神様フォローする。
着替えてから部屋の扉を開けると、サンルームのハンモックに珍しくクロさんが寝てる。
・・あれ、珍しいな・・。
そう思って、そっと近くまで歩いて行く。
静かに寝ていて、寝息も聞こえないけど・・ボス、生きてる?
寝ていると眉間に皺も寄ってないし、大変近寄りやすい。ちょっと可愛くも見える。寝顔マジックだな・・。
お祭りで一緒に歩いたり、昨日は街や公園に連れて行ってくれたし、疲れたのかなぁ・・そう思うと、ありがたいなぁなんて思う。何かお返しできればいいけど、好きな食べ物とか何かな・・。
あ、そうだ!トト君と料理の約束したんだ!
じゃあ、何かお昼にでも作らせてもらおうかな・・、うん!いいかも〜〜!!後でトト君にお願いしよう・・そう思って、思わずニマニマしてしまう。
「楽しそうだな」
ん?
声がした方を見ると、クロさんが起きてる。
「・・・お、おはようございます・・」
「おぅ」
「疲れてます?大丈夫ですか?」
「んなヤワじゃねぇよ」
そういえば、以前もそう仰ってましたね・・。
クロさんは、ハンモックから体を起こして頭をガシガシとかいて、少しぼんやりしていた。・・寝ぼけてるのかな?ちょっと無防備な姿に小さく笑った。
「なんだ?」
じろっとボスに睨まれて、思わず体がビクッとする。
そういう所、怖いんだよね・・。
「いえ、なんでも・・」
慌てて誤魔化すと、ちょうどトト君がやって来た。
「あ、おはようございますー!たえさん、クロ様、朝ご飯の用意できましたよ!」
「ありがとうトト君〜」
これ幸いと私はトト君の方へ逃げた。
戦況を見極めるのは大事だ。
トト君がテーブルのそばの椅子を引いてくれて、そこに座るとクロさんも一緒に座って食べる。うん、大分一緒に食べるのも慣れたなぁ・・。そんなことを思いつつ食べる。今日も美味しいなぁ。
「・・今日」
「はい」
「仕事ある」
「そうなんですね・・、お昼一緒に食べられます?」
そうだ・・、後でトト君に料理の話しないとなぁ・・と思いながら聞いてみた。クロさんは、少し驚いた顔をしているので、
「え?何かおかしいこと言いました?」
「・・いや」
クロさんは、ちょっと嬉しいの?お腹痛いの?みたいな複雑な顔をしてた。大丈夫かな?
「・・昼には戻る」
「あ、はい。じゃあ、私はお花の冠作ってます」
「ああ・・」
いつもの返事にちょっと安心した。
よーし、出かけるんなら好都合だ・・。トト君をあとで探そうっと。そんな事を考えつつ朝食を食べ終わるとトト君がやって来た。
「お皿、片付けるの私も手伝うよ〜」
「え?いえいえ、たえさんはクロ様ともう少し休んでて下さい」
「え?ダメ?」
食べ終わったし・・、料理の事も聞きたいんだけどな。
そろっとクロさんを見ると、じっと私を見ているのでもう少し座っておく事にしました・・はい。
「・・・俺と」
「はい?」
「いるのは嫌か?」
「それはないですけど・・」
そんな風に思っちゃった?まずい・・ボスの機嫌が・・!!!
「・・・ええと、一緒にいるのは嫌じゃないですよ?」
むしろ最近は、ドキドキするから心臓に大変悪いけど・・。ちょっと目を逸らしつつそう答えると、じっとこっちを見る。あ、もうちょっとフォロー必要ですかね?
「・・・か、格好いいので・・、ソワソワしますが!!!」
こ、これでどうだ!!!私は頑張って言ったぞ!!そっとクロさんの顔を見ると、クロさんは横を向いていた。あ!言ったのに!!結構勇気を出して言ったのに、聞いてなかった?!
トト君は、ニマニマしつつ、
「クロ様良かったですね〜!」
「るせぇ」
と言ってたので、聞いていたらしい・・。
クロさんの尻尾が椅子の後ろでユラユラ揺れていたので、機嫌も直ったらしい。安心してお茶を一口飲んだ。




