一般人、心配してもらう。
部屋に戻っておいた方がいいかな・・。
空でチカチカ光るものを見上げて、花の冠を籠にしまうとすぐに部屋へ歩き出す。
と、白い小鳥がひゅっと私の前に降りて一回転する。
あっという間に真っ白な髪の少年になった。
「リリ君!」
「こんにちは!お加減はどうですか?」
「ありがとう、大丈夫だよ!今来たの・・、リリ君?」
「はい!ノアル様が心配して、ここまで送って下さいました」
ノアルさん・・・、優しい気遣いに嬉しくなる。
「そっか・・、ノアルさんにお礼を伝えておいて欲しいな」
「はい!!」
リリ君は、ノアルさん面倒って言ってたけど、やっぱり好きなんだなぁ・・。と、後ろからトト君が笑顔で走って来た。
「リリ君ーーー!!!」
「トト君ーーー!!!」
二人で、きゃ〜!って言いながら、ハグしあってきゃっきゃと喜んでいて可愛い。可愛くて、私それだけですごく癒される。そうでした・・、この二人仲良しって言ってもんね。
「クロ様が、リリ君が来たって教えてくれたんです〜!」
「そうなの、良かったねぇ」
トト君は、嬉しそうに話すから私も嬉しくなる。
可愛い・・、二人になると更に可愛い。
「お茶でもみんなでしよっか?何かお手伝いするよ」
私がそう話すと、二人が頷いてニコニコ笑う。ここは天国か?
トト君と、リリ君は、掌を花畑に向けると、魔法なのかあっという間に敷物が出て来て、お茶やお茶菓子を用意してしまう。神様の化身でも、こんな事出来るんだ!思わず目を丸くする。
大神様は、驚いた私を面白そうに見ていたけど・・、
あの人は人と関わったりする事・・ないのかな・・・。
「たえさ〜〜ん!!一緒にお茶しましょう!」
トト君の声に我に返って、敷物の上にサンダルを脱いで座ってみた。
「あ、お茶菓子のクッキー可愛い!猫と鳥さんだ!」
「はい!せっかくですから、僕とトト君の形にしてみました」
「可愛い〜〜!!こんなのも出来るんだ!二人ともすごいね」
そう言うと、くすぐったそうに笑う二人。嗚呼、やっぱりここは天国だ・・。
ちょっと食べるのがもったいなかったけど、クッキーは食べました・・。二人が、これも、あれも!と勧めるので、お昼は食べられる気がしない・・。
お茶を飲んで一息ついた時、リリ君は手の平から羽を一つ取り出した。
「え・・・?今、手の平から・・」
「魔法です!」
へぇ・・・すごすぎるな・・。
リリ君は、私にその手の平から出した羽を渡してくれた。虹色の羽と違って、金色の羽だ・・。
「ノアル様と、ティナ様の魔法を込めてあります。できればそれは身につけるか、いつも持ち歩いて下さい」
リリ君が真剣な目で私を見る。
私は頷いてから、また金色の羽を見る。淡く光っているようで、キラキラと光に反射している。
「・・・大神様は、神様ですが・・自分の思うままに生きます。あれで諦めたとは思えません」
リリ君の言葉に、ぞくっとする。
どうして・・、そんな人が神様なんだろ。
「太古から神はいて、正しい神もいれば間違えたり、自分勝手に生きる神はいたんです・・残念ですけど。僕達も、ノアル様も、ティナ様も・・たえさんを守りたいんです・・」
トト君が私を見つめる。
急にこっちへ来た私を、そんな風に思って守ろうとしてくれて嬉しいな・・そう思うと泣きそうになる。
「ありがとう・・。ちゃんと持ち歩くね」
「はい!!」
リリ君が笑うので、私も笑い返した。
そうしてしばらくおしゃべりをしてから、帰る・・というので、以前作った香草油を小瓶に入れてプレゼントした。
「好みの匂いじゃなかったら、申し訳ないんだけど・・」
「いいえ〜!ノアル様は絶対気に入ります!」
リリ君は笑顔でそう言って、クルッと一回転しかたと思うと、あっという間に小鳥になって空へ飛んで行った。思わず・・
「私も鳥になってみたいなぁ〜」と、いうとトト君は腰にぎゅっと抱きついて、
「猫になりましょうよ!」
そう言って、ブスッとした顔をするので・・、私はここは楽園でいいと思う。




