親愛と水の魔女
友達を大切にしなさい。
子供のころから、ずっとそう言われて私は育ってきた。
だから、友達を大切にしてきた。
友達が泣けば一緒に泣いて、泣いた原因を解決してあげた。
友達が笑えば一緒に笑って、その喜びの感情を分かち合った。
そのうち、私は友達がすべてになった。
私が悲しくなっても泣けない。
私が嬉しくなっても笑えない。
私の全部は、友達でできてしまっているようだ。
これはおかしい事かな。
これは異常な事かな。
でも、皆が友達想いの子だねって誉めてくれるから、これでいいような気がしてきた。
私が泣けない分、友達が泣いてくれればそれでいいの。
私が笑えない分、友達が笑ってくれればそれでいいの。
だってそうしてくれたら、私も泣いて笑えるんだから。
最後に笑って泣いたのっていつだっけ。
おかしいな、泣けなくなったはずなのに。
まぶたをこすった人差し指が水でぬれてるや。