神様、試食する。
ハンモックから降りたククに、しゃがんで頭を撫でる。
「クク、待っててくれてありがとう〜。一緒に花畑で花の冠作りするから一緒に行ってくれる?」
そう聞くと、じっと見てから庭園の方へ歩き出したので、ホッとする・・。
ククが一瞬でクロさんにならなければ、一緒でも平気だったんだけどなぁ〜・・、ドキドキする。
花畑に着くと、今日もお花はこんもりと咲いている。
なんていうか、どんどん増えてませんかね?ありがたいけど、これは頑張らねば・・、手早くいくつか摘んでから編み出すと、ククは私の側に座って寝転ぶ。可愛いなぁ・・思わずちょっと撫でた。
そうして、いくつか作って籠に入れていると、空にキラキラ光るものが見えた。
「・・・あれ?誰か来たのかな?」
空を見ても、誰が来たかはわからないけど・・
どの神様かな?そう思いつつ、ククを見ると・・・目が座ってる気がする。あまり好きな相手ではないのかな・・・・?
そんな事を思っていると、トト君がやって来た。
「たえさ〜ん、そろそろお昼です〜!一緒に準備しましょう〜」
「はーい!」
急いで花を籠にしまって、立ち上がるとククも歩き出す。可愛い・・。
調理場からトト君が作った物を渡してくれたので、テーブルに並べる。こうしてみると、結構あるなぁ。
「トト君、一緒に食べようね〜」
「え?いいんですか?!」
いや、一緒に作ったのに、二人で・・って、そこは図々しくない??
「むしろ一緒に食べたいよ〜!!」
「たえさ〜〜ん!!」
二人でふふっと笑い合っていると、水神殿の方の扉からクロさんとティナさんが入って来た。
あ、クロさん・・なんかすごく不機嫌??
こっちをずっと睨んでない??
えーと、何かやっちゃった??それとも、まさかのティナさん???
ドキドキしつつ、クロさんに説明しようとするけど・・怖くて言葉が出て来る気がしない・・。そんな私の心情を全く知らないティナさんは手をあげて、
「こんにちは〜!たえ、元気か〜?今日、すごいご馳走だな!」
「こんにちは、そ、そうですか?あの・・」
「たえ」
クロさんの低い、ひくーーーい声で、体が強張る。あ、睨んでますね・・、舌打ち3秒前ですね???
「は、はい・・」
「・・トトと、何してた?」
あ、やっぱりククを通して見てたのかな・・?バレていないといいな・・と、思いつつ目をウロウロ泳がせる。
「ええっと、ここの所・・クロさんにお世話になっていたので、お礼を兼ねてトト君とお昼をつくってたんです、が・・」
そろっと、クロさんを見上げる。
お、怒ってる・・??
ダメな感じですかね・・・???
「・・・・昼」
「あ、はい・・料理を」
クロさんが、テーブルの上のご飯をまじまじと見る。
後ろで、ティナさんが「だからか〜」なんて一緒にみてる・・。ちょっと照れるんですが。トト君は、ニンマリ笑ってクロさんを見る。
「驚かせようとして、ククに内緒にしてたんですよ〜!」
ね〜っと、顔を見合わせるようにトト君が笑う。
ホッとして、クロさんを見ると、クロさんが今度は目がウロウロ泳いでる。あ、もしかして嫌いな物とかあったか?
「・・・嫌いなものとか、ありました?」
「ない」
あ、食い気味に言いましたね。それなら良かった。
ティナさんが、テーブルを見て、
「オレも食べていい?」
「あ、もち・・」
「お前、一回帰れ」
「なんでだよ〜、クロ〜〜」
ギロッとクロさんが睨むと、ニヤニヤ笑うティナさん・・。食事の前にファイトは・・ちょっと。
「あ、あのたくさんありますし・・、また機会があれば作りますから・・」
「・・・作る」
クロさんは、ポツリと呟いて私を見る。
う、うん・・・ボスが言うなら作りますよ・・?
「・・・とりあえず、食べませんか?」
ドキドキしながらクロさんに提案すると、少しだけ目元が赤いクロさんは、
「おぅ・・・・」
そう呟くのだった。
よ、良かった・・、ひとまず食べて頂けそうだ・・。




