第15話 凛夏の技能は…
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景計のその言葉から陸疾に続き凛夏もまたガーディアンズの一員になったわけである。その様子を見ていた景計の近くにいた陸疾も知らない男が突然豪快に笑い出したのである。
「ウハハハ、仲間が増える瞬間と言うのは良いものぞ。さて、俺も自己紹介といこう。俺は片山透だ。気軽に透さんって呼んでくれ。俺もお前らの事を名前で呼ぼう。カズとは昔からの付き合いでな、このガーディアンズが出来た最初のメンバーの1人が俺だ。」
へぇ、初期メンバーなのか。…あれ?この人今何歳だ?…隊長よりは心なしか老けているような…。
「あの、…透さん。」
「ん?なんだ?」
「透さんは…何歳なんすか?」
「…?歳なんて気にしてどうするんだ?…まあ良いか、俺が今年27歳でカズとは同い年だ。ちなみにそこにいる研悟の歳は知ってるか?」
「…研悟さんは確か20歳っすよね。」
「お、よく知ってるねぇ。…やっぱ歳が近いってのは交流しやすいのかねぇ?」
「まあ2人とも透さんとは初対面だからじゃないですかね。さて、技能のカギの解放と行こうか。陸疾も他人の解放見てみたいだろ、一緒に行こうぜ。」
研悟がそう言うとさっさと陸疾と凛夏を連れてその場を去って行った。後には景計と透だけが残ったのである。
「研悟の奴さっさと行っちまったが今日会議があることを把握してるんか?」
さっさと行ってしまった研悟の様子を見てそう透は呟いた。それを聞きながら景計は端末に目を落としていた。つい3日前に会議の連絡は通達しているため確認はしているはずである。
「さあどうだろうね。一応端末にもう一度連絡を飛ばしておこうか。」
「見てれば良いんだがな。」
「さて、透。…一つ頼みがあるんだ。」
景計は軽い頼みごとをするような口調で透に問いかけた。しかし景計の表情は口調に合わないほど固いものであった。そんな景計の顔を見てため息をつきながらも透はこう答えたのである。
「…ヒデのことか?俺は別に構わんが。…そんな大事な話俺に任して良いのか?」
「透だからこそ頼みたいのさ。私からだとどうも甘い目で見てしまうからね。」
「…はぁ、期待すんなよ?」
「まさか?大いに期待してるさ。」
やれやれと言わんばかりに透は肩をすくめてみせた。軽口を叩いてはいるが昔から透は頼りになる男だと言う事を景計は自身の経験から信じきっているのである。
「…こんな何もない所に連れてきてどうするんですか?」
「ははっ。お前ら思考回路が似てるんだな。陸疾もおんなじ事を聞いてきたぜ。技能の解放にはごく僅かだが暴走する場合があるその時に対処しやすいように何もないのさ。それじゃあさっそく解放といこう。持っている技能のカギを胸につきつけてくれ。そうするとアナウンスが聞こえてくるはずだ。」
研悟のその言葉に従って凛夏は胸に技能のカギをつきつけた。数秒後に凛夏が色の眩しい光に包まれた。陸疾は自分の時と光の色が違うことに疑問に思ったがそれを聞く相手である研悟は日本刀に手をかけながら集中しているようで話しかければ自分が斬られそうだったので素直に聞くのをやめたのであった。
やがて光がおさまっていった。集中を解いた研悟が深く息を吐いた後に凛夏に尋ねた。
「いけたようだな。…何の技能が解放されたんだって?」
「《早撃》…?」
「なんでお前らは自分の技能に疑問がつくんだよ。本当に思考回路が似ているんだな。そうアナウンスされたんなら凛夏の技能は《早撃》ってことだよ。…早撃か、良い技能だな。俺が欲しいくらいだ。」
早撃か、…それじゃあ凛夏は銃がメインの武器になるのかな?でも何で研悟さんがそれを欲しがるんだ?日本刀と銃はあんまり噛み合わない気がするんだけも。
「…なんで欲しいんですか?見た感じ武器は日本刀ですよね。早撃と日本刀は多分合わない気がするんですけど。」
凛夏も同じ考えのようだ。しかし研悟は確信を持っているようである。
「早撃って事は単純に考えれば精度が落ちる代わりに人より早く攻撃出来るって事だ。俺の元々の技能の《集中》は攻撃の精度を格段に向上させてくれるからな。合わせられば絶対に強くなる。…まあ早撃に日本刀の攻撃が該当しているかは分からんけどな。」
…なるほど、早撃を早撃ちと取るか早い攻撃と取るかって言う話か。後者なら確かに日本刀でも該当してそうだな。はは、早い居合攻撃とか絶対受けたくないや。…ん?そもそも技能は2つ持てるのか?
片山透
技能:剛力 武器:ハンマー
ガーディアンズ初期メンバーの一人。景計とは同い年である。少し自分が老け顔であることを気にしている。




