第18話 会議が終われば会議が始まる
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「そこにいる研悟が連れてきた奴は新入りだろう?にしては勘が良いじゃねぇか。研悟が教えたのか?」
会議室の奥の方に座っている陸疾の知らない人物が研悟に問いかけていた。少し研悟が焦っているところを見ると研悟にとっては苦手な人物なのだろうか。
「…ジュンさん、俺はそんな全部は言ってませんよ。まるで俺の口が軽いみたいじゃないですか。」
「…ま、本当のとこは俺も知っちゃあいないがよ。…ええと、確か名前は相谷って言ったか?お前の予想で多分当たりだ。なぁ?隊長さんよ。」
「あぁ、私も相谷くんとは同じ意見だ。そこでだ。私たちガーディアンズの方でも対策を練ろうと思うんだ。」
「対策…?」
「そう、対策だ。これより技能のカギの入手研究プロジェクトを開始する。メンバーは窪塚、二宮、相谷、八雲の4名で行うものとする。4名は直ちにこれに取りかかるよう。それでは会議はこれで終了とする。それでは解散。」
……おっと?メンバーの中に俺も凛夏もいるぞ?なんでまたメンバーに入っているんだ?
「陸疾…、なんかよくわかんないプロジェクトが始まったけど…どうする?」
「だよな。…俺の聞き間違いじゃあないよな。」
陸疾と凛夏が2人で話していると先程も発言していた男が2人に近づいてきたのである。
「相谷、八雲ってのはお前らだな。よろしく頼む。俺は窪塚順一郎。さっき通達されたプロジェクトのメンバーだ。」
「初めまして。ええと、俺が相谷陸疾でこっちは八雲凛夏です。よろしくお願いします。…プロジェクトってのは何をしたら良いんすか?」
「よろしく。これからプロジェクトの大筋をこの会議室を使って決める。俺は二宮と一緒に先に情報をまとめておくからお前らはさっさと隊長のところへ行って端末をもらってこい。」
端末…?あぁ、そうか。会議の後で隊長がくれるって言ってたんだったな。いやしかしそんな大事そうなプロジェクトにガーディアンズのことすらあんまり知らない俺たちが参加して良いもんかね?…まあとにかくさっさと貰ってこようか。
陸疾たちは急いで景計の部屋をたずねた。先程の会議から戻ったばかりで慌ただしそうに何かの準備をしていた景計であったがすぐに2人に気づいたようだ。
「あぁ、2人とも端末を渡すんだったね。ちょっと待ってね、今準備してるから。…よし、これで良いな。これが端末だよ。紛失すると面倒だからなくさないでね。」
初期設定だろうか幾つかの操作をしたあとに2人に端末が渡された。渡されたそれは2人が持っている携帯電話によく似ていた。
「へぇ、携帯みたいなんですね。」
「そうだね、持ってて違和感が無いようになってるのさ。操作方法も大体一緒だから操作しながら使い方を覚えてもらったら良いよ。」
そう言われて陸疾は少し端末を操作してみると、なるほど最新情報の欄に先程会議で決定した事項が要約されて書かれていたのが分かった。開けてこそいないが技能のカギの情報もこの端末で調べられるのだろう。
「ありがとうございます。…あのさっきのプロジェクトなんすけど。…なんで俺や凛夏がメンバーなんですか?」
陸疾は気になっていたことを景計にぶつけてみた。そもそも技能のカギが複数持てること自体さっき知ったのである。そんな自分たちが役に立てるか不安なのである。しかし景計は笑ってこう答えたのだ。
「そりゃ君たちを買ってのことさ。それに知識がある人ほど固定観念に縛られたりするからね。あんまり知らない人が混ざる方が解決につながることだってあるのさ。ま、気楽にやってくれれば良いよ。」
…なるほど、そう言う側面もあるのか。それじゃあ俺らは俺らなりにアイデアを出せば良いってことだな。ちょっと気楽になったぜ。
同じようなことを考えていたのだろう。凛夏の顔色が先程よりも良くなっている気が陸疾には思われた。気楽になった2人は揃って先程までいた会議室に戻ることにしたのである。
窪塚順一郎
技能:感知 武器:短刀
見た目は怖そうだがただの気のいい人。大抵の戦闘を素手で終わらせるため武器は無いと思われがちだが短刀使いである。




