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神様のそば。


水神殿の間に、三人で戻ってくると周囲を見渡す。

変わったいない風景にホッとすると、トト君とクロさんがそれぞれ手を握ってくれて、プールからあがる。うう、ちょっと照れる。


トト君が振り返って、


「おかえりなさい!たえさん」


にっこり笑って言ってくれた・・・。

それがすごく嬉しくて、クロさんとトト君を見る・・。


「・・・ただいま」


泣き笑いになったんだけど、なんとか応えた。無事に帰ってこれた・・、そしてもう緊張した日々を過ごさなくていい・・それだけで安堵する。


「さ、お部屋でまず休みましょうね!」

「ちょっと待て、トト・・手を離せ」

「嫌です〜〜!僕もたえさんの側にいます!」

「あ、テメ・・」


トト君が、私の腰に抱きついてクロさんがそれを睨みつける・・・。なんかこれって、アスちゃん???トト君の頭を撫でて、笑いかける。


「今日はとりあえず休ませてくれると、嬉しいな・・。本当にここまで一緒にいてくれてありがとう・・トト君」


私もトト君をぎゅっと抱きしめると、トト君は嬉しそうに耳をぴこぴこ動かして、にっこり笑う。可愛いな・・。クロさんは、ちょっと不服そうな顔をして私達を見ていたけど・・、送ってくれたの・・クロさんですよ?


部屋の前まで、トト君とクロさんに送ってもらって部屋へ入る。


急な襲撃があって、急に部屋を飛び出して行ったけれど、何も変わっていなかった。壁をみると、クロさんが作ってくれた花の冠が綺麗なドライフラワーになって飾られている。


ノアルさんのくれた虹色の羽は、綺麗な瓶に入れられて光っている。

・・うん、今度改めて皆にお礼を言おう。



「とりあえず・・、お風呂入ろう・・・」


クタクタなんだもん・・、流石にさっぱりして眠りたい・・。

クローゼットからパジャマ代わりのワンピースを持ってお風呂へ入った。すっかりほかほかに温まって、髪を乾かすと、ベッドにダイブした。あー、フカフカだ・・・。



ウトウトしつつ、今日のことを思い出した。



私を元の世界に返そうとして、協力してくれたノアルさんや、ティナさん、スミさん・・。トト君も、リリ君も・・。


元の世界に帰そうと・・、覚悟して奥神殿へ行ったんだよね。

・・そうして自分の事より、私の安全を優先する。


ゴロッと横になって、クロさんの作った花の冠のドライフラワーを見る。



・・・あの時、かなり「好き」とか、「離れたくない」とか、言った自分を思い出して、カァッと顔が熱くなる。私・・・離れたくなくて、結構恥ずかしい事・・言ったよね・・。


言っちゃったよね?!


わぁああああ、どうしよ!!どうにもできないけど!!!ほ、本心じゃないか?って言われたら、本心からの言葉ですけども!ど、どうしよ・・。今日はクタクタで、今まで思い出さなかったのに・・・。


布団を被って、顔を抑えながら目を瞑った。

とりあえず寝よう・・。



そう思ったら、ベッドがギシッと揺れる音がした。



え?待って?誰か来た?

ぱちっと目を開けて、そっと布団を下げようとするとクロさんの指が見えて、慌てて目を瞑った。布団が少し捲られて、私の顔を見るクロさんの気配を感じる。


ね、寝てる・・・。

私は寝てる・・。


目を瞑っている私の髪を、ゆっくりクロさんが撫でる。

あ、気持ちいいな・・これ。


クロさんの大きな手が頭を撫でて、朝も撫でてくれたの・・クロさんかな・・そう思っていると、本格的にウトウトしてきた。クロさんの手がそっと止まったな・・と、思ったら、クロさんの香りが強くして、そのままキスされた。


ビクッと思わず動くと、クロさんがクッと笑う声が聞こえた。

クロさんは、そっと布団を上にあげると、頭をもう一度だけ撫でて、



「おやすみ」



そう言って、部屋を出ていった・・。

けど、私は心臓がバクバクと大きく鳴って、寝られそうになかった・・・。




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