神様と朝食。
命からがら逃げ出した気分の私・・・。
オラオラ系のイケメンのパワーって凄いんだな・・。
クローゼットから服を素早く選んで、素早く出た。
あの部屋が一番警戒すべき部屋だ・・。
手早く着替えて、サンルームの方をそっと見ると、トト君がテーブルのお皿を並べていた。
「トト君!おはよう〜〜」
「たえさん、おはようございます!」
トト君が嬉しそうに駆け寄って来てくれて、思わず頭を撫でてしまう。ああ〜〜〜、癒される!落ち着く!!ホッとする!
「たえさん、ご無事で本当に良かったです」
「あ、うん・・それは私も思う」
「今、神殿に結界をノアルさんとティナさんと、スミさんも重ねて張ってくれたんで大丈夫だと思いますけど、しばらく外へは行かないで下さいね。あの方・・・、やる事えげつないので・・」
ええ、それはもう・・あの数時間でよくわかりました・・。
そして、なんであんなに嫌われてるかもわかりました・・。
「神様も色々いるんだね・・・」
「そうなんです・・。なんであの方が上司なのか、僕は全くちっとも全然わかりたくありません」
トト君・・、相当怒ってる。でも、その気持ちが今は嬉しい。
「・・・ノアルさんにもティナさんにも、スミさんにもお礼をしたいな、あ、アスちゃんも助けてくれたんだよ!」
そういうと、トト君は大層嫌な顔をされた。
思わず笑ってしまうと、トト君は私の腰に抱きつく。
「たえさん、本当に良かったです〜」
「トト君〜〜〜!!!」
ああ、可愛いなぁ!抱きしめ返しちゃう!
うふふと二人で笑いあってると、
「・・・朝から何してんだ」
あ、ボスの声だ。
さっきの事を思い出さないようにしてるけど・・、クロさんを見ると顔が赤くなってしまう。トト君は、ちえ〜っと残念そうな顔をしつつ私を離すと、椅子まで手を繋いでくれた。優しい、そして可愛い。
「ありがとうトト君」
笑いかけると、ほわっと笑い返してくれるので和む。
クロさんは向かいに座ってそんな様子を、じっと見てる。ええと・・何でしょうか?
「・・・仲良いな」
「あ、そうですね・・。そうだったら嬉しいです」
「たえさん〜〜〜!!そうです!僕達仲良しです!!」
「トト君!!」
二人で、えへへ〜って笑い合うと、チッと舌打ちが聞こえた。
クロさん的には面白くないらしいです・・・。
朝食を一緒に食べると、だいぶ機嫌は良くなったようで安心しました。
ナンのようなパンを食べつつ、クロさんをちらっと見る。・・しかし、仮にも上司から私を連れて来ちゃったし・・・、お仕事とか大丈夫なのかな?
「・・クロさん、お仕事・・とか、大丈夫ですか?」
「あ?」
「いや・・、私を連れて来ちゃったし・・」
「ああ・・、まぁ、大丈夫だろ」
本当に??
神様の世界の事は、全然分からないからな・・。
「・・何か出来る事があったら、言ってくださいね・・」
そういうと、クロさんはニヤッと笑う。あ、まずい嫌な予感しかしない。クロさんが何かを言いかけた時、さっと手を前に出して、
「せ、接触・・・以外で・・・」
と、小さい声で言うと、クロさんが吹きだした。
だ、だってクロさん、いきなり言ってきたり、してくるじゃないですか?!これは正当防衛です!!
「じゃあねぇな・・」
・・良かった・・、予測が当たっていた。言動に気をつけよう。うん。
「お前は、今まで通りここで過ごしとけ」
「・・・・はい」
クロさんは、そう言って静かに笑うとお茶を飲む。
・・まぁ、出来る事を今はするしかないか・・、私もそう思ってお茶を飲んだ。
そうして、花畑で花の冠を作っていると、空がチカチカ光っているのが見えた。
・・・大丈夫なお客さん・・だといいな・・。
ドキドキしながら、空を見上げた。




