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第17話 会議は未だ始まらず?

読んでくださりありがとうございます。


「マジかよ…。完全に遅刻じゃんか。ここぞとばかりにケイトに端末見とけって煽られるんだろうなぁ…。やれやれだぜ。…うわ隊長から重ねて連絡が来てるじゃん。そんなに端末の新規情報なんてカギの最新情報ならともかくいちいち見てねぇよ。」


研悟はポケットから端末を取り出し改めて自分の目で確認すると一通り毒づいていた。そんなところいちいち見ないから把握出来なかったと言いたげだが完全に研悟の責任である。


「…お前ら2人で模擬戦をやってても良いんだけど、それじゃあ多分お互いのためにならんだろうからお前らも会議について来いよ。参加するくらいは多分許可されるだろ。」


「…そう言う会議って普通許可されないと思うんすけど。」


「そんなもん行ってみなきゃ分からんだろう?どのみち模擬戦の相手がいなくて暇になったんだから良いだろうよ。ほらさっさと行くぞ。」


研悟にせきたてられるようにして2人は模擬戦会場に行ったその足で会議が開かれる場所へと行くことになった。会議をする場所はどこなんだろうと陸疾が思っているとどうやら着いたようである。研悟が向かって行った先は隊長である景計の部屋のすぐ隣の大部屋であった。


遅刻していると言うのに悪びれもせず研悟は豪快に扉を開けて入って行ったのである。入っていいものかと悩みながらも陸疾と凛夏の2人はおずおずと部屋へと入っていった。部屋の中心に大きな四角いテーブルが置いてあり、1番奥に景計が座っていた。そして席に既についている人の中にはケイトや透の他にも陸疾たちの知らぬ姿もあったのである。


「…ふぅ、会議があったとは知りませんでしたよ。まだ始まってなさそうなので遅刻じゃ無いですね。」


扉を開けてすぐに発した研悟のその言葉にニヤリと笑っているのは透であった。その顔こそ笑みが見られるものの目は一切笑ってはいなかったのである。


「…ほぉ、少し待ってしおらしくしてるなら許してやろうと話していたが、…どうやら許してはならんようだな。」


しかしそんな言葉で臆する研悟では無かった。透が起こった声を出してもどこ吹く風である。


「透さん、そんな事言わずに。…てか隊長の部屋にいた時に教えてくれたら良かったじゃないですか。あ隊長、ついでに近くにいた陸疾と凛夏を連れて来ました。こいつらが別にこの会議にいても問題ないでしょう?」


「あぁ、別に良いよ。どうせここで決まったことは端末を通してみんなに伝わるんだから多少の誤差は気にしない。」


なるほど、どうやら会議の内容はガーディアンズ全体に公開されるようである。それなら会議に出席しても良いなと思っていたが陸疾には一つ気になることがあったのである。同じことを凛夏も考えていたのだろう凛夏が景計にこう聞いたのである。


「…時々出てくる端末ってのはみんな持つものなんですか?私まだもらってないんですけど。」


「同じく持ってません。」


「…あれ?そうかまだ渡してなかったか。…それじゃあこの会議の後に私の部屋に2人で来なさい。君たち専用の端末をそこで渡そう。」


「ありがとうございます。」


「それで今回の会議の内容はなんなんですか?」


研悟にそう聞かれた景計は頷くと会議の内容を話し始めたのである。それは少し驚く内容であった。


「今回の議題はディメンションズ調査についてだ。陸疾たちが捕まえてくれた佐久間兄弟をもとに透が探りをいれてくれたんだが、少々向こうの動きがよろしくない。」


景計は曖昧な表現をしたのである。おかげで陸疾にはなんのことだかわからなかった。一体動きがよろしくないとはどういう意味なのだろうと考えていると続けて透が口を開いたのである。


「ヒデの奴はそれほど佐久間兄弟の安否を気にしてもいなかった。前までなら何らかの話を交渉材料にして拘束したメンバーの送還を求めてきてたんだけどな。こちらに負けて拘束された佐久間兄弟は最早どうでもいいと言いたげだ。それに現在あいつらは技能のカギの収集に大して人員を割いていないことが分かったんだよ。事実佐久間兄弟以外でこちらに拘束されたディメンションズはおろか戦闘をした者は一人もいない。ここからはあくまで俺の予想に過ぎないがあいつらがかなり力を貯めだしているんじゃないかと思う。…嫌な予感がするぜ。」


佐久間兄弟とは二度も陸疾と戦い両方とも研悟や陸疾によって彼らは敗北を喫していたはずである。もちろんディメンションズのメンバーは彼らだけでは無いはずだが、彼ら以外で戦闘をしているメンバーを見ないのも珍しいと言う。佐久間兄弟がディメンションズにおいてどれくらいの立ち位置かはわからないがディメンションズが技能のカギの収集とは別のところに注力しているという読みは恐らく当たっているだろう。


「2個目の…技能のカギ?」


話の流れを聞いていた陸疾はさっきの研悟の言葉を思い出していた。口に出していたか怪しいくらいのその呟きは会議に出ている全員に聞かれてしまったようである。気づけば会議室にいる全員の視線が陸疾に集まっていた。




呟きは時に的確なことがあるものです。

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