一般人、アイテムを手に入れる。
クロさんに、花を栞にしておけと言われたが・・、どうすれば栞に??
トト君がちょうど通りかかったので、聞くと・・、すぐに理解してくれたようだ。大きな分厚い本と薄い布を持ってきて、花を押し花にしましょうと教えてくれた。・・・・重ね重ねすみません・・・。クロさんも、もうちょっと説明して欲しかった・・。
そんなわけで、私はどれくらい必要かわからなかったので10本ほど作ってみた。大きな本に挟んで、1時間もしないうちに押し花になってしまった!
これも魔法のおかげなのかな?
仕上げにトト君が綺麗な紙に花を張って、薄くラミネートのように魔法で包んでくれた。・・・魔法、羨ましい・・。トト君は、ニコニコしながら作った栞を渡して、
「魔法の加護は、クロさんにやってもらって下さいね」
「うう、トト君・・・結局、何から何までありがとうございます・・」
「いいえ〜、お役に立てるのが何よりです!!」
なんていい子なんだ・・。
私は、そっと頭を撫でると耳がピコピコ動く。可愛い。
「クロさん、どこかな・・」
「そうですね・・、今だと奥神殿かな・・」
「お仕事中なら、夕食の時にお願いするかな・・」
お仕事の邪魔しちゃまずいもんね・・。
「う〜〜ん、もう終わる頃ですから、奥神殿の入り口まで行ってみては?嬉しいと思いますよ?」
トト君がにっこり笑って言うので、ちょっと照れくさい。
水神殿の間のちょうど真ん中に登っていく階段があって、そこに扉があったな・・。栞を持って、外廊下から水神殿の間に入る。水神殿のプールは、今日も水が並々と入っていて、よく見たら天井に小さい窓があってそこから光が射して、キラキラ光っている。
「・・・綺麗だなぁ・・」
思わず水の中を覗きこむと、ガタっと音がしたので、そちらを向くと奥神殿の扉からクロさんが出てきた。
「・・・たえ?」
「あ、クロさん・・お仕事終わりました?栞ができたんで、持ってきたんです・・。後の方がいいですか?」
クロさんは、少しホッとした顔をして階段を降りてきた。
「大丈夫だ、栞は?」
「あ、これです」
トト君と作った物を渡すと、それをプールに浮かべる。え?濡れちゃわない??クロさんは、気にせず手の平を水面に向けて淡い光を出すと、栞一枚、一枚が違う色になって光る。
光った栞は、ふんわりと空中に浮かんだと思うと、クロさんの手の中へ再び戻ってきた。
「・・・・・・はぁあああ、すごい・・魔法、格好いい!!」
「・・・普通だが」
「・・魔法が一切使えない人間からしたら、羨ましいです」
こんなファンタジー感満載な光景見たら、羨ましいしかない・・。
クロさんが渡してくれた栞は、全く濡れていなくて・・、淡く光っていた。それをそっと持っていたバッグにしまう。
「魔法・・、使えるようになる方法あるけどな・・」
「え?!そうなんですか??修行??修行ですか?」
パッと顔を上げてクロさんを見ると、ニヤッと笑う。
あ、すごく嫌な予感・・。
「・・やっぱり、いいです・・・」
「なんで?」
「・・・・すごく、嫌な予感がするんで・・」
「聞くだけいいんじゃねぇか?」
思わず、両耳を手で塞ぐとクロさんは可笑しそうに笑った。
・・・本当に笑い事じゃないんですよ??クロさんの言葉は、心臓に悪いんですから・・。
そろっと手を離すと、クロさんが私の頬を撫でる。
ドキッとしながら、クロさんを見ると、
「・・・今度、スミんとこで祭がある」
「・・・え?」
「・・・・俺だけ、行ってくる」
「だ、大丈夫なんですか?!」
もし、大神様が来たら・・・クロさん・・、大丈夫なんだろうか?心配になって、クロさんをじっと見つめる。
「・・一応、決まりだからな」
「そんな・・」
欠席できないなんて・・、あんな事があったのに・・。
「・・だから、お前はここで留守番しててくれ」
「・・・はい」
クロさんがそっと頭を撫でてくれたけど、どこか胸騒ぎがする。
とにかく無事を祈るしかないけど・・。
栞が入ったバッグを思わず、ぎゅっと手で抑えた。




