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第14話 凛夏は割り切り上手

読んでくださりありがとうございます。


「そりゃお嬢さんからすりゃなんでって話だよな。俺もこの端末がどう言う仕組みで動いてるか説明出来ねぇのよ。」


「技能のカギを入手したのだろう?なら八雲くん、君のある程度の情報はこの端末に登録される。仕組みについては詳しくは話せないがまあそう言うものだと思ってくれれば良い。」


「…はぁ、そうなんですか。」


一応納得したようだが凛夏はやや不安げであった。その反応も気がかりではあったが陸疾は研悟がどこに行ったのかが気になっていた。それに代わりに近くにいるこの男は一体何者かかなり気になっていた。


「隊長!遅くなりました!」


「研悟…。君はとにかく説明をせずにここに連れて来させるのをやめなさい。私が説明するとどうにも胡散臭くなるから嫌なんだ。」


「違いねぇ、カズは見た目からして胡散臭いからな。」


「あれ?透さんなんでここに?」


「いちゃダメなのかよ。」


「まあ良いですけど…。隊長こちらついさっき技能のカギを解放させた八雲凛夏さんです。解放後佐久間拳司、瞭司両名の襲撃を陸疾と俺で撃退しました。陸疾の幼馴染とのことでしたので基地で保護するために来てもらった次第です。」


「なるほどね、襲撃した2人はどうしたの?向こうに引き渡した?」


「いえ、短期間での二度の襲撃につき別棟にて拘束中です。」


「わかった。…一度ヒデとも話さないといけないね。…さて、八雲くん。君には何個か選択出来るんだけど…。ここは一つ簡潔に、…ガーディアンズの仲間になってくれないかい?」


景計の問いかけに辺りはしんと静まり返った。陸疾の時にしていた説明もろくにしないまま進むことに陸疾は違和感を抱いていた。そしてその静けさを打ち破るかのように通る声で凛夏が返答したのである。


「そのつもりでここに来ました。」


景計の問いかけが至極簡潔だったように凛夏の返答もまた至極簡潔であった。そのことにやや驚いた景計であったがやがてニヤリと笑った。


「予想以上に良い返事だ。…歓迎しよう、ガーディアンズへようこそ。」


「ちょっと待ってください!…なんか早くないですか?こいつ…凛夏に何も説明もしなくていいんですか?技能のことなんてなんにも知りませんよ?」


陸疾は思わずそう景計に聞いてしまったのである。しかし陸疾のその言葉に嘘偽りは無かった。そしてその言葉で陸疾と凛夏を除く全員がやや困惑したのである。


「あれ?陸疾の幼馴染って言ってたよね。ガーディアンズのこととか何にも言ってないの?」


「私は陸疾からはディメンションズが陸疾の敵で、ガーディアンズが味方って事と基地があるって事しか聞いてません。それ以外はなんのことだかさっぱりわかりません。」


凛夏は堂々としていた。その様子からして大体の話は陸疾から聞いているだろうという判断だったようだ。景計は軽く頭を抱えていた。


「ええと、…つまり八雲くんは相谷くんの味方であるから私たちの仲間になってくれるって事かい?技能のこととか何も知らずに?」


「…そうですけど、何か問題でも?」


「あぁ…済まない。問題は無い。それほどに割り切れる人が初めてだったもので少々困惑しただけだ。それじゃあ軽く説明しよう。」


そう言うと景計は陸疾にも説明したような内容を凛夏に説明し始めた。


「…。だから厳密に言えば敵味方ってわけじゃないんだが技能のカギを巡って対立関係にあるのがディメンションズと私たちガーディアンズだ。」


「…それに隊長、ガーディアンズに入ったら寮に引っ越さないといけませんよね…?」


「あぁ、…相谷くんは今寮にいるんだったか?別に引っ越す義務は無いぞ。…推奨はしているがな。セキュリティ諸々の観点から寮に移ることが望ましいだけで別に義務ではない。…ただ相谷くんは家が住めない状態になったから引っ越してもらったんだよ。」


…なるほど、全員寮に住んでいるわけじゃないのか。


「…寮?陸疾が引っ越したのはそこ?」


「そうなんだよ。いきなり引っ越しになっちゃってさ。引っ越すならおばさんに言わないといけないだろうけど…凛夏はどうするの?」


「…うーん、まあそれは後で考えるかな。色々と説明を聞いたんですけど、結論は変わりません。ガーディアンズに入るつもりでここに来ました。」


「結論は変わらないんだね。良かった良かった。…歓迎しよう、ガーディアンズへようこそ。」


凛夏は中々豪快と言いますか割り切った性格をしているようですね。トラブルにならなければ良いんですが、まあ今のところは大丈夫でしょう。

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