神様とお祭り再び。1
バシャン・・
水の音がして目を開けると、ステンドグラスだろうか・・綺麗な色が差し込む円形のドームに立っていた。浅いプールみたいな所は水神殿の間と似ている。
「うわぁ・・、また違うんですね」
「ああ」
ここも転移のための場所なのかな?
キョロキョロと周囲を見るけど、特に誰もいない・・。
クロさんは、私の手を繋いだまま浅いプールから出ると、濡れた・・と思っていた足はすっかり乾いてる。不思議。
「ティナは、今日忙しいからな」
「ああ、そうなんですね・・」
そうだよね、ノアルさんも忙しそうだったもんなぁ。
ステンドグラスの綺麗なドームから出ようとすると、クロさんが足を止める。・・・?なんだろう?
手を離すと、小瓶を胸の辺りのポケットから出す。
「あ、それ・・・」
「せっかくだしな」
小さい蓋を器用に外し、クロさんは少し指に油を垂らすと、その指を私の首に擦り付けるように塗る。ひ、ひえぇえええ?????ゆっくりと指が首を上下するたび、ゾクゾクする!!思わず、両手をぎゅっと握ってしまう。
そっと指が離れると・・・、ニヤッと笑ったクロさんは、
「俺の香りつけとけ」
って言うから、真っ赤になりましたよ。
当然ですよね?
言葉にならなくて、口をパクパク開けるだけだった・・・。可笑しそうに笑わないで下さい・・。神様なのに、また殺しにかかっていませんかね・・。
満足そうにクロさんは小瓶をしまうと、また手を繋いで扉を開ける。
外は、まだ昼なので太陽が高く、空の青さがクロさんのいる所とまた違う。ちょっと薄いけど綺麗な青空だ。目の前は広い芝生が一面に広がっていて、その下に街並みが広がっている。
大きな川が流れていて、カラフルな家々がぎっしりと並んでいる。
ランプかな?あちこちにぶら下がっていて、音楽も聴こえる。
クロさんの白っぽい街並みと違って、また可愛い!!
「クロさん、ティナさんの街も綺麗ですね!!」
「・・そうだな」
芝生の先に下に降りる階段らしきものが見えた。
あそこから下へ降りて行くのかな?
後ろを振り向くと、私たちが出てきた円形のドームの建物横に、石で彫刻が入っている神殿が見えた。四角い建物なんだけど、あちこちにレリーフが掘られていて、上半分が金色に塗られている。はあ〜〜豪華!!!目を丸くして見ていると、
「たえちゃ〜ん!!元気だった〜?」
あ、この声は・・振り返るとノアルさんが手を振って、真っ白な服を着て空から降りてきた。は、派手派手だ〜!!!
「ノアルさん!お久しぶりです」
「お久しぶり〜、元気そうで良かった〜。今日もお仕事してからだけど、祭り楽しんでね!」
「ああ、そうかパトロールするんですね」
ティナさんも奥神殿でお祈りするのか・・。
ちらっと、金色の建物を見る。
「もうティナさん、奥神殿に行ったんですか?」
「いやぁ〜、どっかにいるとは思うんだけどね〜、僕も今きたからなぁ〜」
「ノアルさん・・・」
すると、金色の建物から扉が開く音が聞こえて振り返ると、ティナさんがいた!
金色の飾りを頭につけて、真っ白のロングシャツに金色の帯を締め、いつもよりもパリッとした格好をしていて格好いい!!神様って、格好いいのが第一条件なのかな???金色をこれでもかと付けているのに、全然負けてないティナさんすごいな・・。
「クロ、たえ〜、来てくれてありがとう」
「あ?僕は?」
「ノアルもついでにありがとう〜」
「え〜、僕泣いちゃう〜〜」
・・・・このやり取り、いつもやっていそう・・。
クロさんをちらっと見ると、目がすでに座っている・・。うん、これも通常通りそう。ティナさんが、ちょっと気まずそうに私達を見る・・。ん?何かあったの?
「・・・・今日、大神様もこっちに来る事になって・・」
そう言うと、二人して苦い顔をする。
・・・ん?大神様って、祀る神様??生きてるの??来るの??私は不思議そうにクロさんを見上げた。




