神様お祭り再び。2
大神様って、ティナさんが供物を捧げるからって言ってた人だよね?不思議そうにクロさんを見るけど、クロさんは眉間のシワを深くするだけだ。クロさんを見て苦笑したノアルさんが説明してくれた。
「太陽を司る神様を大神様って言ってね、まぁ言ってみれば僕らの上司だね〜、嫌いだけど」
さらっと最後に毒が入ってる・・。
神様でも嫌いな人、いるんだなぁ・・。そう思って、クロさんを見ると眉を寄せている。相当嫌いらしい。誰でも好きそうなノアルさんもそう言うくらいだから、すっごい嫌なんだな。
「・・・外へ行く」
「そうだね〜、その方がいいね」
ティナさんがため息をつきながらクロさんに言う。相性は最悪のようだ。
「え〜〜、僕も外行きたい〜〜」
「ノアルは接待して。オレだけだと面倒い・・。奥神殿に祈りにもいかないといけないし」
「はぁ〜〜〜〜!!!たえちゃん!お願い、お土産買って来て!!美味しいもの食べたい!!!」
「・・・おい」
クロさんが、ギロッと睨む・・。ま、まあまあ。
「ええと、は、はい?」
お金持ってないけど・・、そう思ったらノアルさんが私の手を取って、金色のコインを何枚も持たせてくれた。・・・わかりました。決定事項ですね。
「何か美味しそうなもの・・探してきますね」
そう笑いかけると、ノアルさんとティナさんは嬉しそうに微笑んだ。
大変だろうけど、少しでも楽しい気持ちでいて欲しいもんね。
「行くぞ」
「あ、はい」
クロさんに引きずられるように連れていかれそうになり、慌てて手を振ると、二人とも手を振ってくれた。
下へ通じる階段があって、クロさんの神殿と同じような構造だったのでホッとする。良かった・・浮いてない・・。クロさんは、ほっとした私を見て、ニヤッと笑う。
「抱いて降りてやろうか?」
「いえいえいえ!!!!大丈夫です!歩けます!!」
そ、そうだった!!
今は二人だった!!
顔が赤くなりながら、手を繋いで降りると大きな金色の扉があって、クロさんが扉を押すと大きな音を立てて、扉が開いた。先に出してもらうと、すでに大勢の人があちこち祭りのために歩いている。
下へ来ると、たくさんの色取りどりのランプが吊るされていて、ギターに似た楽器を奏でてる人がいる。色々な人が一緒になって歌ったり、踊ったりしていて、陽気な感じのお祭りみたい!
「クロさん、ティナさんの所のお祭りって、また違うんですね」
「ああ、そうだな・・」
クロさんは、そう言って小さく笑うと尻尾をクルッと手首に巻きつける。
あ、はい・・ちゃんとそばにいます。
川にも近付きません。
「外神殿は、もう少し先に行った所にある」
「あ、そうなんですね・・・」
離れている場所にあるらしい。
一緒に歩いていると、クロさんの手が淡く光り出した。
もうお仕事モードらしい・・。
明るいお日様に照らされて、お祭りはドンドン盛り上がっていくようだった。
少し歩くと、外神殿だろうか・・縦に長い建物の屋上に炎が上がっている。そうだ・・ティナさんって、火の神だった・・。入口はあるけれど、神殿の人しか入れないのか大きな台の上に、参拝する人達が花や、コインを置いては拝んでいた。
「どこの神殿もそれぞれ違うんですね・・・」
面白そうにクロさんは笑って頷く。
良かった・・さっきの眉間のシワは大分なくなってる。クロさんは、また歩き出すので私も一緒に歩く。
「ノアルさんの所みたいに、奥神殿に入ったら何か合図があるんですか?」
「あの外神殿の炎の色が変わる。そろそろか・・」
そう言って二人で外神殿の炎を見た時、炎の色が赤い色から金色に変わって、見ていた人達が歓声を上げる。わわ、確かにこれは気分が上がるなぁ〜。
「ちょうど見れましたね!」
「そうだな」
クロさんは小さく笑って、周囲を見渡す。
そっと手を淡い光で色々な所へ向ける。おお、お清めタイムか。静かにしておこう・・・。
そうして、周囲を歩いて炎の色がまた赤い色に変わると、クロさんのお務めたは終わったらしい。ボス、お疲れ様です!




