神様、一緒の約束。
クロさんの腕の中で、あれから爆睡してしまった・・。
朝起きたら、クロさんはまだ寝ていて・・、眉間にシワが寄ってない顔は優しそうだな・・と思って微笑んでしまう。今日、出かけちゃうんだなぁ・・と、ちょっと寂しく思うけど、すぐに会える・・そう思い直す。
私も出来る事をひとつひとつやっていけばいい・・。
クロさんの目が開いて私を見る。
「お、おはようございます」
「・・・おぅ」
まだちょっと眠そうだなぁ・・、なんだか可愛くてそっと耳を撫でてみた。柔らかいなぁ〜・・、ククと触り心地が似ているのはやっぱりクロさんの一部だからだろうなぁ。
クロさんはというと、ちょっと固まって私を見ている。
あ、これって失礼だったかな?
そっと手を離そうとすると・・
「・・撫でていい・・」
そう言ってくれたので、もう少し撫でておいた。
「手触り・・いいですね」
「・・そこかよ・・・」
フッと笑ってクロさんは、私の頬を撫でる。
優しい手つきがくすぐったくて、笑うとクロさんも柔らかく笑う。・・うん、いつもこうだといいんだけどな・・・。
「起きますか・・・・」
「・・・そうだな」
あ、今日はやっぱり修業もあるから、渋らないなあ・・そう思って私は体を起こすとクロさんも体を起こすと、ベッド脇の花の栞を一枚取って、指で花を触ると淡い白い光が出て栞が光る。
そして、それを私に渡すと・・
「これに話しかけると、会話できる・・」
「え?そうなんですか?」
「・・・夜なら話せる」
と、いう事は修業中でもこれがあれば話ができるって事?
私は花の栞と、クロさんを交互に見て、嬉しくなった。ちょっと寂しいな・・って思っていたので、話せるのは嬉しい!
「・・嬉しいです!じゃあ、今日早速話しかけますね」
「・・・・おぅ」
あぐらをかきつつ、ちょっと目線を逸らしたクロさんが、ぶっきらぼうに返事してくれた。・・・照れてるのかな・・。栞を持って、私は着替えようと思って、ベッドから降りようとするとクロさんがさっとキスしてきて、真っ赤になる。
クロさんは、ちょっと面白そうに私を見ると、手を繋いでクローゼットに続いているドアまで連れて行ってくれた。ドアの前で、クロさんがピタッと動きが止まるので、私も足を止めてクロさんを見る。
「・・・たえ」
「・・はい?」
「・・・戻ってきたら、その・・」
「はい・・?」
クロさんが、ちょっと目元を赤くして私を見る。私もドキッとして、クロさんが何かを言おうとするのを、じっと見つめると、クロさんは、あちこち目線が泳いでから・・
「・・・俺とずっと一緒に生きて欲しい」
「・・・・ずっと・・」
思わずオウム返しのように答えてしまった。
ええと、それはつまり・・、一緒に生きるって・・
なんとなく、言いたい事はわかったけど、確信が持てなくて・・、ドキドキしながらクロさんの緑の目をじっと見る。
「・・・えっと・・結婚・・と、いう事、でしょうか・・・?」
勇気を出して聞いてみた。
すっごい勇気を出した。違うって言われたら、私は走って逃げる気満々だ。
クロさんは、初めて見る甘い顔をして頷いた。
あ、そんな顔をするんだ・・。
胸が、ギュウッと痛くなる。どうして好きなのに、こんなに胸が痛くなるんだろう。神様なのに、どうしてこんなに切なくさせるんだろう・・。
クロさんが、手をぎゅっと握る。
「・・・帰ってきたら、」
「・・・はい・・・」
小さな声で返事をすると、嬉しそうに見つめる目に、私はそれだけで心臓が潰れそうになる。
うぅ、胸が痛い・・。
手を繋いでクローゼットのドアを開けて、私の部屋へ入っていくクロさんの尻尾は機嫌が良さそうにユラユラ揺れている。・・なんだかちょっと悔しくて、ちょっと尻尾を触ってみたらクロさんがビクッとして、私を赤い顔で睨んだ。
・・・す、すみません・・?




