表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/112

一般人、対策してみる。


サコッシュみたいなバックをトト君が用意してくれて、早速金色の羽を白いハンカチに包んでしまっておいた。


トト君はそれを見て満足して頂けた。

お昼は・・、流石に入らなくて、少しだけ食べるとクロさんに怪訝な顔をされた。


「・・大丈夫か?」

「あ、さっきリリ君と、トト君とお菓子をたらふく食べてしまって・・」

「・・ああ」


説明したら、安心して頂けたようだ。

心配ばっかりかけちゃって、すみません・・。


「午後はどうする?」

「花の冠を作ろうかなって思ってます」


・・・何か手を動かしていた方が、安心するし。ついでにクロさんの神殿をトト君同様、助けたいし。


クロさんは、ちょっと頬杖をついて考え込むと、私をじっと見る。な、なんでしょうか?



「・・無理すんなよ」


ボソッとつぶやいてくれた一言が嬉しくて、思わず笑ってしまう。ありがたいなぁ・・、優しいな。笑いつつ頷くと、ちょっと照れ臭そうに横を向く。うん、ボス・・優しいです。



「とはいえなぁ・・・・・」


まったくケンカの経験もなければ、魔法も使えない。

花の冠を編みつつ、何か自分でも防げたり逃げたりできればいいんだけど・・と、悶々と考えながら作っていく。クロさんみたいにムキムキだったら、パンチの一つでもして撃退できそうだけど・・。


うーん、まったく想像できない・・。

ムキムキの自分・・、ちょっと面白いけど完全ギャグだ。


考え込んでいると、クロさんがこちらへ歩いてきた。

あれ、今日はお仕事じゃないのかな・・。


「百面相してたぞ」

「・・・え、そうでしたか?」


慌てて顔を抑えると、クロさんは可笑しそうに笑う。


「・・色々考えちまうのは、わかっけどな・・」


クロさん・・さすが神様です、ええ、その通りです。色々考えちゃってます・・。クロさんは、一本花を摘むと私に渡す。


「栞にしておけ、あとで魔法を込める」

「魔法・・・?」

「護符にしとく」

「護符!!か、かっこいい!!」


思わず言うと、クロさんはまた可笑しそうに笑った。


「とりあえず、出来る事やっておけば安心だろ」

「あ、はい・・・」


全部お見通しでしたね・・。私は、クロさんの摘んでくれた花を見ながら・・、


「クロさんみたく、ムキムキだったらなぁ・・」


と、呟くと、クロさんが思いっきり吹き出した。あ、真剣に考えてたのに!!!クックと笑いながら私を見て、また笑い出した。失礼な!!


「・・・クロさん、失礼ですよ!私、真剣に悩んでるのに」


シュシュっと、こうパンチをする真似をすると、クロさんは面白そうに私の手を掴んで、そっと握る。


「・・・そういう事はしなくていい」

「え、でも・・」

「そういうのは、俺の役目だ」


・・・見える、見えるぞ、コテンパンにのしちゃえそうなクロさん。

クロさんならイメージ出来るんだけどな・・。


「次はない」

「・・・クロさんが言うと、怖いです・・」


「守りたいんだ、当たり前だろ」



私の手をそっとキスして緑の目がじっと見つめてくる。

瞬間、真っ赤になって気付く。ハッ!!そうでした!二人きりでしたね!!甘いモードでしたね!!


「ええと、大変よくわかりましたので・・その、手を離して頂けると大変助かるのですが・・」

「嫌だ」

「・・・死にますけど」

「神の前で」

「神の前ですけど」


クロさんはニヤニヤしながら手をそっと離してくれて、ホッとする。


「長生きしろよ」

「・・・・手加減して頂かないと、無理だと思います」


獲物を狙うような目つきで、こちらを見ているクロさんの言動は、大分チグハグだと思う。そろっと、クロさんの手が動き出すのを見て、私は逃げた。



100m20秒という鈍足はあっという間に捕まった・・。

ぎゅうぎゅうに抱きしめられて、結局死にかけたのは言うまでもない・・・。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ