神様と戻る。
息が止まるんじゃないかな・・と、思ったけれど、無事生還いたしました・・。
あれから、少し経つとそっと腕を離してくれた。
「顔、真っ赤」
ボスが面白そうに頬を撫でるので、それはそうですとも!!と言いたかったけれど、私17の小娘なので何も言えません・・。いや、格好いいってすごいな・・。
「・・・それは、そうですよ」
クロさんは、またちょっと面白そうに見ると、そっと手を握る。
「戻る」
「はい」
その一言で、ちょっと側に寄ると足元が淡く光る。水が体を包む、これ・・綺麗だな・・、目を瞑らずに上を見上げた。プールの水の中に入って下から見た時みたいだ。
瞬間クロさんと目が合って、緑の目が覗き込んでいた事に気付いた。あ、もしかして毎回見てた??
そう思った途端、バシャンと水音がして、周囲を見る。
水神殿の間だ!サンルームがある部屋の方の扉から、トト君が顔を出した。
「おかえりさない!クロ様!!」
「おぅ」
「あいつはスミ様が迎えに来て、連れ帰ってくれました」
「・・・おぅ」
クロさんのげんなりした顔が面白い・・。
好かれすぎて困ってるお兄ちゃんみたいだな・・、そう思って笑いそうになるので誤魔化すように周囲を見るふりをした。とりあえずプールから出ようとクロさんと私でトト君の方へ歩いて行くと・・、
トト君は、ニコニコしながら私を見て、
「たえさん、楽しかったですか?好きになってくれましたか?」
「うん、楽しかったし、好きになったよ!」
そう会話していると、ガツンと音がして慌てて振り返ると、プールの淵にクロさんが思いっきりすねをぶつけたらしい。すねを抑えてる。
「だ、大丈夫ですか?クロさん!」
慌てて側に駆け寄って、屈んでいるクロさんを見る。
スネってぶつけると痛くない?
クロさんの顔を見ると、顔が赤い。・・・・・赤い?痛いと赤くなるっけ?
クロさんは、唸るように・・
「・・・・好き・・?」
「あ、はい。トト君にこの街を好きになってくれたら嬉しいって言われてて・・」
「そうか・・」
「足、大丈夫ですか?」
「・・・・おぅ」
頭を突然わしゃわしゃと撫でられた。え?なんで???トト君はなんかニヤニヤしてるし・・。私だけまた何か知らない第三弾が起きてる・・??
「クロ様、スミ様からお詫びのお菓子が届いたので食べましょう〜」
「おぅ」
そうして、頭に疑問符を持ちつつ私達はいつものサンルームへ向かって行った。クロさんは機嫌がよかったのか、尻尾がユラユラ動いていたので、良しとしよう。
ちなみにお菓子は金平糖に似ていた。星のお菓子!!確かに。
可愛い!!と、言うとトト君が大変複雑そうな顔をしていた。・・そうでした天敵でしたね・・。
初めての街と公園まで連れて行ってもらえて、楽しかった私・・、その日はお風呂に入って、髪を乾かす間もなく布団に倒れ込んでしまった・・・。
翌朝、ククが枕元にいて体が固まった。
「ええと、ククでいいんだよね・・?おはよう」
そっと頭を撫でると、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らす。うーん・・、ククだったのに急にクロさんに変身したからどっちの対応をすればいいのか・・悩む。
「とりあえず・・着替えよっかな・・」
ベッドからおりて、顔を洗う。
クローゼットにククもついてくるけど・・、えーと・・ククは猫という認識でいいのかな?
着替えを選んで、ちらっとククを見ているけど、不思議そうにこちらを見ている。うーん・・・・、まぁ、いっか・・・?
パジャマがわりのワンピースのボタンを外していくと、ククは慌てて部屋を出て行った・・。
なるほどぉ・・・。
こういう時は、外へ出した方がいいのか・・。




