食事求む。
トト君に、さっき私が着替えた部屋がたえさんの部屋です!
と、笑顔で伝えられ・・、あんな大きい部屋を!?と、驚愕した。こっちの神様の大盤振る舞いって、ちょっと凄すぎやしませんかね?!私は大変恐縮です・・。
お茶を終えてから、部屋へ戻ったけど・・天蓋付きのベッドは大きくて・・。
それなのにこの部屋に、全然大きすぎなくて・・。
この間、有名人の部屋探訪!みたいなの見たけど・・、大物歌手の部屋がこれくらいの部屋だったような気がする・・。窓の外は、庭園がよく見える。
窓を開けて、バルコニーに出ると花の甘い香りがする。
見たことのないような形をした花が咲き乱れている。
「綺麗・・・」
バルコニーの柵に手を乗せて、周りをみる。
神殿の奥に、さらに建物が繋がっていた。・・・クロ様とやらは、あそこに普段はいるのかな?
さっきプールがあった部屋・・、トト君が言うには、「水神殿の間」の上に階段があって、そこへ登って入っていったようだし・・。
それにしても、今何時なんだろう・・・。
さっきお茶を飲んだから、お腹は減っていないけど・・、昼なのか、もうすぐ夕方なのか・・、この世界の事を何も知らないのに、働こうとか・無謀だったかも・・とちょっと思ったけど、それでもここにずっと閉じこもっていてもなぁ・・とも思うし・・。
一度、部屋へ戻って、時計のようなものはないかと辺りを見回す。
と、デスクの上に金色の縁のついた鏡に文字が浮かんでる。
11時・・。
お、そんな時間だったんだ・・・。
あまり時間軸は変わらないみたいで、何だか安心した。
お昼になったらトト君が呼ぶって言ってたし・・。そう思って、天蓋付きのベッドで横になってみた。
すっごいフッカフカ。お花の香りがする!!
よいしょっと、体をもっとベッドに乗せて、目を閉じてみる。
鳥の鳴き声が聞こえて、どこからか水の音までする。
わぁ・・、気持ちいいなぁ・・・
そう思ったら、まぶたが重くなって・・、いつの間にかぐっすり眠ってしまった。
ふわっと、さっき貸してもらったクロ様の服の匂いがする。
・・・あれ?服を脱いで・・、トト君が洗うって持っていったよね?
うつらうつら・・と、そんなことを考えていたら、眠っていた事に気づいた。
目を覚まして、そばを見回すけど・・誰もいない・・。
匂いは微かに残っているような気はするけど・・、気のせいだったのかな?私は、両腕を上にぐーっと伸ばす。
「・・・はぁ、今・・何時だろ」
「4時だ」
「ああ、どうも・・」
一瞬の間をおいて、低い声がした方をさっと見る。
部屋のドアの所にジャラジャラをつけた、クロ様がいる・・・・!!!ゆったりと虎のようにベッドの方へ歩いてくる。うん、白虎・・確かにしっくりくる。でも怖い!捕食3秒前入ります!みたいだ・・。
ベッドの前で、腕を組みつつ私をじっと見る。な、なんでしょう・・?
「く、クロ様・・?」
「クロでいい・・」
「え、でも神様ですよね?」
「様はつけるな」
「・・・・・・クロさん・・?で、どうでしょうか?」
チッて舌打ちされた。神様に舌打ち・・なかなかきつい。そして怖い・・。こんな怖い神様がいるなんて、私の世界の神様に聞いていない・・。
「・・それでいい」
「あ、ありがとうございます」
なんという緊張感・・。
名前を呼ぶだけでこんなに緊張を強いられた事がかつてあるだろうか・・、いやないな。冷や汗をそっと拭う。それにしても、そんなに眠りこけてしまったなんて・・、トト君に呼びに来てくれたからもしれないのに・・悪かったな。
と、ぐうっと、お腹が鳴る。
なぜ!今!!!?私のお腹に問いたい。
私は、どうか聞こえていませんように・・と、お腹を思わず手で押さえる。
「・・飯ならこっちだ」
クロさんが、来いとばかりにチラリと私を見るので、心の中でドナドナを歌った・・。
小学校の時より、悲壮感たっぷりだったと思う。




