一般人、篭る。
二週間、何をしたらいいんだろう・・と思ったけど、
あっという間に一週間がすぎた。
暇があればお祈りしたり、せめてもと神殿を掃除した。
体を動かすと、気も紛れて良かった・・。
ちなみにあのお祈りから、2日後・・アスちゃんが帰ってきた!!
「もう、女の子吹っ飛ばすとか、まじ最低ー!!」
って、神殿を開けて入ってきて、私を見て驚いていた。あ、ど、どうも・・お世話になってます・・・。
「あんた無事だったの?!もースミ様教えてくれれば良かったのに!!」
「あ、知らなかったんだ・・、お陰様で無事です。アスちゃんも体は大丈夫?」
そう聞くと、目をパチクリと丸くする。
「あんた・・!」
「あんたじゃありません!!たえさんです!!」
こっちへ駆け寄ろうとしたアスちゃんの前に、トト君が割り込んで、ギロッと睨む。
「と、トト君・・落ち着いて」
トト君の尻尾がめっちゃ逆立ってる〜〜!!!
アスちゃんは、トト君を見るとフンッと鼻を鳴らして、
「クロがいないなら、意味ないし!」
と、言って出て行った・・。クロさん、好かれてるなぁ・・・。
「クロさんは、好かれてるねぇ・・・」
思わず言うと、トト君は頷きつつ、
「好かれてはいるんですが、皆さん押しが強いんですよね〜」
「・・・・確かに・・・」
皆、クロさん大好きだけど・・お節介を焼いたり、せっついてみたり・・、アスちゃんみたいに体当たりしたり・・だな。
「皆、昔からの知り合いなの?」
「そうですね〜。ティナ様とノアル様は、クロ様がまだ神でない時から知っていますから、幼馴染・・のようなものですね。だから、たえさんの事も知っていたんですよね」
「え?かなり前から知ってたの???」
「はい〜、だから、たえさんに会えた事を大変喜ばれていましたね」
「・・なるほどぉ・・」
クロさんは、相当前から私を好きだった事は知っていたけど、あの二人も相当前から私を知っていたと・・。あと少しでお祭りで来るであろう二人にどんな顔をすればいいんだろう・・。
「あ、お祭りになったらクロさんの力は戻るの?」
「はい・・・、恐らく」
「でも、ここへクロさんも来るけど、大神様もここへ来るよね・・」
「そうなんですよね・・」
うーーん、どうしたらいいんだろう・・・。
スミさんの力のおかげか、今は大神様もここへは来られないけど、お祭り当日は大神様も入れるし。
奥神殿へは、緊急事態の時しか入れないみたいだし。
詰んだ?
これを詰んだっていうのかな??
ノアルさんから貰った、金の羽をバッグから取り出してみる。
「トト君、この羽の使い方って分かる?」
「あ、そうでしたね・・僕も失念してました。リリ君を通して聞いてみます」
「うん、お願いします」
金色の羽は、キラキラと淡い光を放っていて・・、何となく自分の世界にいた鳥の神様を思い出した。
「不死鳥の羽・・って、こんな感じなのかな・・」
光にかざすと綺麗に光る羽が、キラッと返事するように光った。
スミさんとも相談して、祭りの日は奥神殿へトト君と入る事になった。
もし、誰か声をかけてもスミさんしか開けられないから、絶対に開けない事。
「まぁ、今回は私もいるし、神力も一番高い時だから、相打ちくらいには持っていけるわ!!」
って、すっごく綺麗な顔で仰ってますけど、ダメです!!
命大事にしてください!!
そう話すと、スミさんは頭を撫でてくれた。
「たえちゃんは、いい子ね〜!大丈夫、神様だから、最悪死なない!!」
「いやいや、最悪を想定しないで下さい!スミさん、生きて下さい!!」
横でアスちゃんが、
「スミ様が死ぬとか、ウケる」
って言うと、スミさんのゲンコツが落ちた。
怖い・・、綺麗なのに怖いーーー!!!
あっという間に前日になって、明日朝早く奥神殿に行く事になった私とトト君は緊張しながらもハンモックで一緒に寝た。




