お風呂タイム。
こんなに疲れる食事・・初めてだよ・・・。
ベッドに倒れこんで、私は自分の健闘を讃えた。たえ・・、お前はよくやった!!ブラーボー!!!
うん・・、明日もトト君曰く、「朝ごはんもここでクロ様を食べましょうね!」って言われて、すでに死にそうだけど・・。大丈夫・・、きっと何日かすれば、クロさんにも慣れるとはず。
そう思う事にした・・。
「あ、そうだ・・お風呂ってあるのかな」
よいしょっと体を起こして、周りを見てみる。
部屋には、クローゼットのドアと、その隣にもドアがある。裸足でフカフカの絨毯の上を歩いて、ドアをそっと開けると、大理石に囲まれた、洗面所と、トイレ・・、奥に猫脚のバスタブがある。
猫脚のバスタブ!!!!
可愛い!!!!
白虎だから?ネコ科だから??猫脚???
・・・多分違うけど、思わず連想してしまった・・・。やだ、可愛い!
金色のちょっとクラシカルな蛇口を捻ると、お湯がバスタブへと流れていく。温度調整は、水の方を回して自分でするらしい。アナログだがやり方が同じでホッとした。
お湯がたまったら、早速浸かろう。
あれ、なんか薄いピンク色だ・・。
透明じゃないんだ・・、でも可愛い色合い・・ふわふわとなんなら花の香りまでする・・。
お湯に手を入れて、掻き回してみる。
「可愛い色だな〜・・」
手を入れただけで、ホカホカしてきて・・、ちょっと安心する。
「クローゼットに、パジャマとかあるかな・・」
お湯がたまりきる前に、探しに行こう・・。早足でクローゼットに行くと、バスタオルやタオルも棚に置いてあったので、それを取り、パジャマ・・のように使ってもいいかな?と、いうゆったり目のワンピースと下着を持って、お風呂場へ戻る。
バスタブの横に籠が置いてあったので、そこへ入れて、湯船の中を見ると淡いピンクの花や白い蓮の花のようなものがプカプカと浮いている。
「え?!どうゆう事???!いつの間に???」
周囲を見るけど、誰もいないし・・。
神様のいる世界は、こんなサービスをしてくれるもの??リゾートみたいなサービスっぷりに驚く。・・・うん、もういいや・・。有難く入ろう。
さっと服を脱いで、桶で体を流してからお風呂に入った。
「い、生き返る・・・・」
暖かいお湯に浸かれる喜びよ・・!!!
そういえば、川に落っこちて、水の神殿のプールで引き揚げられてから、着替えるだけだったもんね・・と、思い出した。はぁ〜お風呂のある世界でよかった。
すっかり癒されて、お風呂から出た。
部屋へ戻ると、ベッド横にあるテーブルの上に水差しが置いてある。
「・・・・ここは一流ホテルなの???」
このホスピタリティ・・、ドラマでしか観たことないけど・・。
現実にあるの?あ、今現実でした。
現実離れした世界がちょっとこわい・・。怖いけど、お水は飲みたいので飲んでおこう。あ、爽やかな味がする。どこまでもすごいんですけど・・。
ベッドに座って、肩まである髪をバスタオルで拭く。
明日・・どうなるんだろうな・・。
ぼんやりと考えつつ、窓の外をみると、空はもう夜だった。仕事は・・慣れてからにしろって言われちゃったし・・。何をすればいいんだろ・・そう思っていると、ドアをノックする音が聞こえる。
「はい?」
返事をすると、ドアからトトくんが顔を出す。
「トト君!」
私は、パッとベッドから降りると思わず駆け寄っていく。見知った顔〜〜〜!!!それだけで安心する〜〜〜。
トト君は、にっこり笑って持っていた籠を渡す。
「はい!これ、クロ様が寂しくないようにって!」
「寂しく・・・?」
あの怖い顔しか脳裏に浮かばない。寂しくないか・・なんていう言葉が似合わない顔が・・・。恐る恐る籠を受け取って、蓋を開けてみる。
黒猫がこっちを見る。クロさんと同じ緑の瞳だ。
「え、可愛い!!!!」
人は猫の前に無力だと思うが、私も漏れなくその一人だと思う。瞬間、メロメロになった。可愛い!!!