そう言いたいのだな?」
「…そうです。」
「なんだよ、もっと自信持てよ。…うん、実に興味深い意見だ。そもそも1人より2人でした方が再現性も上がるだろうしな。それなら2人ペアで一つずつ仮説を潰していこうか。…皆もそれで良いか?」
今度の順一郎の提案に反対するものは居なかった。全員のその反応に満足気な順一郎は続けて口を開いた。
「それでは技能のカギ入手の仮説を立てていきたい。正直突飛な意見の方が助かる。恐らく考えもつかない方法だろうからな。どんどん意見を出していってくれ。」
そこから約1時間に渡って行われた会議により6つの仮説が立てられたのであった。
「…まあ、ひとまずはこんなもんで良いか。俺と二宮のペアで右側の案、相谷と八雲のペアで左側の案を遂行して行ってくれ。」
そう言われて陸疾は顔を上げた。そこには箇条書きで技能のカギを入手するための仮説が書かれていた。どれも1人で実行するにはやや不安がありそうなものばかりであった。
「あの…期間はいつまでですか?」
凛夏から質問が飛んだ。順一郎は期間の事を一切考えていなかった様子でしばらく考え込んでいた。
「…確かにな。期間を全く考えてなかった。…そうだな、3日後の午後にまたこの会議室に集まるものとする。この仮説以外でも何かいけそうな気配がする仮説はどんどん試していけ。仮に会議が始まるまでに何らかの成果が出た場合は真っ先に隊長に報告すること。後質問がある奴はいるか?…居ないな。それじゃあ皆の健闘を祈る。解散。」
さて、左側に書かれていることを凛夏と遂行していけば良いんだな。…しかしどれも難しそうなものばかり。…何から手をつけようかな。
二宮永遠
技能:爆撃 武器:爆弾
戦闘で性格が豹変してしまう爆撃魔。年齢不詳だが酒は飲めるらしい。興奮して周囲を見なくなるので近くにいる場合は注意すること。




