一般人、頑張った。
二人でスミさんの神殿の祭壇の前に立って、周りを見ると、ティナさんと、ノアルさんは床に倒れていて・・その前に大神様が立っていた。
戻って来た私達を、一瞬驚いて見た大神様はすぐに笑って・・
「見つけた・・」
ニコリと笑うと、指を上げて光の玉が出てくる。
クロさんが私を抱きしめて、転移しようとすると、光の玉が急に縄のように伸びてクロさんの手首に巻きつく。
「ダメ!!!やめて!!」
クロさんの手首に巻きついた光の縄を掴むと、縄がぼろっと崩れた。
「「・・・え?!」」
私とクロさんの声が重なった。
大神様も、驚いて目を丸くする。
なんで・・・??何も力なんてないはずなのに・・。
自分の手を見るけれど、何も変化はない。
大神様は、顔を歪めて背中から大きな光の縄を沢山出して、私の前に蛇のようにしならせながら投げつけてくる。
「たえ!!危ない!!」
バッグに咄嗟に手を入れると、金の羽がある。
それをかざした瞬間、私の目の前に大きな丸い金の丸い模様が出てきて、白い沢山の縄を飲み込んでいく。起き上がったノアルさんと、ティナさんも驚いて目を見開く。
「え、えええ・・・・???!!」
こ、これ、次はどうすれば??
縄を全て飲み込んだ金色の丸い模様から、小さな木の格子の窓が宙に浮いて出てきた。
クロさんは、それを見て、
「貴方は・・」
って、呟いたけど、何??誰??
大神様はギリっと窓を睨みつける。
「・・なんで、お前が・・、そうか・・たえの世界の・・・」
私の世界??不思議に思いつつ、金の羽をすぐ使えるようにぎゅっと握りしめると、クロさんが手を握ってくれた。
窓が、静かに開くと大神様の体から白い光が出てくる。
「やめ、やめろ・・!!!」
大神様が焦った声を出すけれど、体が動かないのか固まったままだ。白い光はどんどん体から出て来て、小さな窓の方へ流れていく。そうして、最後に白い光に包まれた大神様は、小さな丸い球のようになって宙に浮いていた。
ぽかんと、それを見ていると、スミさんが転移してきたのか急に現れて、小さな窓の前にひざまづく。
「言の葉の世界の神、私達の世界をお救い頂き感謝致します・・、この魂はこちらで管理致します」
そう話すと、白い球はスミさんの手の中にゆっくりと入っていった。
驚いてその光景をじっと見ていると、
開いていた窓が小さく音を立てながら閉まって、金の模様の中へ吸い込まれていく。
え??帰っていくの?何かの世界の神様だったんだよね?
「あ、あの、ありがとうございました!!」
私は金の羽をぎゅっと握りつつお礼を叫ぶように言った。
窓は静かに金の模様の中へ吸い込まれ、最後に鈴のような音を鳴らして消えていった。
辺りがシン・・・と、静まりかえって、クロさんを見上げる。
「お、大神様は・・?」
「言の葉の世界の神に、力を没収されたんで・・しばらくは静かだ」
クロさんがそう説明すると、ノアルさんはごろっと寝転がって、
「え〜〜〜、もうずっと寝てて欲しいんだけど!!!」
「まぁまぁ、しばらくは反省して頂こう」
ティナさんが笑いながらノアルさんの横で、しゃがみながら笑って話す。
スミさんは、手の平を見つつ、
「そうね〜〜〜、いい子に育て直すのも根気がいるわよね〜。ちょっと長めに寝ていてもらいましょ」
にっこり笑って、私とクロさんを見る。
お、終わったの・・??
もう大丈夫なの??
ホッとしたら、腰が抜けた・・・。
へなへなっと座り込む私に、クロさんが慌てて手を貸してくれた。
「・・・も、一生分の怖い体験しました・・・・」
そう言うと、みんな一斉に笑ったけど・・、本当に、本当に怖かったんですってば〜〜〜!!!




