癒しタイム。
トト君が「クロ様から!」と、連れて来てくれた黒猫は、大変可愛かった・・。
白虎だけど、猫なのか・・とも思ったけど。
「ええと、クロさんにありがとうって伝えておいてくれますか?」
「はい!もちろんです〜!あ、この子、トイレもご飯も済んでいるから何も気にしなくて平気です!とりあえず、朝また様子を見にきますね〜!!」
「あ、はい・・」
そういうと、バタンと扉が閉められた。
早い・・、仕事が早い。
まあ、いいか・・・。
籠からこちらをじっと見ている黒猫・・。随分大人しいんだなぁ・・。猫好きだけど、飼ったことがないので・・勝手がわからないけど。トイレもご飯も済んでいるなら、あとは寝るだけ?
お風呂に入って、特に何をするわけでもないし・・。
「一緒に寝よっか?」
ベッドに籠を置いて、中からそっと黒猫の脇を持つ。
噛んだり、引っ掻いたりしないでね・・・。
籠から出すと、ベッドの上をちょっとキョロキョロする。可愛い!!!枕元にポテッと寝っ転がって尻尾をゆらゆら揺らすので、可愛くて私も寝っ転がってみる。
「君、可愛いね〜。名前、聞いておけば良かった」
そうだ・・、あまりの可愛さに失念してた。
勝手に命名しちゃダメだよね・・。でも、名前ないと不便だしな。
「・・・クロだと、クロさんと同じになっちゃうし・・」
尻尾をちょっと触ると、ぱたっと振って私の指に巻きつく。可愛い〜〜〜。
「うーーん、緑の目だし・・緑茶、りょく・・リリ・・いや、ククかな。ククにしよ〜。クロさんが連れて来てくれたしね」
そういうと、ククはこちらをじっと見る。目がクリクリしていて、可愛いなぁ。
「クク、よろしくね〜。私はたえだよ〜」
ふふっと、笑って頭をそっと撫でてみた。ゴロゴロいってる〜!安心してくれたのかな・・、そう思うと不意に、お母さんを思い出した。忙しくて、ほとんど家にいないけど・・。大丈夫かな・・、心配しているだろうな。
・・そう思ったら・・・・、ほろっと涙が出てきた。
「・・・お母さん・・・・」
私は毛布で涙を拭くけど、ほろほろと泣けてきて・・。
喉が詰まって、声が出ない・・。
帰りたいと、言いたいのに・・。
ククは、そっと私の顔に寄ってくると、ぺろっと顔を舐めた。驚いて、ククの顔を見ようとしたけれど、涙を舐めとろうとしくれたのか、何度も顔を寄せてくるので、思わずくすぐったくて、笑ってしまった。
「ちょ、ちょっと待ってクク〜〜!」
・・もしかして、励ましてくれてるのかな?
鼻をすすりつつ、舐めるのを一旦止めてくれたククをみる。
「クク・・ありがとう」
緑の目がこっちをじっと見るので、ククの頭を撫でる。
スリスリと顔を寄せてくれるから、可愛くてたまらない・・。
ククがいてくれるから、気も紛れるし・・。
クロさんは、きっとこんな風に寂しく感じるかと思って、ククを寄越してくれたのかな・・。顔が怖すぎて、そう思っているか、イマイチ想像できないけど・・。
でも、そんな風に思ってくれたなら・・。
明日の朝、勇気を出してお礼を言おう・・。めちゃくちゃ恐いけども。
スリッと顔にすり寄ってくるククに和む。
「ククがいてくれて良かった・・、ありがとう」
顔を覗き込むククが可愛くて、ほっぺの辺りにキスしてみた。
ククはびっくりしたようにこっちを見るから、人間みたいだなぁって思って笑ってしまう。
「人間みたいだね・・賢いんだね」
そういって喉を撫でると、ゴロゴロいう。可愛いなぁああ。
「クク、おやすみ」
明日はお礼を言う・・。
そう決めたら眠たくなってきて・・、顔のそばでゴロゴロいっているククの音を聞きつつ眠った。
うん、なんとかなる・・、そう思った。