朝です。
翌朝。
朝の光が窓いっぱいに差し込んできて、目を覚ます。
うーんと体を伸ばして、
「クク?」
と、呼ぶとククはいない。あれ・・?何処かで寝てるのかな・・。ベッドの周りを見てもいないし、ベッドの下をしゃがんでみてみたけどいない。せっかくクロさんが寄越してくれたのに・・と、焦っていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
そう返事すると、トト君がちょこっとドアから顔を出して、
「おはようございます〜。ククちゃんなら大丈夫です〜。一旦こちらで預かっておきますね!」
「あ、はい」
トト君の所へ行ったのか・・、なら安心だ。
そう思って、顔を洗って、着替えてから気付いた。
「・・・・・・あれ?なんで名前知ってるの???」
こっちの世界は、神様がいるからなんでもわかっちゃうってやつ?
・・・まぁ、安全に保護されているならいい・・・か?
考え込んでいると、ドアがまたノックされる。
トト君かな?
「はーい」
返事をしつつ、ドアを開けると、
おはようございますカチコミに来ましたぁ・・オラァ!!と、ばかりにクロさんが立っている。今日も威圧感たっぷりだ。殺る気満々ですって感じだ。
「お、おはようございます・・」
「おう、飯だ」
「あ、はい、左様で・・」
普段絶対使わない言葉が出る・・。
私より大分背が高い上に、ゆったりしたシャツから、ガッツリタトゥーが入った結構な筋肉を惜しげもなく見せてくれて、平常心でいられる人間がいるんだろうか。っていうか、神様とは未だに信じられない・・。
クロさんの後をついていくと、昨日と同じサンルームの席に朝食が置かれていた。
なんという準備の良さ・・。
いいのよ・・?朝食は部屋でそれぞれとっても・・。
クロさんは、昨日と同じように椅子を引いてくれたので、そっと座る。
向かいの席にクロさんが座ったのを見てから、
「あの、クロさん・・、昨日はクク・・黒猫ちゃん、ありがとうございます。おかげで・・、寂しくなかった・・です」
ペコっと頭を下げて、そっと顔をあげると、少し目を丸くしたクロさんがこっちを見ている・・。
緑の瞳と目が合うと、プイッと横を向いて、
「・・そうか」
それだけ答えると、朝ご飯を食べ始めるから、私も食べ始めた。
・・・もしかして、照れているのだろうか・・。
そう思うと、少しだけホッとした。
「あの・・、黒猫ちゃん名前ってあるんですか?」
「いや・・」
「ククちゃんって付けちゃったんですけど・・、いいですか?」
「・・・・ああ」
カラカラと何かが近づいてくる音が聞こえて、そちらを見るとトト君がカートを押してくる。
「ククちゃんなんて、可愛い名前ですね〜!!」
ニッコー!!と、朝から太陽のような笑みである。眩しい!!
しかし、安心感が半端ない!!
「そうですか?付けちゃっていいのかな・・って思ったんですけど、すっごく可愛くて、賢くて・・、こっちの世界の猫ちゃんって、みんなあんな感じなの・・?」
トト君に聞いてみると、ニコニコしながら、
「どうですかね〜?でも、気に入って頂けて嬉しいです!たえさんのこと、覚えたと思うので、今度は勝手に遊びに来てくれると思いますよ!」
「あ、結構自由な感じで飼ってるんですね」
「はい〜!」
そっか、じゃあまた会えるかな・・。
来てくれるかな。夜とか、一緒に寝たいなぁ。
「そっかぁ・・、また来て欲しいな」
「いつ頃がいいですか?」
「え、日中とか・・あ、夜寝る時も来て欲しいな。安心するし・・」
ゴフッとクロさんが突然お茶で咽せた。神様も咽せるんだ・・。
「え、大丈夫ですか?」
「・・・大丈夫、だ・・・」
ゴホッと、咳を一つしてトト君を睨むと、
「お茶」
トト君は「はい〜」とニコニコ笑いつつ、クロさんの空っぽのカップにお茶を注ぐ。うーん・・・・、朝からやっぱり恐い!!!!