一般人、胸が痛い。
大神様は、この世界では上司なので逆らうと処分を受けるらしい・・。
ティナさんとノアルさんは、お咎めはないけれど、クロさんの接触は禁止されたそうだ。
謹慎中は、クロさんは力を十分に使えないらしく、水神殿に戻りたいけど、力が十分使えない時に戻っても危険だから・・と、結局お祭りが終わるまでスミさんの神殿で過ごす事になった。
トト君は、クロさんが心配してこちらへ送ってくれたらしい・・。
自分の方が大変なのに・・。
スミさんの神殿に作ってもらったハンモックに座って、思わずため息が出ると、トト君がスリッと顔を撫でてくれた。
「二週間なんてすぐですよ!」
「・・・うん、ありがとうトト君・・」
「そうよ〜、会えない時間が二人を強くするのよ〜」
スミさんはニコニコしながらやって来た。
そうして、手をパンと叩くと、テーブルと椅子が出て来た。
「あと、ご飯も食べないと元気が出ないわ〜」
そういって、テーブルの上をぽんっと叩くと、ご馳走が出てきた。
え!!すごいな?!!目を丸くして見てしまう。何度か見たけど、やっぱりすごい!!
美味しそうなご馳走に、思わずお腹が鳴ってしまった・・・。
スミさんは、満足そうに笑うと手招きする。
「とりあえず、一緒に朝食をみんなで食べましょう!お腹をいっぱいにして、対策を練りましょ!」
ふんわり笑うスミさんの笑顔に、心が温かくなる。
「はい!」
そういって、リリ君、トトくん、スミさんと朝食を食べた。
あ、そういえばアスちゃんは・・・?そう思って、キョロっと周囲を見た。
「あ、アスちゃんは?」
「アスなら、大神様に思いっきり殴りかかって、吹っ飛んでいったわ〜。そろそろ帰って来ると思うわ!」
・・・す、スパルタ?!!大丈夫なの?!思わずリリ君と、トト君を見たら、静かに頷いた。神様の世界、わからない〜!!
朝食を食べ終えると、リリ君は一旦ノアルさんの所へ戻って行くことになった。
「ノアルさんにお礼を言っておいてね、リリ君も本当にありがとう!」
「はい、たえさんも気をつけて下さいね」
そう言うと、あっという間に白い小鳥になって消えてしまった。
トト君が、そっと私に寄り添ってくれて・・、私も寄り添ってみた。・・・寂しいけど、トト君がいてくれて良かった・・。でも、クロさんは・・?そう思うと胸がズキッと痛む。
手紙とか書けたらいいんだけど、一切の接触を禁じられているので無理だそうだ。
二週間、神殿の中だけどう過ごそうかな・・。
何ができるかな・・。
キョロっと周りを見ると、祭壇らしい場所があった。
「トト君、あそこってお祈りする場所?」
「あ、はいそうですね。水神殿の間・・みたいな場所ですけど、スミ様はどこでもお祈りできるように祭壇を置いています」
なるほど・・。
だったら、お祈りとかしておくか。
だって、悔しい!私を守るために色々な神様が助けてくれたのに、迷惑ばかり・・。
私は祭壇の前に座って、お祈りしてみた。
神様〜!!ここのもっと上の上司さ〜ん!ここの大神様酷いんですけど!昨日もちょっとお祈りしましたけど、どうにかして下さい!!あと助けてくれたティナさんと、ノアルさんと、スミさんと、殴りかかって、吹っ飛ばされちゃったアスちゃん助けてあげて下さい。
あと、クロさん・・助けて下さい。
大事な・・私の神様なんです。
何度も助けてくれたけど、今、一人なんです・・・。
クロさんの姿を思い浮かべたら、なんだかまた泣けてきた。
面白そうにからかってきたり、じろっと睨んできたり、怖い顔も思い浮かんできて、最後にはあのクシャっと笑った笑顔が思い浮かんできたら、涙が出てくるから、頑張って泣き出さないように、ゴシゴシ目元を擦った。
そっとトト君が、腰に抱きついてきてくれて・・、私も抱きしめ返した。
クロさんに会いたい・・って、呟くと、トト君は静かに頷いた。




