第10話 慌ただしく日は過ぎる
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「相谷陸疾さんですね。自宅にあったものを持って来ました。物を確認しながらお渡ししますね。まずこちらの段ボールに食器類と調理器具などですね。」
「はい。」
「そしてこちらの段ボールに服が入ってます。」
「はい。」
「そしてこちらの段ボールに漫画や雑誌類ですね。」
「おぉ!」
「そしてこちらの段ボールにゲームやパソコン類ですね。」
「おおぉ!」
「そしてこちらの段ボールにカバン類ですね。中身は別にしてあります。」
「おぉ…。」
「そしてこちらの段ボールに参考書や文房具などですね。」
「…。」
「そしてこの部屋の鍵がこちらになります。スペアはこちらが保管してますので無くした際は連絡してくださいませ。」
「あ、はい。」
「以上になります。不足があったり、何かございましたらいつでも連絡してください。それでは失礼します。」
…参考書や文房具って言っていたよね。…開けたら宿題は無くなっている…とか無いかな?…あぁ、うん。1番上にあるわ普通に。やる気でねぇ…。なんか普通に引越ししに来た気分だわ。…はぁ、とりあえずこれ全部片付けるか。
陸疾が早速片付けを始めようとした時玄関のチャイムが鳴った。部屋に入ったところなのでまったく来客に心当たりが無かったがとりあえず出てみることにした。結果として来客は知っている人であった。他でも無い研悟である。
「よぉ、そろそろ帰った頃だと思ってな。」
「…まあさっきここに着いたところっすけど。て言うか家に帰れないなんて知らなかったんすけど。」
「あぁ…悪い、すっかり伝えるのを忘れてた。」
「俺が普通に帰っていたらどうすんすか。」
「まあそう言うな。誰にだって間違いはあるさ。…お詫びと言ってはなんだがお前飯まだだろ?」
…確かにそうだな。まだご飯食ってないや。色んなことがあったから特に気にせず過ごしてたけど気づいたらめっちゃ腹減ってきたな。
「そうっすね、さっき着いたところなんで。…この辺りに良い飯屋でもあるんすか?」
「あぁ、俺の好きな飯屋なら結構あるぞ。…陸疾はラーメンは好きか?」
「そうっすね、好きです。奢ってもらうラーメンはもっと好きですね。」
「ふはは、そりゃ良いな。それじゃあついて来い。俺がラーメンを奢ってやろう。」
こうして陸疾と研悟は近くのラーメン屋へと向かった。丼からはみ出るほどの大盛りラーメンを堪能した陸疾が再び部屋に戻ったのは夜10時半過ぎの事であった。陸疾はこの時間になって片付けを始める気にはなれず軽くシャワーを浴びて寝てしまおうとしていた。
さてと、シャワーも浴びた事だし携帯の通知を確認して寝るとしますかね。あ、そうださっき聞いた研悟さんの番号を登録しておくか。…そんで溜まった通知を…と。ん?凛夏から?なんかあったのかな。
八雲凛夏は陸疾の昔からの幼馴染である。一人暮らしをしている陸疾の二軒隣に住んでいる女の子であり彼女の家族とも仲良くしているのであった。そんな彼女からの連絡は陸疾の家についての話であった。
…あぁ、なんかあったのは俺の方か。しまったな早く返してやるべきだった。…ガーディアンズのこととかはなんとなく伏せておこうか。
「お前家壊れてるんだけど笑」16:05
「なんかあったの?」16:06
22:43「悪い、今見た。色々あって引越したんだよ。」
「なんだよ色々って」22:44
「色々は色々だな。」22:47
「ふぅん、まあ無事なら良いや。今度新しいお前の家に遊びに行くわ。」22:48
22:50「へいへい、それまでに部屋きれいにしておくよ。今全然整理出来て無いからな笑」
凛夏とひとしきりメッセージアプリでやり取りをした後携帯をしばらくいじっていた陸疾であったがやはり疲れがあったらしくいつもよりやや早めに消灯して眠りについたのである。
まあ当然教科書や参考書も届けられます。陸疾はまだ高校生ですからね。陸疾には八雲凛夏という幼馴染がいます。彼女とのやり取りをメッセージアプリのようにしてみたのですが…伝わっているでしょうか?




