お食事タイム。
死にそうな顔の私とオラオラ系の神様のクロさんと、部屋を出て・・、さっきお茶をしたサンルームを見ると、テーブルに美味しそうなご飯が置いてある。
え?どういう原理??
どうぞお構いなくーーーーー!!!!
怖いから・・、今は怖いから、できれば用意して欲しくなかったかも・・!!!
そんな私の心情など、どこ吹く風。俺が全てのルールだくらいのクロさんは、美味しそうなご飯を用意してあるテーブルにスタスタと歩いて行き、椅子を引いてくれた。え、オラオラ系なのに・・・神様なのに・・紳士・・・。だけど、こっちを見る目は、めちゃくちゃ怖い・・・。
「ありがとうございます・・」
若干、心が死にかけているけれど、お礼を言って椅子に座った。
こんなにドキドキする食卓は初めてではないか・・?
向かいにクロさんが椅子にドカっと座る。oh、一緒なんですね・・。肩肘をついて、体をちょっと斜めにして座るその姿勢・・、完全ヤンキーですけど。神様なのに。
目の前のご飯にそっと目を向けると、ナンみたいなパンと、小鉢にそれぞれ色んなソースみたいなのが入っている。うん、待ってくれ・・これ、食べ方どうすんの?付けて食べるの?何が正解なの??
そもそもこっちをじっと見てくるクロさんの視線に食べられる気がしない!助けて〜〜〜トト君〜〜〜。
「食べねえのか?」
クロさんが、ジィッと見てくる。
「食べます!ただ・・、どう食べていいのかわからなくて・・」
あと、その眼光が鋭すぎて、何かを失敗したらと思うと怖すぎるだけです・・・。
「ああ」
クロさんは、ナンを一口大にちぎると、小鉢のソースに浸して渡してくれた。
「ありがとう・・ございます・・」
そっと受け取って、恐る恐る食べてみた。あ、美味しい・・。
そっか、こうして食べるのか・・。ちょっと安心して、今度は自分でナンをちぎって同じソースを付けて食べてみた。トマトとニンニクの味がする。良かった・・馴染みのある味だ。
私は他のソースにも付けて食べてみた。美味しい!こっちも美味しい!!
もぐもぐ食べている私をクロさんはじっと見ていて・・、ちょっとドキドキするけど・・、お腹が空いていたのでとりあえず食べる事を優先した。
クロさんも、自分のお皿のナンをちぎると、私と同じように食べ出した。
・・良かった・・、食べていれば話さなくて済む・・・。
「仕事・・」
「・・はい!」
いきなり話しかけてきたー!!!
ごくんとナンを飲み込んで、クロさんを見る。
「慣れてからにしとけ」
YES!!ボス!!ってしか言えない空気に、私は赤べこのように首を振った。死にたくない。まだ17なのに死にたくない。
私がうなづくと、クロさんは満足したのかまた食べ始めた。
・・よ、良かった・・。お怒りでないご様子。
緊張のご飯タイムが終わると、トタトタと足音が聞こえて振り返ると、トト君がいた。た、助けてくれーー!!!思わずトト君を見つめると、にっこり笑って、
「お食事、クロ様としたんですね!良かったですねぇ、クロ様!」
「・・・・うるせぇ」
低いクロさんの声に、ビクーっとしてしまう。
トト君、刺激しないで欲しい!!
「今、お茶お持ちしますね?」
トト君はそういうと、またどこかへ行ってしまう。ああああ、行かないで〜〜〜〜〜。二人にしないで〜〜〜〜!!!
でも、気が付いた・・。
そうだ働いている人がいるっていう割りに、ここの部屋では、トト君にしかまだ会っていないな・・。ちょっと勇気を振り絞って聞いてみた。
「ここって・・、他に誰もいないんですか?」
「・・・ここにはいねえな」
「・・え、でもお世話する人・・」
「トトだけだ。魔法で管理してる」
魔法!そういえば、ここは違う世界でした。
目を丸くしてクロさんを見る。・・と、いうことはクロさんも魔法が使えるのか??どんな魔法使うんだろ・・。
「はーい!お茶でーす」
トト君が、ニコニコしながらカートにお茶のポットとカップを持ってやってくると、クロさんは舌打ちして、窓の外を見た。い・・・、一体何かしましたでしょうか??!!!
・・結局、なんとも落ち着かない夕食を食べ、疲労困憊でベッドに倒れこむ私だった・・。